富田隆弥の【CHART CLUB】 「25日線割れは注意信号」
◆12月に入って日米ともに株式市場は調整含みだ。12月13-14日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えて投資家は動きにくいところだ。ただし、米長期金利(10年債)は11月の4.2%台から直近では3.4%台に低下し、為替(ドル円)は10月21日の1ドル=151円94銭から12月2日には133円65銭と円高に振れており、マーケットは今回のFOMCでの「0.5%利上げ」を織り込みにきていると言える。
◆つまり、株式市場にとって好材料である「利上げ幅の縮小」もかなり織り込んだ可能性がある。そうなると、次の焦点は「インフレのピークアウト」となり、利上げ幅の縮小よりも重きを置く解説も聞かれるようになった。だが、これは裏返せば、焦点は「景気減速」に移行したとの見方もできる。株価が調整から切り返すことができなければ、正解は後者となる。
◆8日の日経平均株価は前日比111円安の2万7574円で引け、2万7415円のザラバ安値を付けた。日足チャートはポイントとなる25日移動平均線(8日時点2万7894円)をすでに割り込んでおり、75日移動平均線(同2万7584円)に差し掛かった。週足チャートの移動平均線(13週、26週、52週)が2万7400円近辺に集まることから、ここで下げ止まって切り返してもおかしくはない。
◆ただし、25日移動平均線を割り込んだことで、チャートは「注意信号」を灯した。流れを上昇に戻すには、11月24日に上ヒゲで付けた高値2万8502円を奪回しなければならない。それを確認するまでは「アヤ戻り」の上昇であり、待ち構える戻り売りによる試練が続く。逆に、8日の下ヒゲで付けた安値2万7415円を割り込み、週足の各移動平均線を下回るようだと、「本格調整入り」を覚悟することになる。
◆14日のFOMCの結果とその後のNYダウなど米国市場の反応がポイントになるが、12月中旬以降は個人投資家による節税対策売り(損失確定売り)も出やすく、3兆2247億円に膨れている信用買い残も気になる。米国では言うまでもなくクリスマス休暇の準備が始まる。何はともあれ、師走相場は日経平均株価のチャートに従い、チャート好転を確認するまでは無理せずに「静観」することも一策だ。好機を待つのも相場である。
(12月8日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース