明日の株式相場に向けて=「半導体株に新潮流」も基本は押し目買い

市況
2023年1月24日 17時00分

きょう(24日)の東京株式市場はリスクオンが加速し、日経平均株価が前営業日比393円高の2万7299円と大幅高を演じ3日続伸となった。世界的な株高ムードが醸成されるなか、きょうはフシ目の2万7000円台を約5週間ぶりに回復しただけでなく、長期波動の分水嶺である200日移動平均線を明確に上回ってきた。

前日は米国株市場に先立って欧州株市場が文字通りの全面高に買われた。米国以上に苛烈な物価上昇と景気の停滞で、スタグフレーションが避けられないと見られていた欧州が想定外の強調相場を続けている。紛れもなく踏み上げ相場の典型といえる。ロンドンFTSEは今月上旬に史上最高値を更新、独DAXや仏CAC40も気がつけば最高値圏を視界に捉えることができる位置にいる。背景にあるのは記録的な暖冬によりエネルギーコスト上昇の影響を受けにくくなり、企業の収益体質改善が期待できるようになったこと。そしてもう一つは、中国経済の再開期待を背景に同国との経済的つながりが深い欧州では、さまざまな業態で商機が高まることへの思惑がある。主にこの2つが上値追いの原動力だ。

だが、それでも欧州圏の経済実勢を考慮すれば違和感は拭えない。いくら株価に先見性があるとはいえ、最高値圏を舞い上がるような展開は人間の思考プログラムからは導き出せない。だからこそ空売りを誘導するわけだが、それが結局買い戻しを余儀なくさせられ株高の肥やしになってしまう。今の世界的な株価上昇は、米国の影響よりもこの欧州株の正体不明の強さが基点になっているようにも思えてくる。

一方、中国では経済再開による需要が発現するとはいっても、今のところ実勢ではなくあくまで期待が先行しているようにも思える。ところが、市場関係者によると「中国はこれまで約2年にわたる引き締め政策で、富裕層をはじめ過剰貯蓄の傾向が著しい」(ネット証券アナリスト)という。タガが一気に外れたことで、これまで抑え込まれていたマグマが噴出するように一大消費ブームが到来するというシナリオの蓋然性が高まっている。これが「中国の経済再開」というワードが意味するダイナミズムだ。

今回のゼロコロナ政策の劇的ともいえる方向転換は確かに世界の耳目を驚かせたが、それはダムが決壊するような中国爆需の再来を意味するのかどうか。もしそうであれば東京市場の未来図も変わってくるが、「そこ(中国爆需の復活)には原油や非鉄などコモディティ価格の上昇を背景とした“インフレ再燃”という落とし穴も待ち構えているだけに油断はできない」(前出のアナリスト)との指摘もある。

米株市場に目を向けると、ここ連日で米長期金利が上昇傾向を強めていることなどお構いなしに、ハイテク株への資金流入が加速している。そのなか、前日は特に半導体関連株への物色意欲が旺盛だった。トリガーを引いたのは半導体の設計・開発大手のアドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>の急騰だ。データセンター向けで半導体需要が復元されるとの見方をベースにバークレイズがAMDの投資判断を「バイ」に引き上げた。既に次回FOMCでの金融引き締め策打ち止めと年後半の“利下げ”をマーケットは読み込んでおり、このタイミングでの半導体関連の買い推奨はグッドタイミングであったともいえる。米国ではこのほかエヌビディア<NVDA>やインテル<INTC>、アプライド・マテリアルズ<AMAT>、マイクロンテクノロジー<MU>など半導体関連株が総花的に買われたが、この流れは当然ながら海を渡って東京市場にも押し寄せた。レーザーテック<6920>、東京エレクトロン<8035>、アドバンテスト<6857>など半導体製造装置関連が朝方一斉にカイ気配で始まるなどセオリー通りの展開となった。ただ、レーザーテックは終盤値を消しており、東エレクも上ヒゲ陰線を引くなど高値警戒感もみられた。あくまで押し目買いを基本に無理をしないのが今の相場における要諦となる。

あすのスケジュールでは、1月の月例経済報告、2022年11月の景気動向指数(改定値)、12月の全国スーパー売上高、12月の外食売上高などが開示される。海外ではタイ中銀やカナダ中銀が政策金利を発表するほか、10~12月期の豪消費者物価指数(CPI)、1月の独Ifo企業景況感指数などにマーケットの関心が高い。米国では5年債の入札が予定されている。また、米主要企業の決算発表では、ボーイング<BA>、テスラ<TSLA>、ラムリサーチ<LRCX>、IBM<IBM>などが注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2023年01月24日 17時52分

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