明日の株式相場に向けて=「防衛」と「原発」でキシダノミクス再浮上

市況
2022年12月26日 17時00分

週明け26日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比170円高の2万6405円と反発。きょうは日本株市場と同じ時間軸で進むアジア株市場で香港やシンガポールが休場、更にクリスマス明けの米国や欧州株市場も軒並み休場ということで、海外投資家の参戦が見込めない中での取引となった。売買代金は当然のように2兆円台を割り込んだだけでなく、プライム市場再編後では過去最低水準の売買代金だったもようだが、株価の方は「閑散に売り無し」を地で行く展開となり頑強な値動きに終始した。

当欄も含め大方の市場関係者が主張していた年末高のシナリオは、見ての通り崩壊した格好となっているが、前倒し的に株価調整に見舞われた分だけ、年末年始相場はガス抜きが利いて強調地合いとなる可能性もある。ただ、ここでリバウンド局面に移行したとしても中長期的な上昇トレンド復帰へとつながる可能性はかなり低い。基本的に23年相場の前半は引き潮局面と判断され、戻り売りを念頭に置いておく必要がある。個別株のテーマ買いの動きは継続するが、足の軽そうな銘柄でもタイミングを間違えると沖に流されてしまう、そんな相場がしばらく続くことになりそうだ。

テーマ買いの動きとしては、支持率の低下が止まらない岸田政権であってもやはり“国策”を主軸に考えておくよりないところだ。財務省や米国の言いなり政権と揶揄され、増税内閣のレッテルまで貼られている岸田政権だが、実際のところ積極的に財政投入する姿勢を浮き彫りとしている。市場関係者の中には「キシダノミクスは、現時点で改めて見直すとアベノミクスのバージョンアップ的な色が強い」(ネット証券ストラテジスト)と称賛する声すら聞かれる。これは岸田首相が、例えば自身のポリシーではなくどこかに耳を傾けて導き出した政策路線であったとしても、現実にレールが引かれているのは確かであり、評価できる部分は額面通り評価するのが株式市場だ。

その際たるものが防衛費の大幅増強である。「アベノミクスのDNAを継ぐもので、仮に米国の言いなりとなって湾岸戦争で使われた時代遅れの長物『トマホーク』を買わされたとしても、5年間で43兆円という予算は巨額である。トマホークに充てる分はせいぜい数千億円に過ぎないのだから、これは揶揄するに値しない」(同)とする。財源の法人増税にしても、納税額に4%強を上乗せする程度の付加税で実施時期も2024年以降の適切な時期という趣旨でかなり先送りされた印象が強い。株式市場でも「防衛増強」が強力な投資テーマとして意識されているのは事実だ。本命は繰り返しになるが三菱重工業<7011>。そして、次に川崎重工業<7012>。思惑材料株の中では細谷火工<4274>の動きが良い。

そして原発の活用に一段と前向きになっているのもキシダノミクスの特長だ。前週末23日には原発の新規建設や運転延長などを盛り込んだGX(グリーン・トランスフォーメーション)の基本方針案について、岸田政権ではパブリックコメントをスタートさせ、漸次外堀を埋めていく構えにある。再生可能エネルギーだけでは脱炭素の実現には程遠い。世論も廃炉が決まった原発を次世代型原発にリプレースすることを支持する向きが過半を占めている状況(世論調査)で、これも徐々に現実化に向けた動きが強まっていきそうだ。関連銘柄ではここでも三菱重がコアカンパニーとなるが、最近では助川電気工業<7711>が折に触れ買いを集める動きをみせている。基本は押し目狙いで対処したい。

このほか原発関連では原発向け振動試験装置や計測器を手掛けるIMV<7760>や、原発向けバルブ・アクチュエーターのトップメーカーである日本ギア工業<6356>、原発メンテナンスで実績が高く、東京電力ホールディングス<9501>を筆頭株主とする東京エネシス<1945>あたりに妙味がありそうだ。

あすのスケジュールでは、11月の失業率、11月の有効求人倍率、11月の商業動態統計などがいずれも朝方取引開始前に発表されるほか、午後取引時間中には11月の建機出荷、11月の住宅着工統計が開示される。また、2年物国債の入札も行われる予定。このほかIPOが2社予定され、BTM<5247>、ELEMENTS<5246>がいずれも東証グロース市場に新規上場する。海外では、1~11月の中国工業企業利益、10月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数など。なお、オーストラリア、ニュージーランド市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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