【植木靖男の相場展望】 ─ベアマーケット・ラリーを想定した銘柄群にシフト

市況
2022年10月29日 8時00分

「ベアマーケット・ラリーを想定した銘柄群にシフト」

●次の相場の肝“2万8000円処”を抜けば、3万円も視野に

日経平均株価はこれまで戻り売りに押され、10月6日の2万7311円(終値ベース)を頭に苦戦を強いられていた。これに屈することなく、26日にはついに戻り相場の肝であり、かつチャート上の上値抵抗であった、この2万7311円を突破した。

市場の空気は、これで一変したはずである。もちろん、この背景には米国株の底入れ反発が大いに追い風となっていることはいうまでもない。

なぜ、米国株は反発に転じたのか? 表面上は米利上げペースの減速観測が浮上してきたためだ。加えて、マクロ経済統計では景気の先行きが不安視される指標の発表が相次いでいる。住宅関連しかり、消費者物価指数(CPI)しかり、そして長期金利の低下もある。

こうした悪化を示す指標が出る度に、株式市場は反発する。これは政策転換を期待してのものだ。だが、奇妙なことにミクロ指標、つまり決算で悪い数字が出ると個別では売られる。マクロが悪ければ、いずれミクロも悪化するのに、マクロとミクロで反応が異なるところに株価の妙がある。

では、大きな株価の流れをみると、最近とみに「ベアマーケット・ラリー」という言葉を聞く。米国株は年初に大天井を打って第一波の下げに入った。これは、金利が上昇に転じ、株価が下がる逆金融相場だ。

だが、この逆金融相場も終了しつつあるようだ。だとすると、次は第二波の下げである逆業績相場に移る。金利はなおも上昇しつつあるが、いよいよ業績が悪化する段階だ。この時、すぐにこの第二波に入るのではなく、株価的にはその前に中間反騰がほぼ間違いなくみられる。流れとしては弱気相場であることは変わらないが、ときに上昇することもあるベアマーケット・ラリーだ。いま米国株はこの段階にあると捉えたい。

この機に乗じて上昇を始めたのが東京市場だ。上昇の建てつけとしては、円安によるインバウンドの復活と企業収益の改善、さらには円安による海外資本の国内流入、国内設備投資の受注増などだ。Jカーブ効果がみえ始めたようだ。

かくして、日経平均株価は次の戻り相場の肝である2万8000円処を目指すのではないか。ここを突破すれば、いよいよ3万円の大台も視野に入ってこよう。行く先を見失った世界の投機資金は、東京市場に注目せざるを得ないであろう。

●次の主役として期待される重工業株

この中間反騰だが、いつ頃まで続くのだろうか。米国株でみれば来年1月頃とみておきたい。

では、どのような物色対象が考えられるのか。いうまでもなくベアマーケット・ラリーなのだから、企業収益が悪いのは周知の事実。だからといって、グロース株は収益悪化で買えないなどと言ったら、素人だと笑われるのがオチだ。いわゆる二番天井に向かうのがこのラリーなのだ。その典型例がソフトバンクグループ <9984> [東証P]だ。二番天井どころか4月に付けた戻り高値を抜いてしまった。

とはいえ、グロース株では厳選が必要となる。二番天井までのラリーには限界があるからだ。注意するに越したことはない。また、常識的には次の主役は、下値固めをしている銘柄の中から登場しよう。

このような観点からいえば、グロース株の中からは京セラ <6971> [東証P]、日立製作所 <6501> [東証P]、東芝 <6502> [東証P]など。これらはまだベアマーケット・ラリーに乗れておらず、株価的には未消化の状態だ。注目すべきだ。

一方、次の主役とみられる業種はやはり重工業、つまり三菱重工業 <7011> [東証P]、IHI <7013> [東証P]だ。このほか、商社プラント株も面白そうだ。また、世界の市場が縮む中、内需関連株や建設小売り 金融も期待できそうだ。

2022年10月27日 記

株探ニュース

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