上方修正&割安株を狙い撃ち! 上値期待の「業績絶好調6銘柄」厳選リスト <株探トップ特集>

特集
2022年11月14日 19時30分

―不安定な相場環境で脚光、上方修正で水準訂正余地膨らむ好業績・低PER株を選出―

3月期決算企業による22年4-9月期の決算発表がおおむね出そろった。上期決算では為替の円安進行や原材料高による企業業績への影響にマーケットの注目が集まったが、急激な円安が製造業を中心に強力な追い風となり、想定以上に業績予想を上方修正する企業が相次いだ。折り返し地点にあたる上期決算での通期見通しの引き上げは、先行きへの自信の表れといえ、こうした企業は一段の業績上振れや来期の収益拡大も期待できる有力株としてマークしたい。今回は直近で通期予想の上方修正に踏み切った企業のうち、株価指標面で割安感が強く、上値余地が大きいとみられる銘柄を探った。

●上方修正ラッシュの一方で下方修正も目立つ

10月1日から11月11日までに23年3月期通期の業績予想を修正した企業を集計したところ、経常利益(米国会計基準と国際会計基準は税引き前利益)予想を引き上げた企業は467社に上った。世界的なインフレ高進や資源高、中国のゼロコロナ政策などから先行きに慎重姿勢をみせていた企業が多かったこともあり、およそ4社に1社が上方修正した格好だ。業種別に見ると、円安進行の恩恵を受ける機械や電気機器を中心とする製造業のほか、値上げ効果で採算が改善している鉄鋼メーカー、電子部品などの旺盛な需要を取り込む商社に上方修正した企業が目立つ。

一方、業績予想を下方修正した企業も多く、11日までに316社が通期経常利益予想を引き下げている。原材料・エネルギー価格の高止まりや円安による仕入れコストの増加、中国の需要低迷などが逆風となり、化学、食品、建設業界などに業績見通しを引き下げる動きがみられた。

●不安定な相場の押し目買い候補として注目

東京株式市場では、米連邦準備理事会(FRB)による利上げペースが減速するとの期待から急反発をみせる米国株市場に連動する形で、11日に日経平均株価がフシ目となる2万8000円を約2ヵ月ぶりに回復した。ただ、今後も外部環境に左右されやすい展開が続くとみられ、先行きに対する警戒感は拭えない。今回は不安定な相場環境における押し目買い候補として、業績が好調で株価指標面に割安感のある銘柄に照準を合わせた。

以下では、直近で23年3月期の経常利益予想を上方修正した企業を対象に、株価が1株あたり純利益の何倍まで買われているかを示す「PER」(株価収益率)が低位で、株価の水準訂正が進むことが期待できる6銘柄を紹介していく。

●大同特鋼は17期ぶりの過去最高益を奪還へ

大同特殊鋼 <5471> [東証P]は世界トップクラスの実績を誇る 特殊鋼専業メーカー。上期業績は自動車減産の長期化によって鋼材販売数量は減少したものの、原燃料コスト上昇分の販売価格への転嫁を進めたうえ、半導体やエネルギー関連などの鍛造品の引き合いが強く、経常利益は240億9200万円(前年同期比17.2%増)と上期ベースの過去最高益を達成した。鉄スクラップ価格の高騰が落ち着いたことも考慮し、通期の同利益予想を17期ぶりの最高益見通しとなる460億円(従来予想は350億円)へ上方修正するとともに、配当も年200円(従来は180円)に引き上げた。指標面では予想PER5倍台、PBR0.5倍近辺と極めて割安感が強いうえ、配当利回りは4%を大きく上回っており、株価の水準訂正余地は大きそうだ。

●エレマテックは最高益路線を快走、株主還元にも積極姿勢

豊田通商 <8015> [東証P]系の電子部品商社であるエレマテック <2715> [東証P]は、上期決算の開示とあわせて、23年3月期通期の経常利益が109億5000万円(前期比39.2%増)になりそうだと発表。従来予想の86億5000万円から上方修正し、2期連続の最高益見通しを更に上乗せした。ドライブレコーダーなどの自動車アフターマーケット向け製品やゲーム機向け関連部材の販売が好調にあるほか、為替の円安効果もプラスに働く。業績修正とともに配当予想も従来計画の年60円から年74円へ増額する方針を示した。これを受けて株価は急騰し、10月31日に約7年2ヵ月ぶりの高値をつけたが、指標面では予想PER8倍前後、配当利回り5%近辺と投資妙味は大きく、一段の上昇余地がうかがえる。

