まだある国策メインテーマ、大追跡「スタートアップ支援」で浮上する銘柄群 <株探トップ特集>

特集
2022年10月13日 19時30分

―政府は「新しい資本主義」の重点分野として注力、今後5年で10倍増打ち出す―

スタートアップ(新興企業)を取り巻く環境に国策の追い風が吹いている。岸田政権は看板政策「新しい資本主義」のなかでスタートアップ投資を重点分野の一つに据え、今後5年で10倍に増やす方針を掲げた。スタートアップは成長の源泉となるイノベーションを生み出すとともに、環境問題など社会課題の解決に貢献することが期待され、経済の活性化を担う存在として欠かせない。こうした企業に向けて事業支援や関連サービスを手掛ける銘柄が株式市場では関心を集めており、今後物色の流れが強まる可能性がある。関連銘柄の動向を探った。

●首相「スタートアップ元年」、グーグルなど海外企業も日本で取り組み

当初、成長よりも分配に軸足を置いていた岸田政権だったが、その当時から成長戦略としてスタートアップ支援の強化を打ち出していた経緯がある。その後、6月に同内容を盛り込んだ骨太の方針を閣議決定したほか、8月には内閣改造とあわせてスタートアップ担当相を新設し、関連施策を推し進める姿勢を明確にした。岸田首相は今月3日の所信表明演説で今年を「スタートアップ元年」に位置づけ、税制上の優遇措置や資金面の支援、IT分野の人材育成などを進める考えを述べた。

これに呼応するように、大手企業も続々と取り組みを始めている。博報堂DYホールディングス <2433> [東証P]は傘下の博報堂DYメディアパートナーズにおいて、スタートアップの事業成長を支援するサービス「AaaS for startup」を今年3月に始めた。GMOグループのGMOペイメントゲートウェイ <3769> [東証P]は、5月からスタートアップ向けのオンライン決済インフラ「fincode byGMO」を提供している。また、家計簿アプリ大手のマネーフォワード <3994> [東証P]は9月、子会社のマネーフォワードケッサイがスタートアップ向けの資金調達サービスを提供開始すると発表した。

海外企業の動きも見逃せない。米アマゾン・ドット・コム<AMZN>は今年に入り、行政など公共分野の課題解決に取り組むスタートアップを支援するプログラムを日本で開始。同じく米IT大手のグーグル(アルファベット<GOOG>子会社)は、経済産業省と協力してスタートアップ向け支援プログラムを提供することを明らかにしている。

●関連有力株のフォースタ

スタートアップ向け事業を手掛ける企業として、関連有力株に位置づけられている銘柄といえばフォースタートアップス <7089> [東証G]だろう。同社はスタートアップ向け人材紹介サービスを主力に、起業支援や投資事業などを展開。1万3000社を超える国内のベンチャー・スタートアップに関するデータベースを保有している点に強みがあり、これを活用して大企業・官公庁とスタートアップの連携を促進するサービスも提供している。通期業績は増収減益の予想だが、足もと4-6月期は好調に推移している。

●チェンジやHENNGE、オカムラなど幅広い関連銘柄群

チェンジ <3962> [東証P]は企業・公共団体のIT構築支援を手掛け、傘下でふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を運営していることでも知られる。同社は6月、スタートアップ向け公共ビジネス参入支援プログラムを展開すると発表。スタートアップが官公庁や自治体のビジネスへ参入するのを強力にバックアップするという。同社がこれまで培ってきた公共調達に関するノウハウを生かし、事業を加速させていく方針だ。

Sun Asterisk <4053> [東証G]は、企業の新規事業・プロダクト開発の支援やIT人材の育成などを行う。日本マイクロソフトのスタートアップ支援プログラムにパートナーとして参画しており、共同で取り組みを進めている。同プログラムには前述のフォースタをはじめ、KDDI <9433> [東証P]やJR東日本 <9020> [東証P]、リコー <7752> [東証P]、ヘッドウォータース <4011> [東証G]など多くの企業が名を連ねている。

ハイブリッドテクノロジーズ <4260> [東証G]は、日本とベトナムに拠点を置くソフトウェア開発企業。今年3月にスタートアップ向け支援プロジェクト「Hybrid Technologies Capital」を始めると発表している。エンジニアリソースと資金を提供し、支援先企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援と事業拡大を目指す構えにある。この発表以降、支援先企業の選定を続々と進めている。

また、オフィスの設計・施工を行うヴィス <5071> [東証S]は9月27日、スタートアップ向けコミュニティー運営を開始すると発表。顧客サポート代行を手掛けるアディッシュ <7093> [東証G]はスタートアップ向けを軸に事業を展開しており、足もと業績は好調だ。スローガン <9253> [東証G]は、スタートアップなど新産業領域に特化した就活・転職サイトを運営する。

スタートアップ向け投資支援を手掛けるHENNGE <4475> [東証G]、スタートアップを対象にした技術支援サービスを提供するTHK <6481> [東証P]、スタートアップ情報プラットフォーム「INITIAL(イニシャル)」を運営するユーザベース <3966> [東証G]のほか、スタートアップ向けのオフィスサービス事業を手掛ける企業をグループ会社に持つオカムラ <7994> [東証P]、「AWS請求代行スタートアッププラン」を提供するサーバーワークス <4434> [東証P]なども関連銘柄としてマークしておきたい。

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