【植木靖男の相場展望】 ─買い転換が近い銘柄群は?
「買い転換が近い銘柄群は?」
●“噂で売って事実で買う”の典型例
東京市場は波乱含みの展開をみせている。日経平均株価は10月3日の2万5621円から切り返し、10月6日の2万7399円まで上昇して買い転換したかにみえたが、戻り相場の肝である水準だけに突破はできず、その後はズルズルと下げた。米長期金利の上昇で米国株があっけなく6月の年初来安値を下回ったことが、幅広く売られる背景となった。
こうしたさなか、10月最大の注目材料とされた米国9月消費者物価指数(CPI)が発表された。結果は前年同月比8.2%上昇と市場予想(8.1%)を上回るものとなった。この分では11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)における0.75%利上げは必至との観測が強まった。当然、13日の米国株は売られるとみられたのだが、結果を受けて一時は大きく下げたものの、その後は買い戻しが入り、取引を終えてみれば大幅高となった。まさに、“噂で売って事実で買い”の典型例となった。
ところで、NYダウ、S&P500、ナスダックの米主要株価指数は6月の年初来安値を更新しているが、日経平均株価は3月につけた年初来安値(2万4681円)はおろか、6月安値(2万5520円)すら下回っておらず、日本株は相対的に米国株より強さが際立つ。そして、この違いは2023年に入ればより明確になろう。
米FRB(連邦準備制度理事会)のインフレ目標は2%といわれる。だが、これが達成されるのは至難の業であり、先の話である。米国のインフレ対策はまだまだ続くとみられ、これは株安要因となる。23年は逆業績相場を覚悟しなければならないだろう。
そうしたなか、日本では低金利が続くことで金融相場が延長される。政府は景気立て直しに注力することになるが、インバウンド復活に躍起になるとすれば悲しいことだ。観光で日本経済を本当に立て直せるのか。いま日本は政治三流、経済二流といわれるが、果たして岸田政権はどう日本を導くのだろうか。
●グロース株は二番天井を目指すか?
さて、米CPIという材料を通過して東京市場はどう動くのか。目先でいえば戻り相場の肝である2万7300~2万7400円処を突破できるのかがカギとなる。再び上値の壁となるなら、底固めが必要となる。日柄で数週間といったところか。
当面は物色の方向性の見極めが重要となるが、この点で注目されるのは年初の大天井から下げが続いた成長株、グロース株が一番底を打ったかどうかだ。第一波の下げが終わったとすれば、第二波の下げ、つまり逆業績相場が始まるまでの期間、すなわち年末頃までは二番天井を目指すことになるのでは、と期待される。こういう時には存外、甘い材料が出やすいのだ。
もちろん、円安が一段と進むとすれば、円安の進行に伴って新たな材料が顕在化するとみる。いわゆるインフレ相場が徐々に目前に迫ってくるのではないか。インフレヘッジ銘柄に注目しておきたい。
さて、差し当たっては買い転換が迫っている銘柄を列挙すると、中山製鋼所 <5408> [東証P]、資生堂 <4911> [東証P]、INPEX <1605> [東証P]、オリンパス <7733> [東証P]、リクルートホールディングス <6098> [東証P]、朝日インテック <7747> [東証P]、トヨタ自動車 <7203> [東証P]、NTT <9432> [東証P]など。また、新生銀行 <8303> [東証S]はなにやらキナ臭い匂いがする。
2022年10月14日 記
株探ニュース