雨宮京子氏【戻り足強める日経平均、リスクオンは続くか】(2) <相場観特集>
―日銀イベント通過後の波紋の変化と物色の動向を探る―
23日の東京株式市場は前週末の米国株市場がハイテク株を中心に大きく上昇したことを受け、リスクオンの地合いが継続した。日経平均株価は2万7000円近辺ではヤレヤレ売りが出て上値の重さも意識されたものの、買い意欲は旺盛といってよい。日銀の金融政策決定会合後は下値に対する不安感はだいぶ後退したようにも見える。1月下旬から2月にかけて東京市場はどのような値動きを示すのか、先読みに定評がある市場関係者2人に今後の全体相場の展望と個別株物色の方向性について意見を聞いた。
●「昨年3月末株価を意識、日銀総裁人事で思惑も」
雨宮京子氏(雨宮総研 代表)
東京株式市場は強弱観対立のなかもひと頃よりは市場のセンチメントが改善している。これまで株価の圧迫要因になっていた米利上げについては、世界的なリセッションへの懸念が大きくなってきたことで状況に変化がみられる。物価の上昇が完全に鎮静化したわけではないが、3月のFOMCで利上げが打ち止めになる可能性が出てきた。そうなると、米国株式市場もダウンサイドリスクが小さくなるため、つれて日本株も不安感が後退することになるだろう。
ただし、一方で黒田日銀総裁の退任が近づいており、次期総裁就任に伴い国内に金融引き締め懸念が台頭しそうだ。実際に日銀は昨年暮れの政策決定会合で事実上の政策変更に踏み込み、今後は次第に日米金利差が縮小するとの見方が強い。ドル・円相場は中期的に円高に進むとみられ、輸出株を中心に上値が重くなることが予想される。日経平均は上下に動きにくい状況となり、その際にはこまめに値幅取り狙いで臨むのが実践的といえる。
当面は、国内の金融政策の動向と、それに伴い円高が進むか否かがポイントになる。プラス要因としては、行動制限の緩和により中国経済の回復期待が芽生えていること。このあたりは、足もとの決算発表シーズンにおいて中国関連株と位置づけられる企業のアナウンスに注目したい。全体相場は、ここから日経平均が昨年3月末の水準である2万7800円近辺を意識する動きを想定している。向こう3ヵ月の日経平均のレンジとしては2万5600~2万8300円のゾーンでみている。
個別株物色意欲は旺盛だ。業界初となる入居者と契約不要の補填型家賃保証サービスを手掛けるラクーンホールディングス <3031> [東証P]や中国経済再開期待で宮越ホールディングス <6620> [東証P]に妙味がある。直近IPO銘柄ではアルファパーチェス <7115> [東証S]の切り返しに期待したい。鉄鋼株では大和工業 <5444> [東証P]に注目している。また、主力どころでは個人投資家の人気が高いソフトバンクグループ <9984> [東証P]や東レ <3402> [東証P]をマークしておきたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。
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