来週の株式相場に向けて=トヨタ、ソニー大幅安の意味するもの
30日の東京市場で日経平均株価は484円安と大幅下落となり、3カ月ぶりに2万6000円台を割り込んだ。この日の急落を演じたのは、「トレンドフォロー型のヘッジファンド、CTA(商品投資顧問)による先物での空売りが主要因ではないか」(市場関係者)という見方が出ている。これまで、東京市場は海外市場に比べ底堅く推移していたが、「今週あたりからは海外安と連動するようになってきた」(同)と警戒感が強まった。
気になるのは、日本を代表する銘柄が下げ止まらないことだ。今日はトヨタ自動車<7203>が4%安と急落し、連結PBR1倍割れに売られている。またソニーグループ<6758>も年初来安値を更新した。来週からは10月に入り、3日から臨時国会が開かれるが、岸田内閣の支持率低下も気にされている。長期政権への期待が膨らんでいたが、支持率低下に歯止めがかからないと短期政権となりかねない。政権が短期にコロコロと変わることを海外投資家は嫌がるはずだ。
日経平均の下値に関して市場には、「6月20日のザラ場安値(2万5520円)が防衛ライン。ここを突破すると年初来安値水準の2万4000円台もみえてくる」(アナリスト)という。その一方で「足もとの日経平均株価の予想連結PERは12倍前後。リーマンショック時とほぼ同水準に達した」(市場関係者)との声もある。加えて期待されるのは「総合経済対策」を含め国策に乗る分野で、三菱重工業<7011>に代表される防衛 関連など。それに水際対策の緩和で電鉄株のJR東海<9022>などインバウンド関連株なども底堅く推移しそうだ。
来週は、週末7日の米9月雇用統計が最大のポイントとなりそうだ。また、3日の9月ISM製造業景気指数も注目される。ノーベル賞の発表が始まる。3日は医学生理学賞、4日は物理学賞、5日は化学賞、6日は文学賞、7日に平和賞、10日に経済学賞といったスケジュールだ。国内では、3日に日銀短観が発表される。また、4日に9月東京都区部消費者物価が発表される。消費関連企業の決算発表が本格化し3日にしまむら<8227>、4日にウエルシアホールディングス<3141>、5日にイオン<8267>、6日にセブン&アイ・ホールディングス<3382>、7日にキユーピー<2809>が予定されている。また、7日には安川電機<6506>が決算を行う。同日にキューブ<7112>が東証グロース市場に新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは2万5500~2万6400円前後。(岡里英幸)