富田隆弥の【CHART CLUB】 「乱高下も、下げ基調は変わらず」
◆10月になり世界のマーケットは乱高下が続く。13日の米国CPI(消費者物価指数)の発表後も激しく動いているが、それは株式だけでなく、為替や国債でも同じだ。言うまでもなく米国のインフレ圧力と金利上昇観測、さらに景気減速懸念を背景に、売り方と買い方の思惑が交錯している。ただし、波乱含みの値動きを続けるマーケットの根元には、ロシア・ウクライナ戦争があることを忘れるわけにはいかない。
◆日経平均株価の日足チャートは、8月高値の2万9222円から二段下げで10月3日安値の2万5621円まで3600円超下げた。そこから10月6日高値の2万7399円まで急反発したが、2万7400円前後に集中していた25日、75日、200日の各移動平均線が壁となって再び軟化し、直近13日は2万6237円に沈んでいる。
◆9月末の中間期末を挟んで一時的な需給要因も重なって乱高下したと思われるが、年初からのチャートはNYダウを含めて右肩下がりのトレンドを継続中だ。折に触れて見せた上昇は下げ過程の中でのアヤ戻しにすぎなかったことが分かる。
◆米国では景気減速の気配が表れてきたが、インフレの兆候が収まるまでFRB(米連邦準備制度理事会)による積極的な利上げ観測は続く。世界の株式市場にとって「利上げ」は逆風であるから、右肩下がりの展開が続くことも否定できない。また、中間決算発表や中国共産党大会(10月16日開幕)、FOMC(連邦公開市場委員会、11月1日~2日)、米国中間選挙(11月8日)などの重要イベントの影響を受けてマーケットが乱高下する展開も想定される。
◆日経平均株価は10月3日の安値2万5621円を割り込むと「三段下げ」となり、3月につけた年初来安値2万4681円を試す展開となる可能性が否めなくなる。逆に上昇して6日の高値2万7399円を突破するなら「好転信号」が灯る。この3日安値と6日高値を、チャートにおける上下のポイントとしてマークしておく。そして、好転信号が出るまで右肩下がりの相場の流れに従うことだ。
(10月13日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース