一旦の押し目買い優勢でプラス圏で推移/後場の投資戦略
日経平均 : 26111.54 (+174.33)
TOPIX : 1840.71 (+4.77)
[後場の投資戦略]
本日の日経平均は売りが先行、朝方にはマイナス圏での推移が続いた。ただ、前場中ごろにかけて下げ幅を大きく縮小してプラス圏に浮上したあとは堅調な展開となった。米株先物の下げ渋りもあって押し目買いや買い戻しが広がり持ち直したようだ。そのほか、香港株式市場は軟調な展開に、ナスダック100指数もマイナス圏での推移が続いている。
新興市場でも売り先行でスタート。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落してスタートした後、日経平均株価に連れて下げ幅を縮小する展開となった。長期金利が再度上昇しており、バリュエーション面での割高感が警戒される新興市場のグロース(成長)株にとっては厳しい地合いが続いている。ただ、前週までに大きく下落していた分、本日は押し目買いが優勢となっている。前引け時点で東証マザーズ指数が0.36%高、東証グロース市場Core指数が1.01%高。
米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は9月29日、CNBCのインタビューで利上げにより高インフレを抑制するというFRBの動きを変更するような米金融市場の機能不全は見られないと述べた。他にも、FRBの高官は利上げ姿勢を崩さないタカ派的な発言を継続している。30日に発表された8月の米個人消費支出(PCE)統計では、インフレ指標が市場予想を上回る伸びとなった。PCE総合価格指数は前年同月比6.2%上昇で市場予想の6%上昇を上回り、PCEコア価格指数は前年同月比4.9%上昇で市場予想4.7%上昇を上回った。コア価格指数は前月比、前年比共に7月に比べて伸びが加速した。
ブルームバーグのエコノミストは「容認できないほど高いインフレ指標を踏まえると、米金融当局は連続利上げを確実に進める可能性が高い。経済を減速させることになってもだ」と指摘しており、30日の米国株もこれを嫌気して下落した。ただ、インフレ調整前の個人所得は前月に続き0.3%増、賃金・給与の伸びは0.3%増に減速しており、賃金上昇ペースの鈍化は明るい兆候となった。
さて、今週は米雇用統計の発表が控えている。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値によると、9月の雇用者数は前月比で約25万人増、失業率は3.7%で前月と同水準になる可能性があるという。予想通りとなれば、大幅利上げによる雇用市場への影響は今のところ限定的と示唆されることになる。持続的な労働需要は賃金の伸びを高止まりさせて物価上昇に影響をもたらす可能性があるため、今週の米雇用統計の発表には大きな注目が集まろう。
一方、世界の株式に対するセンチメントが悪化したため、サンフォード・C・バーンスタインが開発した指標が買いのシグナルを発したという。マーク・ダイバー、サラ・マッカーシー両氏らストラテジストはリポートによると、バーンスタインの総合センチメント指標を成す5項目のうち4つは極端に否定的な水準にあるようだ。過去22年の集計によれば、このような買いシグナル後の4週間は70%の確実でリターンがプラスになったという。同氏らは「弱気相場の中の次の反発は大いにあり得る」と指摘している。
連邦準備制度の大幅利上げを背景に株式市場に極端な弱気の見方が増えるなか、世界各国の経済状況、米中リスクやロシアウクライナの地政学リスクなど、依然として様々なリスクが存在している。前週の当欄で示唆したように、現段階で筆者は引き続きナスダック100指数で9600pt付近、さらには8000pt台まで下落する可能性があることを念頭に置いて相場を注視している。ただ、前述のようにセンチメントの急悪化及び、雇用統計やインフレ指標の推移次第で、年末にかけて一旦の反発が起こる可能性も考えている。さて、後場の日経平均は、押し目買いが継続してプラス圏での堅調な展開が続くか。個人投資家を中心に、主力株につれて値動きの軽い新興株にも物色が向かうか注目しておきたい。
《AK》