米国株式市場見通し:インフレ指標や小売売上高に注目
FRBの金融政策を左右するCPIや生産者物価指数(PPI)などの重要インフレ指標に加え、小売売上高が発表予定で結果に注目だ。原油価格が6月に高値を付けたのち下落傾向にあるため、インフレは伸びが鈍化する見込み。一方、小売売上高は消費の鈍化が示される低調な結果に注意したい。
パウエルFRB議長は今週、ケイトー研究所での討論会でジャクソンホールでの演説と同様にインフレ抑制を目指し力強い行動を継続すると再度公約。特に短期の期待インフレを直ちに抑制する必要があると警告したため、9月連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続での0.75pt利上げ確率が上昇した。期待インフレ率の動向が金融政策決定において鍵を握っているが、FRBは特にミシガン大消費者信頼感指数の長期期待インフレ率動向に焦点を当てており、来週末に発表される同指数にも注目だ。議長は、インフレとの闘いにおいて時期尚早に力強い行動を弱めることはできないと断固とした姿勢を崩しておらず、当面利上げを継続することは濃厚だろう。9月FOMCを控え、FRBがブラックアウト期間入りする直前のイベントや講演で、セントルイス連銀のブラード総裁やウォラーFRB理事も9月FOMCでの大幅利上げを支持する姿勢を表明。ブラード総裁は来週発表されるCPIがたとえ改善したとしても、9月FOMCでの政策決定を左右すべきでないと指摘しており、FRBのインフレ抑制への断固とした姿勢が明らかになった。当局の金融引き締め姿勢が当面相場の上値を抑制することになりそうだ。
経済指標では8月CPI(13日)、8月PPI(14日)、週次新規失業保険申請件数、9月NY連銀製造業景況指数、8月小売売上高、9月フィラデルフィア連銀景況指数、8月輸入・輸出物価指数、8月鉱工業生産・設備稼働率、7月企業在庫(15日)、9月ミシガン大消費者信頼感指数速報値(16日)などが予定されている。
主要企業決算ではソフトウェアメーカーのオラクル(12日)、アドビ(15日)が発表を予定している。
また、北米国際オートショーがミシガン州デトロイトで開催される予定。メディア向けでは14日から開催予定で、バイデン大統領の訪問も予定されている。一般公開は17日から25日まで。自動車セクターにおける注目材料になるだろう。ほか、短文投稿サイトのツイッターは特別株主総会を開催し、電気自動車メーカー、テスラのマスクCEOへの同社売却を巡る採決を行う予定で注目だ。
コーヒーチェーンのスターバックスは13日に年次イベント「インベスター・デイ」の開催を予定している。コーヒーをテーマとしたNFT(非代替性トークン)を含むロイヤルティ・プログラムを発表する予定だと報じられている。また、次期CEOに英日用品大手レキット・ベンキーザーのナラシムハンCEOの起用を発表したばかりで、アナリストはイベントを控えた株式購入を推奨するなどしており期待が高い。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》