富田隆弥の【CHART CLUB】 「急反発でも、あわてず」
◆10月に入り、株式市場は急反発した。日経平均株価、NYダウはともに8月半ばから9月末にかけ二段下げ、三段下げとチャートは下げ足を強めてきただけに、テクニカル的にはいつ反発してもおかしくない状況にあった。とはいえ、日経平均株価は10月3日の安値2万5621円から6日の高値2万7399円まで4日間で1778円(6.9%)、NYダウは9月30日の安値2万8715ドルから10月5日3万0454ドルまで4日間で1739ドル(6.0%)と、これほどの急反発を演じるとは驚きだ。
◆その背景には、9月末と10月入りという季節的な要因もあったと思われる。9月末は日本の中間期末、米国の第3四半期末にあたる。夏からの下落相場で機関投資家やファンドなどは一旦、手仕舞いに動き、それが下げの加速につながったが、10月になるとその反動で新たなポジション組成に向けて買いが集中したと思われる。9月の下げ相場で売っていた向きが慌てて買い戻し(ショートカバー)に動いていることもあるのだろう。
◆驚きの急反発といえるが、日経平均株価の週足を見ると、今年3月後半や昨年9月前半にも似たような局面があった。厳しい調整の後に急反発した局面だが、いずれも反発は長く続かず、2~3週で息切れして再び調整に転じている。果たして今回はどうだろうか。
◆機関投資家の買い直しや売り方の買い戻しは、長く続くものではない。地政学的リスクが漂ういまの地合いを踏まえると、今回も上昇の勢いが止まると再び売り圧力が増してくることは否定できない。
◆日経平均株価のチャートで「2万7000円台」は厚い節目だ。日足で25日、75日、200日の各移動平均線が2万7400円前後に集中し、週足でも13週、26週、52週の各移動平均線が2万7200円~2万7700円に控える。出来高の累積でみる「価格帯別出来高」でも2万7000円台は節目となる。
◆NYダウのチャートも日経平均株価と似ている。つまり、急反発はしたもののチャートはまだ「アヤ戻し」の域を脱しておらず、年初からの下げ基調が「好転」するまでには至っていない。そして、急上昇する相場ではボラティリティが高まり、「乱高下」しやすい。下値不安もまだ燻っている状態である。急上昇に慌てることなく、二番底など下値を確認するまで様子見を継続するのも一策だろう。
(10月6日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース