日ピストン Research Memo(4):自動車エンジン用ピストンリングやバルブシートが主力

特集
2022年12月27日 15時24分

■日本ピストンリング<6461>の事業概要

1. 事業概要

セグメント区分は自動車関連製品事業、舶用・その他の製品事業、その他(商品販売など)としている。また、セグメント区分とは別に、長期ビジョン・中期経営計画の達成に向けて、自動車エンジン事業(既存事業)と非自動車エンジン事業(コア技術を応用した新製品事業)に区分し、自動車エンジン事業の収益力強化と非自動車エンジン事業の育成・確立を推進している。

自動車エンジン事業の主要製品は、自動車エンジンの重要機能部品であるピストンリング、バルブシート、組立式焼結カムシャフトなどで、ピストンリングは世界シェアトップ5、バルブシートは日系自動車メーカー向けでトップシェアを誇る。一方、非自動車エンジン事業の主要製品としては、舶用ピストンリングやメタモールドのほか、医療機器関連、RV関連などがある。

セグメント別売上高については、自動車関連製品事業が売上高の大半を占めている※。また、製品別売上高構成比については、おおむねピストンリングが5割、バルブシートが2割を占めており、過去5期間で大きな変動はない。また、2022年3月期の地域別売上高構成比は日本が38.7%、海外が61.3%(アジア27.4%、ヨーロッパ14.1%、北米10.4%、その他の地域9.5%)であった。

※新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により、特に2021年3月期の自動車生産台数が世界的に落ち込んだため、同社の売上高についても同様に落ち込んでいる。

高度な精密加工・表面処理・材料・粉末冶金技術や焼結合金の粉末配合ノウハウなどに強み

2. 特徴・強み

主要製品であるピストンリングやバルブシートは、自動車エンジン性能に関わる重要機能部品である。

ピストンリングの主な役割には、エンジン燃焼室で燃焼ガスの漏れを封じるシール機能、潤滑油(エンジンオイル)のコントロール機能、燃焼熱を逃がす伝熱機能、ピストンの摩耗を抑えるサポート機能などがある。300℃という過酷な条件の燃焼室内で使用され、エンジン性能に直接関わる重要機能部品である。このため、高品質のピストンリングを供給できるメーカーは、世界でも同社を含む5社(米国1社、独1社、日本3社)に実質的に限定されている。技術動向としては、低フリクション化や耐摩耗性向上、高性能・高品質の材料と表面処理などが求められ、同社は会社設立以来約90年の歴史のなかで培ってきた高度な精密加工・表面処理・材料・粉末冶金技術などに強みを持っている。

バルブシートは、吸気弁(バルブ)及び排気弁の着座として使用され、燃焼室の気密性を保つ役割を果たしている。高温で叩かれても劣化しない耐久性や、燃焼ガスを確実にシールする高い気密性が求められるため、耐熱・耐摩耗性の高い材料として焼結合金が使用される。同社は焼結合金の粉末配合のノウハウを強みとして、日系自動車メーカー向けでは約4割とトップシェアを誇っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

提供:フィスコ

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