【杉村富生の短期相場観測】 ─アメリカは利上げ打ち止め?バリュー株!

市況
2023年1月15日 9時15分

「アメリカは利上げ打ち止め?バリュー株!」

●日本市場は円高がネック(重荷)に!

アメリカのインフレは収束しつつある。12月の米CPI(消費者物価指数)上昇率は6.5%だった。エネルギー(特にガソリン)価格の下落、サプライチェーン(供給網)の修復効果が大きい。住宅(家賃)は高止まりしているが、いずれ低下に転じるだろう。賃金は上昇一服だ。移民解禁(2021年が38万人、22年が101万人)の寄与があろう。

ちなみに、CPI上昇率は昨年6月の9.1%をピークに、7月は8.5%、9月は8.2%、10月は7.7%、11月は7.1%と改善が著しい。これを受け、地区連銀総裁の中には1月31日~2月1日のFOMC(連邦公開市場委員会)での「0.25%の利上げが最後になる」とコメントする人物が表れている。

実際、米10年物国債利回りは昨年10月24日の4.24%が直近では3.445%と急低下だ。もちろん、景気減速を反映している面がある。一方、日本国債利回り(10年債)は一時0.545%と、日銀の“上限”突破の動きになっている。これは1月17~18日の日銀金融政策決定会合を意識したものだろう。

この結果、為替は瞬間、1ドル=128円台の円高に振れた。昨年10月21日には151円94銭の超円安だったことを思うと、為替予測は難しい。為替市場は「アナリストの墓場」と言われるが、これは理解できる。ただ、このまま円高が進むとは考えにくい。円高圧力は日銀金融政策決定会合までだろう。その後は再びドル高基調に戻る、と判断する。

物色面では日米両市場ともに、バリュー系が強い。ハイテク系の値動きは悪い。NY市場ではNYダウ優位の状態が続いている。NASDAQ指数はいまひとつさえない。「金利低下→ハイテク系」にはならず、「利上げ打ち止め→景気回復」のパターンを先取りしているのだろう。日本市場は逆に、「金利上昇→円高」をイヤ気している。

●メガバンクを軸に、FIXERなどを狙う!

やはり、堅調なのは三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]など銀行株だ。金利上昇は利ザヤ拡大につながるし、店舗の統廃合を進め(跡地の再開発)、収益チャンスを狙っている。

売買代金上位にはレーザーテック <6920> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]の常連組が入っている。この点はNY市場とは違う。まあ、売られ過ぎの反動もある。このほか、景気敏感セクターの日本製鉄 <5401> [東証P]が買われている。半導体のソシオネクスト <6526> [東証P]はジリ高である。

小物筋では クラウドのFIXER <5129> [東証G]がストップ高だ。好決算に反応している格好だが、厚生労働省の新型コロナウイルス感染者の管理・把握をクラウド上で行うシステム(HER-SYS)を構築したのをはじめ、地銀システムのクラウド化(再編、合理化の切り札)を進めている。株価は一段高となろう。

さらに、monoAI technology <5240> [東証G]、トレジャー・ファクトリー <3093> [東証P]、マイクロアド <9553> [東証G]が急騰している。スマートドライブ <5137> [東証G]、monoAI technology、マイクロアドを手掛けているのは同じ当たり屋グループとされる。長期戦(値幅取り)を得意とする。

地銀の京都銀行 <8369> [東証P]、栃木銀行 <8550> [東証P]、北日本銀行 <8551> [東証P]、滋賀銀行 <8366> [東証P]、南都銀行 <8367> [東証P]なども好人気だ。ただし、商いは少ない。高いところを買うと、苦労しそうである。ここは メガバンクにマトを絞る戦術が有効と思う。

2023年1月13日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.