●山洋電は予想PER6倍台と超割安水準

冷却ファンやサーボモーターを主力とする山洋電気 <6516> [東証P]は、通信装置、制御機器、半導体製造装置などの旺盛な設備投資ニーズを取り込み足もとの業績は好調を極めている。上期決算は売上高588億3600万円(前年同期比18.1%増)、税引き前利益82億300万円(同48.9%増)といずれも上期ベースの過去最高を塗り替えた。冷却ファンを展開するクーリングシステム事業でファクトリーオートメーション(FA)市場からの需要が増加したことに加え、円安進行による為替差益の発生も利益を押し上げた。好調な業績を受け、通期業績見通しと配当予想の増額修正に踏み切っている。株価は年初来高値圏に急浮上したが、予想PERは6倍台と割安水準にあり、更なる上値が期待できそうだ。

●テセックはパワー半導体の測定装置で需要捉える

テセック <6337> [東証S]は半導体検査装置メーカーでハンドラ(半導体選別装置)とテスター(半導体性能測定装置)を展開する。パワー半導体分野に強みを持ち、パワーデバイスの測定システムでは世界をリードする存在だ。上期業績は電子部材の調達難が解消せず一部出荷が未達となったものの、車載向けパワーデバイス用を中心にテスターが大きく伸びたほか、パーツなどの販売が増勢だった。更に、円安による増益効果や為替差益も加わり、経常利益は前年同期比93.0%増の16億1200万円に膨らんだ。好調な業績を踏まえ、通期の同利益を前回の減益予想から一転して増益見通しに大幅上方修正し、配当も年100円(従来比30円増)に増額した。株価は決算発表前の水準から4割以上も上昇しているが、配当利回りが4%前後と高水準にある一方、予想PERは6倍台にとどまっており、一段高への期待は大きい。

●ダイハツデは見直し余地十分、防衛関連の側面も

ダイハツディーゼル <6023> [東証S]は船舶用ディーゼルエンジンの世界大手メーカー。前期に液体燃料とガス燃料を切り替えて運転可能なデュアルフューエル機関を4機種投入したほか、次世代燃料機関の開発を進めるなど、環境分野に注力姿勢をみせる。足もとの業績は好調で上期決算発表前に通期予想を上方修正している。コロナ禍に伴う移動制限の緩和を受けて、東南アジアを中心に利益率の高いメンテナンス関連の需要が増加していることに加え、為替の円安進行も追い風となる。株価は4日に約10ヵ月ぶりの高値576円をつけた後、上昇一服しているが、予想PER7倍前後、PBR0.4倍台と見直し余地は大きい。同社は防衛省との取引実績が豊富で、政府が防衛費の大幅増額を検討するなか、 防衛関連としてもマークしたい。

●スタティアHは新成長ステージへの飛躍に期待

スターティアホールディングス <3393> [東証P]は、中小企業向けITインフラ構築を軸に安定成長を続けてきたが、新たな成長ステージに向けてデジタルマーケティング事業への積極投資を進めている。中期経営計画では25年3月期に営業利益33億円(22年3月期実績は3億4400万円)の目標を掲げる。足もとの業績は主力のITインフラ事業が絶好調で、10月28日に今期2度目となる通期計画の上方修正を発表した。23年3月期の経常利益予想を14億3000万円(前期比2.6倍)へ引き上げ、従来の8期ぶり最高益見通しを更に上乗せした格好だ。営業の回転率向上によってネットワーク機器や複合機を中心に販売が好調に推移しているほか、コスト削減の進展も利益を押し上げる。株価は強調展開を示しているが、予想PER11倍台と割高感はなく、成長力を考慮すればここからの上値余地は大きいといえる。上場来高値(修正後株価)は21年7月につけた2180円と天井も高い。

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