明日の株式相場に向けて=市場を駆け巡った2つの思惑
19日の東京市場は、日経平均株価が一時2万7100円台まで下落する軟調展開だった。米国発の金融引き締め懸念と景気減速に対する警戒感が全体相場を押し下げた。ただ、2万7000円ラインに接近する場面では買いが流入。当面は、2万7000円を維持できるかが焦点となりそうだ。とりわけ、景気減速懸念に対する警戒感は強いが、市場関係者からは「やや警戒し過ぎでは」との声も出ている。
そんななか、19日の市場には2つの思惑が駆け巡った。ひとつは、「日銀が2%物価上昇目標の達成時期を見直すことを検討する」との観測だ。一部報道を背景にしたものだが、黒田日銀総裁の4月の退任後を睨んだものとみられている。この報道を背景に、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>やみずほフィナンシャルグループ<8411>などメガバンクが上昇した。この話題は、明日の黒田総裁の記者会見などにも絡み注目されそうだが、新年にかけ日銀絡みの報道が活発化することは間違いなく、それとともに銀行株への思惑売買も活発化することになりそうだ。
もうひとつの思惑が、米大手ソーシャルメディア、ツイッターのイーロン・マスクCEOを巡るものだ。マスク氏はツイッター上で、ツイッターのトップを辞任すべきか利用者に問う投票を開始した。その結果には従う、としたことから俄然注目を集めている。最終結果は不明だが、票数では辞任に対する賛成票が優勢な情勢が見られたことから、「もしマスク氏がツイッターのCEOを辞任すれば、保有するテスラ<TSLA>の株の売却懸念もなくなり、テスラ株が上昇。米株式市場全体にもプラス材料になるのではないか」(アナリスト)という思惑が浮上した。実際の決着がどうなるか、また株式市場への影響はあるのか。クリスマス、そして年末に向けたホットな話題となっている。
明日は日銀金融政策決定会合の結果が発表され、黒田日銀総裁の会見が予定されている。また、東証グロース市場にINFORICH<9338>とメタバース関連株として注目されるmonoAI technology<5240>が新規上場する。
最終更新日:2022年12月19日 18時15分