暴落は好機! 究極の赤札市「ディープバリューな材料株」10選 <株探トップ特集>

特集
2022年10月1日 19時30分

―超割安圏放置、日経平均2万6000円割れで見えてきた沼底のダイヤモンドを拾え―

世界的な株安局面で、東京株式市場もまた激しい風雨に晒されている。来週10月3日から名実ともに下期相場入りとなるが、上半期の最終売買日となった9月30日は時価総額上位の主力銘柄が問答無用に軒並み売られる展開となった。日経平均株価は一時600円を超える下落となり、終値で2万6000円台を割り込んだ。

●景気減速と金利上昇が同時進行

グローバル景気の減速が顕著となる一方、世界的な金利上昇が同時進行しており、いわば今は株式市場にとって「逆業績相場」と「逆金融相場」が一緒にやってきたようなネガティブな環境を想起させる。ヘッジファンドによる仕掛け的な空売りも多分に含まれていると思われるが、現状は実体経済や金利動向などファンダメンタルズからのアプローチでも株が買える理由はなかなか見当たらない。

特に日経平均を構成するような主力大型株は、国内外機関投資家の売りターゲットとなっている銘柄のオンパレードだ。自動車セクターや半導体関連セクターなど花形産業の株価下落が顕著であり、この日も製造業の盟主ともいえるトヨタ自動車 <7203> [東証P]が一時1871円まで値を下げ約半年ぶりの安値をつけたほか、半導体製造装置トップの東京エレクトロン <8035> [東証P]は連日で年初来安値を大幅更新、3万5000円割れ寸前と2020年11月以来の安値水準まで売り込まれた。

●米アップルが波及させた景気減速懸念

これまでコロナ禍でのサプライチェーンリスクに伴う企業業績への影響は、時間が経てば段階的に解消に向かうという期待感があった。しかし、今は景気実勢が急減速するなかデマンドサイド(需要者の側)の不振が懸念され、グローバル企業の収益成長シナリオに影を落としている。

その象徴的な出来事が米アップル<AAPL>の投資判断引き下げで、同社の株価は急落の憂き目にあっている。iPhone14の増産計画断念が報じられたことが、売りプログラム発動の引き金となったのだが、これが同社株に対する失望売りだけではなく、スマートフォンの売れ行き不振イコール世界景気減速という形で思惑がリンクされ、製造業全般への株価下落圧力に発展した。

●不安が蔓延し安い時に買うのが株式投資の鉄則

厄介なことにインフレ圧力は原油や非鉄、穀物などコモディティ価格が下げに転じても止まる気配がない。インフレ抑制を第一義に掲げる以上、各国中央銀行は金融引き締めの手綱を緩めることができず、政府も財政出動を躊躇せざるを得ない局面に遭遇している。

その禁を破ったのが英国でリズ・トラス首相が減税を柱とする大規模な財政政策を打ち出したが、これがポンドや債券価格の急落を招き、イングランド銀行(英中銀)がその尻ぬぐいをする形で、予定していた国債の売却開始時期を遅らせ、なおかつ無制限で国債買い入れを行うという事態に陥った。だがこれは期間限定の措置であり、モラトリアム明けに英国は試練を迎える可能性がある。結果として金融市場を波乱に導く格好となり、英国の蛮勇に他の先進国はとても追随できない状況が作り出されている。こうしている間にもロシアのウクライナ侵攻は続き、中国による台湾有事への警戒感もくすぶったままである。世界的なインフレ、世界経済の減速、地政学リスクという吹きすさぶ逆風のなかで、株式投資を行うことは容易なことではない。

しかし、ひとつ見逃してならないのは、こうした環境下にあるからこそ全体株価が大幅にディスカウントされているという事実だ。株価は安いところで買うのがセオリーで、その安値買いのチャンスが今生まれている。

●強力な下値抵抗力を持つ超低PBR株

もちろん、「落ちてくるナイフはつかむな」という相場格言の通り、主力銘柄の底入れのタイミングに確信が持てない以上は、むやみに資金を投下するのはリスキーである。であれば、発想を変えて「これ以上落ちてこないようなナイフ」に目を向ければよい。その場合は、株価指標面から特にPBR(株価純資産倍率)で超割安圏にあるディープバリュー株が有力な投資対象となる。割安過ぎる株を更に売り込むというのはよほど力のいる作業で、逆転の発想でそういう銘柄を拾うのは投資作戦的に有効となる。

PBRが1倍を大きく下回る銘柄は、言い換えれば会社の解散価値を大きく下回る水準に置かれていることを意味する。机上論的だが、企業の全株式を買い占め傘下に収めた後、そのまま会社を解散させても当該企業が保有する純資産だけでお釣りがくるというのがPBR1倍割れの定義である。仮にPBR0.5倍の企業を買収した場合、財務的に問題がない健全な企業であれば、当該企業のフロー収益は関係なく傘下に収めた時点で買収金額の2倍に相当する価値を買い手はストックとして手にする理屈となる。逆に言えば買収コストと合致するPBR1倍に水準訂正されただけでも当該企業の株価は2倍になる。そう考えると、日本国内の上場企業は極めて評価不足な株価水準に放置されている銘柄が実に多いことが分かる。

最近の例では光ビジネスフォーム <3948> [東証S]という銘柄が株価を変貌させたが、これは低PBR株の中でも特に割安感が強くディープバリュー株に位置付けられる。今回のトップ特集では、そうしたディープバリュー株の中から収益成長シナリオを内包し、なおかつ材料株素地に富んだ中小型株を10銘柄厳選した。

●波乱相場で輝き放つディープバリュー10銘柄

◎東京計器 <7721> [東証P]

航海計器や航空計器のほか、防衛市場向けレーダー機器など航空機搭載用の電子機器、艦艇向け航法装置などで高シェアを誇る。売上高の約3分の1を防衛・通信機器部門が占めており、株式市場でも防衛 関連株の一角に位置付けられている。中国の軍備拡張などを横にらみに防衛力の強化は日本にとって喫緊の課題といえ、中長期的な同社の成長余地は大きい。23年3月期営業利益は前期比13%増の18億5000万円予想と2ケタ成長が見込まれている。PBR0.6倍近辺は評価不足歴然で1200円絡みは押し目買いチャンスに。

◎日本ギア工業 <6356> [東証S]

自動車向け歯車の製造を基点に、バルブアクチュエーター、ミキサー、ジャッキなど事業領域を広げ、とりわけ原発向けバルブアクチュエーターで高い商品競争力を有している点は注目。岸田政権では原発再稼働に向けて前向きな構えを明示しており、同社はその関連有力株として存在感がある。業績面でも豊富な受注残を武器に急回復が予想されている。23年3月期営業利益は前期比2.8倍の3億3000万円を計画するが、大幅上方修正の公算が大きい。PBR0.5倍台、株価300円台と低位で買いやすさがあることもポイント。

◎ヘリオス テクノ ホールディング <6927> [東証S]

プロジェクター用ランプなど光源装置や、印刷機を主力とする製造装置事業を手掛ける。光源装置については、検査機器やセキュリティー関連など幅広い産業分野での光源として活用が見込まれる産業用LEDに注力する姿勢をみせている。23年3月期は売上高が前期比12%増の100億円予想と2ケタ伸長を見込み、営業利益は同31%増の6億8000万円と回復色を鮮明とする見通し。チャートの強さは特筆に値するが、PBRは0.5倍近辺と依然として会社解散価値の半値水準に過ぎず、水準訂正の動きが続きそうだ。

◎UEX <9888> [東証S]

ステンレス に特化した鉄鋼商社で日本製鉄グループと密接。水素関連銘柄の一角でもある。業績はステンレス鋼の販価上昇で利益採算が高まったうえに販売数量も増加し、22年4-6月期営業利益は前年同期比4.5倍と急拡大した。23年3月期通期では25億~29億円を予想するがレンジ下限でも前期比18%増益となる。最終利益は予想レンジ下限で換算してもPER5倍台、PBRも0.6倍台と超割安圏にある。更に今期年間配当は会社側未開示ながら前期実績と並びの40円と仮定しても配当利回りは5%台半ばとなる。

