為替週間見通し:底堅い値動きか、米利上げペース鈍化も引き締め継続の公算

通貨
2022年11月19日 15時07分

【今週の概況】

■米利上げ継続予想でドル反発

今週のドル・円は反発。週初11月14日に140円80銭まで買われたが、15日発表の10月米生産者物価指数は市場予想を下回ったことから、インフレ緩和への期待が高まり、137円68銭まで反落した。しかしながら、16日発表の10月米小売上高は市場予想を上回り、17日発表の日本の10月貿易収支で赤字幅は拡大したことから、リスク回避的なドル売り・円買いは縮小した。セントルイス連銀のブラード総裁は「金融政策について、さらなる引き締めが必要になる」と主張したこともドル買い材料となった。

18日のニューヨーク外為市場でドル・円は、139円69銭まで下げた後、140円42銭まで戻した。この日発表された10月米景気先行指数は予想外に悪化したため、ドル売りが優勢となったが、10月米中古住宅販売件数は予想を上回ったこと、ボストン連銀のコリンズ総裁は「インフレが鈍化している明確な証拠はなく、75BPの追加利上げも選択肢」との見方を伝えたことから、ドル売りは縮小。140円38銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:137円68銭-140円80銭。

【来週の見通し】

■底堅い値動きか、米利上げペース鈍化も引き締め継続の公算

来週のドル・円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げペース減速の思惑が広がっているが、12月と1月に合計1ポイントの追加利上げが実施される可能性が高いため、ドル買いは根強いとみられる。10月消費者物価指数(CPI)、10月生産者物価指数(PPI)は市場予想を下回ったことから、12月13-14日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)以降の利上げ幅縮小を想定したドル売りが観測されたが、FRB当局者はタカ派姿勢を崩していない。ブレイナード副議長は将来の利上げ幅縮小の可能性に言及しながらも、利上げを継続する意向。他の金融当局者も異口同音に利上げの重要性を指摘しており、ドルは売りづらい面もある。

23日に公表される連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(11月1-2日開催分)でターミナル金利(利上げピーク時の金利)に関する議論から利上げ継続の方向が示された場合、ドルの買戻しにつながるだろう。世界的なインフレのピークアウトの観測から、株式投資は拡大する可能性がある。アジアや欧米の株価が強気相場に戻るとの見方が広がった場合、リスク選好的な円売りが強まる可能性がある。

【米・10月耐久財受注】(23日発表予定)

23日発表の米10月耐久財受注は前月比+0.3%と予想されるが、市場予想と一致しても、10-12月期国内総生産(GDP)の伸びに寄与しない可能性があるため、強いドル買い要因にはなりにくいだろう。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(23日公表予定)

米連邦準備制度理事会(FRB)は23日、11月1-2日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表。次回12月会合で引き締めを緩める手がかりがつかめれば、ドル売り要因となろう。

予想レンジ:138円50銭-142円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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