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「SaaSの死」から復活へ、好実態で注目のリターンリバーサル有望株 <株探トップ特集>

特集
2026年7月18日 19時30分

―半年間の雌伏の時を越え、出遅れ感強めたソフトウエア企業に再評価機運―

長らく続いたAI・半導体関連銘柄への一極集中相場が終わり、資金がバリュー・内需へと流れ始めている。特に「SaaS の死」懸念で過剰に売られたソフトウエアやシステムインテグレーター関連株は、好実態ながら割安感を強めている銘柄が多い。決算発表前後に「リターンリバーサル」を演じる可能性のある有望株としてマークをしておきたい。

●半導体株に異変

東京株式市場は上昇トレンドの踊り場を迎え、内部構造が変貌する転換期にある。超大型ハイテク・半導体株から、バリュー株・内需優良株へと投資資金のシフトチェンジが進んでいる。米国市場も同様に、一部の巨大テック企業から伝統的セクターへの資金還流が顕在化している。

背景にあるのは日米金利の上昇トレンドである。国内では賃上げの定着と製品・サービス価格への転嫁によってインフレが進み、日銀は追加利上げ路線を継続している。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による長期国債買い支え観測などが広がり、直近では金利上昇に一服感があるものの、財政悪化リスクが指摘されるなかで金利の先高観は依然としてくすぶったままの状態だ。米国では6月の消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を下回り、早期の利上げ観測は一時的に後退することになったが、米国景気の底堅さが意識されるなかで、米金利の高止まりの状態が続くと予想する市場参加者は決して少なくはない。

加えて、長く続いたAI・半導体関連の一部銘柄への物色に飽きが出てきたこともある。東京市場は「金利のある世界」への移行期を迎え、AI・半導体に代わる次の主役となるリターンリバーサル銘柄を模索する局面にシフトしてきたと考えられる。

●「SaaSの死」の過剰な売りが好機に

ソフトウエア・セクターに対する投資心理を冷え込ませた、いわゆる「SaaSの死」を巡る市場心理のパニック。引き金となったのは、米AI新興アンソロピックが2026年1月に発表した自律型AIエージェント 「クロード・コワーク」だった。人間の指示を逐一待つ従来のチャット型AIと異なり、大まかな目標を与えるだけでAIが自らアプリを操作し、業務を完結させるという機能が、座席数(従業員数)連動のライセンス収益モデルに依拠してきた既存のSaaS企業のビジネスモデルを脅かす存在と受け止められたのだ。

結果として、マネーフォワード <3994> [東証P]やSansan <4443> [東証P]といった優良プラットフォーム企業までもが業績悪化を伴わないまま、セクター一括りで売りを浴びせられた。この過剰な売り込みが生んだバリュエーションの底割れ状態こそが、決算発表を控えた今、リターンリバーサルを狙う好機を作り出すとみている。

企業が最も解約しにくいのは、業務効率化を担保する基幹システムである。AIエージェントが現場で機能するにも、既存プラットフォームが保有する高品質な内部データへのアクセスが前提となる。マネフォやSansanといった企業のサービスにAIが組み込まれ、従来の座席課金に依存しない新料金プランの進捗が確認されるとするならば、「SaaSの死」によって生じた過度な懸念は後退し得るだろう。

企業のDX投資予算を吸収するシステムインテグレーター(SIer)セクターも見逃せない。大手のNEC <6701> [東証P]や富士通 <6702> [東証P]は他のSaaS株と同様、今年に入り株価に下押し圧力が高まった。しかしSIer各社は人手不足を背景とするDX投資や、独自の生成AIを運用するためのプライベート・クラウド構築需要を取り込み始めている。自社開発プロセスへのAI導入によるコスト削減が営業利益率の改善として決算に表れれば、株価修正の材料となり得る。

金融機関の基幹システムをクラウド化し、利用量に応じて料金を支払う従量課金や、共同開発による売上高の分配といったレベニューシェアで収益を上げる「金融インフラ・SaaS」領域も注目される。国内金利上昇は銀行・保険・証券の収益環境を好転させ、システム刷新投資への強いインセンティブとなる。この領域は、IT株の自律反発と金融機関の投資拡大という2つの追い風を同時に受けられる位置にある。これらの観点で、注目すべき銘柄をピックアップしていく。

●SaaS・SIer関連で要注目の6銘柄

グループウエアのソフト開発が主力のサイボウズ <4776> [東証P]は26年12月期の経常利益が前期比3.9%増の107億3200万円と、4期連続で過去最高益を更新する見通し。業務システムをノーコードで構築できる「キントーン」が成長を続け、東証プライム企業の約46%が導入するなど国内で高いシェアを誇る。株価は年初来で9%安と出遅れた状況。200日移動平均線を明確に上抜けられるか注目される。

ITインフラストラクチャーにおけるクラウド導入支援やセキュリティー構築・運用を手掛けるボードルア <4413> [東証P]は、27年2月期の最終利益が前期比27.5%増の31億3400万円の見込みで、前期に続き過去最高益を更新する計画。下期偏重型の同社の3~5月期の税引き前利益は前年同期比38.7%増の8億3500万円となった。最先端のITインフラ分野を得意とし、M&A後のPMI(統合作業)を通じて着実に収益貢献に結び付けるという点で、結果も残している。株価は年始の急落以前の水準を5月に取り戻し、現在は年初来高値をうかがう展開となっている。

ITサービス大手で超高速開発やクラウド、セキュリティーなどに強みを持つJBCCホールディングス <9889> [東証P]は、27年3月期の経常利益が前期比18.4%増の88億4500万円を見込み、5期連続で過去最高益を更新する見通しだ。ストック型ビジネスの売上高比率を着実に高めて安定的な収益基盤を構築し、27年3月期の同比率は60%(前期は51%)に上昇する計画。株価は底入れ後、戻りを試す展開となっている。

GMOインターネットグループ <9449> [東証P]系のカード決済代行会社であるGMOペイメントゲートウェイ <3769> [東証P]は、26年9月期の最終利益が前期比7.2%増の234億600万円に伸びる見通しで、実現すれば3期連続増益になる。類似業種の「全東信」が破産したことから、その受け皿として注目されていることもあり、株価は1月以来の水準まで戻している。

金融・通信向けソフト開発に強みを持つ情報サービス業大手のDTS <9682> [東証P]は、27年3月期の経常利益が前期比2.4%増の173億5000万円を見込み、13期連続で過去最高益を更新する見通し。昨年9月に米オープンAIの日本法人と連携し、生成AI技術とSIerとしての総合力を生かして顧客のデジタル変革支援に取り組む方針を発表した。株価は6月に底入れしてリバウンド局面にある。

金融機関向けシステム構築が主軸のシンプレクス・ホールディングス <4373> [東証P]は27年3月期の最終利益が前期比17.9%増の124億2000万円と、9期連続で過去最高益を更新する見通し。3月時点の受注残高は前年同期比15.7%増の249億8900万円とこちらも過去最高となり、成長軌道をまい進している。7月に入り国内大手証券会社が投資評価最上位で新規にカバレッジを開始した。株価は6月に年初来高値を形成後、一度は調整局面に入ったが、再び高値奪還を狙う動きとなっている。

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