◎バンドー化学 <5195> [東証P]

伝動ベルトの大手で特に自動車用で高い競争力を持つ。ゴムやエラストマーの加工技術をコア技術に顧客ニーズに対応した商品で実績を重ねている。原料価格の高騰も10月から一部製品価格の改定で利益採算を維持する見通し。23年3月期営業利益は前期比2.8倍の75億円と高変化を見込むが、一段の上振れが有力だ。場合によっては07年3月期の過去最高利益80億2700万円の更新も視野。PER9倍でPBRは0.6倍前後と割安感が強いほか、株主還元に積極的で高配当利回りも魅力。1000円前後の株価は妙味十分だ。

◎中山製鋼所 <5408> [東証P]

日本製鉄系の鉄鋼 会社で、製鉄技術に加え鉄スクラップを活用した自社電炉製造技術に特長がある。販売価格上昇に伴い利益の伸びが顕著だ。22年3月期は営業利益段階で3倍増益を達成したが、続く23年3月期も前期比6割増の大幅な伸びを継続、115億円を会社側では予想するが一段の上振れが有力視されている。PER4倍弱、PBR0.3倍台は超割安といえる。8月5日にマド開け大陽線を示現、その後も下値を切り上げてきた。直近調整モードも押し目買い好機。株主還元に前向きで連続増配により配当利回りは3%台に。

◎東京製綱 <5981> [東証P]

ワイヤーロープの最大手で、橋梁向け炭素繊維ケーブルで高い商品競争力を誇る。特に北米向けでは大型案件を含め好調に需要を開拓中だ。PER7倍台、PBR0.5倍台と株価指標面から水準訂正余地の大きさが意識されるが、業績も非常に好調だ。22年3月期営業利益は前の期比2.3倍と高変化を示し、23年3月期も前期比54%増の高い伸びで25億円を予想。刮目すべきは前期に20円の復配に漕ぎつけ、今期はそこから更に10円の大幅増配で30円を計画している点だ。目先下押す局面は狙い目で中期4ケタ台復帰が目標。

◎サンコール <5985> [東証P]

自動車向けを主力にばね、リング、モーターコアなどの精密部品を製造する。主要顧客はトヨタ自動車 <7203> [東証P]とホンダ <7267> [東証P]。世界的な電気自動車(EV)シフトの動きを意識してシャントバスバーなどEV向け製品に傾注している。PBR0.5倍台と割安感が際立つが、23年3月期は営業利益が前期比3.1倍の20億円を見込む。また大幅増配の予定にあり、前期実績に18円上乗せの年38円は配当利回りにして5.8%。株価は75日移動平均線前後まで急な調整を入れたが、ここは押し目買いのチャンスとみておきたい。

◎新家工業 <7305> [東証S]

鋼管の製造販売を主力とし、自転車用のリムではトップシェアを有する。同社の強みであるロールフォーミング技術を使った製品は自動車や産業機械など幅広い分野の需要を捉えている。原料コストの急上昇も価格転嫁で相殺。これは値上げが可能な技術と商品競争力を有することを裏打ちするものだ。23年3月期は2ケタ増収で営業3割増益の44億円を予想。PER3倍台、PBR0.3倍台、加えて配当利回りも4%近くに達し水準訂正余地の大きさが際立つ。07年には4160円(修正後株価)の高値を形成した実績がある。

◎ミタチ産業 <3321> [東証S]

工作機械や車載用電子デバイスなどを扱うエレクトロニクス商社。足もとの業績は会社側想定を上回って推移、23年5月期営業利益は従来予想の14億円から20億円(前期比微減)に上方修正しているが、22年6-8月期の同利益は前年同期比2.6倍の10億4200万円と高変化をみせており、通期一段の上振れ期待も。今期配当は前期実績から10円減配の30円を計画するが、それでも配当利回りは3.5%を超える。PER4倍台、PER0.5倍台は見直し余地大。800円台のもみ合いを抜けて4ケタ大台復帰を目指す。

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