為替週間見通し:下げ渋りか、安全逃避のドル買いが増える可能性

通貨
2022年12月24日 13時42分

【今週の概況】

■日銀による長期金利の許容変動幅拡大で円買い強まる

今週のドル・円は下落。日本銀行による長期金利の許容変動幅の拡大銀区一時130円58銭まで急落する場面があった。12月19-20日に開かれた日本銀行金融政策決定会合で長期金利の許容変動幅を拡大することが決まった。事実上の利上げになるとの見方が強まり、20日の東京市場でリスク回避的なドル売り・円買いが急速に広がった。同日のニューヨーク市場でも長期金利の許容変動幅拡大を受け、ドル売り・円買いが活発となり、一時130円58銭までドル安・円高が進行した。ただ、131円以下では顧客筋のドル買いが観測されており、22日の欧米市場では利益確定を狙った短期筋などのドル買いが増えたことでドル安・円高は一服した。

23日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時133円14銭まで上昇した。この日発表された11月コアPCE(個人消費支出)価格指数は市場予想を上回り、10年債利回りは上昇したことから、ドル買いが優勢となった。11月の米新築住宅販売件数が増加したこともドル買い材料となり、ドル・円は132円84銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:130円58銭-137円48銭。

【来週・再来週の見通し】

■下げ渋りか、安全逃避のドル買いが増える可能性

来週・再来週のドル・円は下げ渋りか。日本銀行は12月19-20日に開催した金融政策決定会合で、現行の緩和的な金融政策維持を決定したが、長短金利操作で長期金利の許容変動幅を0.25%から0.50%に拡大したことから、今後は引き締め的な政策に転換するとの見方が広がっている。一方、米国経済の減速が懸念されているものの、株式などのリスク資産から安全資産であるドルへの逃避が広がる可能性がある。外為市場は年末年始を挟んで薄商いとなるが、日銀が政府との協定を見直すとの警戒感は消えていないため、主要通貨に対する円買いがただちに縮小する可能性は低いとみられる。米連邦準備制度理事会(FRB)は年明けに12月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表する。パウエルFRB議長は1月末のFOMCでの利上げ幅について据え置きか縮小か、データ次第と指摘している。

ただ、主要中央銀行による金融引き締めで世界経済の減速懸念が強まり、株式市場は弱気相場となりやすい。その際には欧州通貨などに対する安全逃避のドル買いが入り、この影響でドル・円の取引でもドル買い・円売りが優勢となる可能性もあろう。

【米・12月ISM製造業景況指数】(23年1月4日発表予定)

2023年1月4日発表の米12月ISM製造業景況指数は48.5と、前月の49.0から小幅に鈍化する見通し。市場予想を下回った場合、米国経済の先行きに不透明感が強まるとみられ、金利安・ドル安に振れやすい。

【米・12月雇用統計】(23年1月6日発表予定)

1月6日発表の米12月雇用統計は失業率が3.7%、非農業部門雇用者数は前月比+21.0万人と予想されている。平均時給は前年比+5.0%にとどまる見込み。市場予想と一致した場合、インフレのピークアウトが意識されそうだ。

予想レンジ:130円00銭-135円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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