来週の株式相場に向けて=相場のカギ握る日電産とアップル
波乱展開も警戒された10月相場だが、これまでのところ底堅さをみせている。NYダウは3万ドル前後、日経平均株価は2万7000円前後の水準では下げ渋る展開にある。
この大きな要因は、ひとつには米国のインフレ懸念の先行きがやや見えてきたことがある。11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は0.75%利上げの公算が高いが、政策金利の最終到達点であるターミナルレートは5.0~5.25%前後との見方が強まってきた。気になる家賃の上昇は、住宅ローンの引き上げで一定の時間をかけながら徐々に落ち着くとの見方が強い。賃金上昇も景気後退となれば、企業も高い賃金を提示し続けることは難しい、とみられている。
気になるのは、急激な金利上昇が大幅な景気後退をもたらさないかだ。その意味で注目を集めている米国の7~9月期決算も、「現状では想定に比べ底堅い」(市場関係者)と見られている。この点が、足もとの相場を支えている格好だ。
そんななか、来週からは日本企業の決算発表が本格スタートする。そのトップを飾るのが24日の日本電産<6594>だ。同社に関しては最近では永守会長の後継問題がクローズアップされてしまっている感も強いが、やはりEV向けを含む車載向け需要の動向は強い関心を集めそうだ。日電産の決算が無難にこなされるなら、東京市場に好影響を与えるだろう。一方、海外に目を向ければアップル<AAPL>が米国時間27日に決算発表を行う。すでに「新型iPhoneの増産計画を断念」との報道も流れ、業績伸び悩みも懸念されているものの、実際の決算の内容と株価の反応が注目される。
来週は、日電産とアップルの日米2社が相場を左右する展開が予想されるが、その内容がたとえ前向きに評価されたとしても、11月FOMCを前に上値が重い展開は続きそうだ。他の日本企業では、25日にシマノ<7309>、26日に日東電工<6988>、27日に富士通<6702>、28日にキーエンス<6861>などが決算発表を行う。米国では25日のアルファベットC<GOOG>、26日のメタ・プラットフォームズ<META>、27日のキャタピラー<CAT>などが注目される。
経済指標では、27日に米7~9月期国内総生産(GDP)が発表される。国内では27~28日に日銀金融政策決定会合が開催される。IPOは、26日に東証グロース市場へ新規上場するAtlas Technologies<9563>など4社が予定されている。来週の日経平均株価の予想レンジは2万6500~2万7300円前後。(岡里英幸)