明日の株式相場に向けて=「リオープン関連株」のエンジン始動

市況
2023年1月26日 17時00分

きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比32円安の2万7362円と5日ぶりに反落。下げたとはいってもわずか30円あまりで、むしろ底堅さを印象づけた。前日までの4営業日で日経平均は1000円も水準を切り上げていた。これは空売り筋の買い戻しで浮揚力が働いたともいえるが、市場筋によると「前日時点で概ね買い戻しが一巡した感がある」(ネット証券マーケットアナリスト)という声も聞かれた。売り方が作る戻り相場のプロセスはとりあえず終了、ここからは実需で日経平均や個別株の上値を買っていけるのかどうかという話である。そうなると、企業業績の先行きに不透明感が拭えない現状で、積極的に市場に資金を投入することには躊躇してしまうのが人間の感覚である。

ただ、機関投資家にすればこれまで買いをためらっていた運用者は保有ポジションを高める必要性に迫られ、相場観とは関係なく押し目があればとりあえず拾っておかなければという焦りも生じてくる。久々に1000億円超の投資資金を集めた日本株の大型投信が市場関係者の耳目を集めたが、こうした待機資金の存在が今の株式市場の下値抵抗力にも反映されている。きょうの後場取引で存分に発揮された日経平均の底堅さは、先物主導のインデックス買いとはまた別のメカニカルな買いが支えたような感触があった。

他方、米国株市場の方はフワフワとした強気が漂っている。米国ではひと頃のインフレ高進への懸念が霧消したとは言わないまでも、インフレはほぼ収束したという趣きである。元来であれば今週末に発表される12月の米PCEデフレーターなどに投資家の視線が集中するところだが、「既にインフレというテーマ自体が過去の課題であったかのような雰囲気がある」(前出のアナリスト)とし、マーケットにあまり緊張感は感じられない。2月1日に結果が判明するFOMCでも、もはや政策金利引き上げは0.25%にとどまるという見方が既定路線のようにマーケットに浸透しており、しかも同会合で利上げ打ち止めというシナリオが大手を振っている。つい最近までFRBのタカ派傾斜に神経を尖らせていたのが嘘のような話だが、今は楽観によって市場が支配されているというのは事実のようだ。

ただし、現状はまだ日米ともに明確なトレンドが発生していないボックス圏の往来だが、これは逆業績相場へ移行する前のモラトリアムである可能性も否定できない。企業業績が悪化しても相場は崩れず、今度は利下げ期待で相場が上がるという声も聞かれるが、おそらくそれは幻想に近い勝手解釈であろう。こうしている間にもFRBによる量的引き締め(QT)は毎月950億ドル規模で、粛々とマーケットから回収されている。2月1日のFOMC後の記者会見で、パウエルFRB議長は先走った利下げ期待に確実に釘を刺すはずで、それがどのくらいのアナウンス効果をもたらすかは不明だが、タイミング的にはFOMCに前後して全体相場の流れが再び変わる可能性に留意しておきたい。

個別株に目を向けるときょうはリオープン(経済再開)関連の強さが目立った。三井不動産<8801>をはじめ不動産株に高いものが目立ったほか、日本航空<9201>やANAホールディングス<9202>など空運株もしっかり。資生堂<4911>の上昇は中国爆需を意識したものか。なお、さきほどの1000億円超の設定で注目を集めた大型投信も“リオープン・ジャパン”という冠名で、まさに今の時流に乗っているともいえる。

リオープンはインバウンドと同義ではないが重複する部分が多く、足もとの業績よりもこれからに期待するという意味合いが強い。例えばPERが割高でも来期に変化が見込めれば許容されやすい点が銘柄選別の幅を広くしている。飲食では当欄で取り上げた力の源ホールディングス<3561>やDDホールディングス<3073>が強い動きだが、これ以外に消費関連のトレジャー・ファクトリー<3093>や買取王国<3181>、イベント関連のレイ<4317>などもマークしてみたい。

あすのスケジュールでは、1月の都区部消費者物価指数(CPI)が朝方取引開始前に総務省から発表される。また、29日までの日程で東京eスポーツフェスタ2023が開催される。このほか3カ月物国庫短期証券の入札も予定されている。海外では12月の米個人所得・個人支出(PCE)、1月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)、12月の米仮契約住宅販売指数などに関心が高い。国内主要企業の決算発表では日立建機<6305>、ファナック<6954>、SGホールディングス<9143>などが予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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