DX時代の礎、グーグル上陸で再脚光「データセンター」関連株 <株探トップ特集>

特集
2022年10月19日 19時30分

―データ量の増大で高まる需要、米グーグルは23年までに千葉で建設へ―

米グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は日本時間7日、2023年までに同社では日本で初めてとなるデータセンターを千葉県印西市に建設することをブログで明らかにした。これは昨年から24年まで続く総額7億3000万ドル(約1000億円)にのぼるインフラ投資の一環で、新たな データセンターの開設によって日本のユーザーは同社のツールやサービスに迅速で信頼性の高いアクセスができるようになるという。データ量の増大を背景にデータセンターの重要性は一段と高まっており、関連銘柄に注目してみたい。

●政府は民間企業の全国展開を促進

データセンターとは、インターネット用のサーバーやデータ通信、固定・携帯・IP電話などの装置を設置・運用することに特化した建物の総称。社会・産業のデジタル化により、医療や教育、交通、農業などのあらゆる分野でデータを活用した新しいビジネスと、それによる社会課題の解決が期待されるなか、データを収集し、処理する役割を担うデータセンターの需要が増している。

岸田政権はデジタル化を進めることで地域課題を解決し、地方と都市の双方を豊かにする「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、実現に向けた基本方針でデータセンターの整備などを挙げている。政府は地方拠点の整備を含め、民間事業者による全国展開を促進する考えで、関連企業の商機拡大が見込まれる。

●NTTは総額400億円を投資

こうしたなか直近では、NTT <9432> [東証P]がNTTグローバルデータセンターを通じ、総額約400億円を投じて京都府内に「京阪奈データセンター(仮称)」を建設すると発表。関西圏でビジネスを拡大するクラウド事業者の増加を見込んだ施策としており、NTTコミュニケーションズが25年度下半期からサービスを開始する予定だという。

また、NEC <6701> [東証P]は神奈川県と神戸市のデータセンターに新棟を建設する計画を明らかにしている。「NEC神奈川データセンター2期棟」を23年下期に、「NEC神戸データセンター3期棟」を24年上期に開設する予定。消費電力のすべてを再生可能エネルギーで賄うことが特長で、今後も耐災害性・高セキュリティーを実現する「安全・安心」、省電力による「効率」、各種クラウドサービスへの接続を可能にする「コネクティビティ」の3つの観点で強化していく構えだ。

両毛システムズ <9691> [東証S]は、自然災害の少ない群馬県太田市に安全性・堅牢性を最大限に高めた新データセンターを建設する。自然災害の頻発化や激甚化、サイバー攻撃など、さまざまなリスクから重要インフラを守り、複雑化高度化する顧客のニーズに応えることが目的で、稼働時期は24年春を予定している。

このほかでは、東京日産コンピュータシステム <3316> [東証S]、AGS <3648> [東証S]、ブロードバンドタワー <3776> [東証S]、さくらインターネット <3778> [東証P]、システムサポート <4396> [東証P]、アルテリア・ネットワークス <4423> [東証P]、アイネット <9600> [東証P]などがデータセンターを運営している。

●一段と増加する部品・部材へのニーズ

通信量が今後も増加し続けることが予想されるなか、データセンターへの設備投資が膨らむ公算が大きく、部品・部材を手掛ける企業からも目が離せない。

ニッパツ <5991> [東証P]は今月5日、データセンター向けHDD(ハードディスクドライブ)用サスペンションの生産能力を増強すると発表した。投資額は6億円で、稼働開始時期は23年4月を予定。この設備増強によって、現時点で確定している受注増への対応を図るとともに、今後の更なる需要増については改めて追加の設備投資を検討するとしている。

アンリツ <6754> [東証P]は9月、中心波長1310ナノメートルで高温動作タイプの半導体光増幅器(SOA)「AA3T115FYB」の販売を開始した。このSOAは45度の高温で高利得、低偏波依存利得が得られることが特長で、データセンターネットワークや受動光ネットワーク(PON)など、光通信システムに使用する光トランシーバーに適しているという。

京セラ <6971> [東証P]は9月、データセンターなどのサーバー内のプリント配線板に搭載し、電気信号を光信号に変換して送受信する「オンボード光電気集積モジュール」を開発したことを明らかにした。プロセッサーから出力する電気信号をより早い段階で光信号に変換し、電気信号で送受信する際に発生する配線損失を減らすことができることから、データセンターやスーパーコンピューターなどの省電力化・高速大容量化につながるとしており、早期の社会実装を目指す考えだ。

サンコール <5985> [東証P]は8月、光ファイバー用コネクターの新製品「スリムパック・クラスター・アダプタ」をリリースした。これはデータセンターなどで需要が高まっている光ファイバー通信の高密度化を支えるもの。データセンターなどの光接続では、ラックパネルやカセットと呼ばれる接続ボード上の限られたスペースに、どれだけたくさんの光ファイバーコア(芯)を効率よく並べられるかがカギで、従来は1つのアダプターにつき2つか4つの芯を持つ構造が主流だったが、新製品では6芯・8芯・12芯の多ポートタイプをラインアップしている。

これ以外では、データセンター内の次世代光配線ソリューションを手掛けるエクシオグループ <1951> [東証P]、膨大な情報を保存し処理するメモリーやロジックに使われる高精度最先端シリコンウエハーを製造するSUMCO <3436> [東証P]、ICパッケージ基板(半導体への電源供給や、半導体とマザーボード・プリント配線板を接続するための微細な電気信号回路を有した電子基板)を取り扱うイビデン <4062> [東証P]、データセンター向け関連製品を展開するルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]、データセンターやICT機器で進む集積化に寄与する小型部品を販売する村田製作所 <6981> [東証P]、データセンターなどのITインフラから業務のアウトソーシングまで顧客の事業戦略を支えるICTソリューションをワンストップで提供する鈴与シンワート <9360> [東証S]などが関連銘柄として挙げられる。

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