テンバガーのDNA発見、革新的技術で「大相場の序曲奏でる6銘柄」 <株探トップ特集>

特集
2023年1月28日 19時30分

―株はロマン! オンリーワン強みに業績変貌の可能性内包する魅惑の材料株を追う―

1月第4週の東京株式市場は、堅調な米国株市場を横にらみに1週間を通じてリスク選好ムードの強い地合いとなった。米国に続き日本でも企業の決算発表が徐々に本格化してくるなか、日米ともに主要企業の決算を見極めたいとの思惑が上値を重くするとの見方もあった。しかし、実際は物色意欲の強さが浮き彫りとなっている。

●米インフレ懸念後退と中国経済再開が追い風

マクロに目を向けると米国のインフレ懸念がひと頃と比べ後退している。来週行われる連邦公開市場委員会(FOMC)での金利引き上げ幅が0.25%にとどまるとの見方が大勢を占め、利上げ打ち止め感に対する期待も膨らんでいる。一方、中国の経済再開によるグローバル景気への影響もポジティブ視された。中国政府の劇的ともいえるゼロコロナ政策解除に加え、日柄的にも春節休暇に入ったことで、これまで溜まっていた消費需要のマグマが噴出した格好だ。日本国内では現状こそ水際対策などで中国発のインバウンド需要はあまり反映されていないが、その他アジア諸国の訪日客効果だけでも、内需は強く喚起されている状況にある。

今後は国内企業の決算が本格化するなか、マーケットの視線がマクロからミクロへと移行することが予想される。だが、個別の決算動向にとらわれ過ぎると大局を見失う。決算跨(また)ぎで短期値幅取りを狙う手法は「決算プレー」と称されるが、かりそめのトレードは落とし穴も多く、仮に成功しても次につながるものはない。その場限りの勝負という点では丁半博打と本質は一緒である。

●最強の“推し”を見つけ出すのが株の醍醐味

株式投資の本来の意義は、上場している企業の収益成長を見込んで資金を投入するというものだ。換言するなら、投資家自らが“推し”をマーケットから見つけ出す作業こそが株の醍醐味といえる。その眼力が正しければ当該企業は売り上げや利益を伸ばし、それに合わせて株価も上昇し、株主(投資家)に報いるという仕組みである。そして、中長期で業績が変貌する可能性を感じさせる銘柄に遭遇したら、そこは熟慮したうえで投資を行い、後はじっくりと待つ。いわゆる時間を味方につけて大きく育つ過程を楽しむ。これが株式投資の王道といっても過言ではない。

では、どういう企業が“株価を変貌させる”可能性を有しているのか。それは、他社が真似のできない技術や商品、サービス、ビジネス基盤などを持っているかどうかが重要なポイントとなる。

●レーザーテックが証明した変身株のセオリー

例えば半導体製造装置分野でオンリーワン企業として名を馳せたレーザーテック <6920> [東証P]が挙げられる。同社は今でこそ時価総額約2.5兆円の主力大型株で全市場を通じ常に断トツの売買代金をこなす花形銘柄だが、ほんの4、5年前までは時価総額が今のおよそ13分の1、修正株価にして2000円前後に過ぎない平凡な半導体関連企業の“顔”をしていた。株価を激変させた背景には言うまでもなく業績の飛躍的拡大があったわけだが、それには成長ドライバーがあった。主力商品のマスクブランクス検査装置で世界シェアを文字通り独占し、更に半導体の高集積化に呼応して立ち上がったEUV露光装置市場でも、同検査装置を供給できる唯一の企業として世界に名を轟かせた。

メーカー系ではなく、サービス業の分野でも爆発的に株価を変貌させた企業はいくつもある。その一つが人材サービス関連で、アベノミクス相場がスタートして間もない2013年ごろから出世株の宝庫となった。これには時代的な背景もあって、08年秋口のリーマン・ショック後に人材派遣市場は急激な収縮に見舞われたのだが、そのアンワインドが安倍政権時代に一気に起こった。代表的な大化け株としては「バイトル」で知られる求人情報提供のディップ <2379> [東証P]がある。同社はネット求人の先駆的存在であることに加え、独自のネット活用技術と巧みな広告宣伝で収益を飛躍させた。株価は21年11月中旬に上場来高値4930円をつけているが、11年の春先時点では修正後株価で30円強に過ぎなかった。10年でざっと160倍。こちらは時間だけではなく時代も味方した例だが、その威力たるや恐るべしである。テンバガーではなく、ワンハンドレッドバガー達成後に更に6割高を演じた勘定だ。

●開花の鍵を握るのは時価総額と成長ドライバー

このように、夢を追うことができるのが株式市場の最大の強みである。時価総額の小さい銘柄ほどテンバガーを実現しやすいということはいえるが、肝心なのは成長ドライバーというべきキラーコンテンツを持っているかどうかで、こちらが重要である。いわば株価の“変身材料”がなければ、万年低時価総額に放置されることにもなりかねない。

そこで、今回のトップ特集では、市場でも話題性の高い商品や技術、システム、ノウハウなどを有し、なおかつ時流に乗っている材料株を6銘柄厳選した。研究開発型や先行投資型ゆえに業績面ではまだ開花前の銘柄も含まれるが、その蕾(つぼみ)にはテンバガーのDNAが十分に含有されているような銘柄群をエントリーした。

●業績躍進のシナリオを持つ特選材料株6選

◎ジェイテックコーポレーション <3446> [東証P]

研究開発型企業だが、グローバル・ニッチトップの資質十分で株価は中長期で大化け期待を内包。理化学研究所向けを中心にナノレベルでも最先端を行く超ハイスペックな高精度X線集光ミラーの納入で実績を重ねるほか、新規に立ち上げた機器開発事業では半導体向け次世代研磨装置が同社の業績変貌を担う可能性を秘める。次世代パワー半導体向けなどに主眼を置いたプラズマ援用研磨装置や同社独自のCARE加工技術を活用した次世代研磨装置の開発に成功し、商談も複数進行中で既に受注獲得につなげた案件もある。業績面では同社の場合は足もとの利益の動向よりも成長キャパシティに焦点を当てるところ。23年6月期の営業損益は3億円の黒字(前期は7100万円の赤字)を見込むが、24年6月期以降は回収期に入る可能性が高く、業績変貌への期待が膨らむ。株価は下値切り上げ波動を続けているが、時価総額は依然として200億円を下回る。他社の追随を許さない圧倒的技術力を考慮すれば、中勢5000円大台を通過点とする本格的な出直り相場も想定。

◎メンタルヘルステクノロジーズ <9218> [東証G]

企業の産業保健業務に属する「社員の心の健康」の管理サービスを中心にクラウドで展開する。昨年3月に旧マザーズ市場に上場したニューフェースだが、企業の「健康経営」を担うオンリーワン的な存在で、メンタルヘルス ソリューションを強みに業績は急成長路線をまい進している。業績はここ数年来トップラインの拡大が著しく、つれて利益面も開花期に突入し飛躍的な伸びが期待できる状況にある。22年12月期売上高は前の期比40%増の20億2700万円を見込み、営業利益は同2.5倍の3億4700万円を予想している。ウィズコロナ環境が続く中で精神的ケアは以前にも増して重要視される分野であり、中期的にも同社の成長余地は大きい。東海エリア強化に重点を置くなか、買収による業容拡大にも前向きに取り組んでいる。株価は昨年11月4日に上場後の高値である1985円をつけた。同月29日に1898円の戻り高値形成後は大幅調整局面を余儀なくされたが、今年になって売り物が切れ、大勢底打ち反転を明示している。

◎ワイエイシイホールディングス <6298> [東証P]

各種オートメーション機器の製造を主力とし、半導体製造装置液晶製造装置などをはじめメカトロニクス分野で強みを発揮する。また、高技術集団ともいえる強力なグループ会社を複数擁していることもポイント。パワー半導体分野ではレーザー技術に強いワイエイシイビームが活躍余地を広げているほか、超高精度な切断装置を手掛けるワイエイシイダステックは毛髪を縦に切ることを可能としたバイオスライサーを開発している。エクスポソームプラットフォームで先駆する米ライナスバイオがこのバイオスライサーに着目し、昨年12月にワイエイシイとの業務提携を発表した。また、アルツハイマー型認知症をはじめとする疾病マーカーの高感度デジタル測定装置の開発にも着手しており、今後の展開に期待が募る。業績面も申し分なく、23年3月期営業利益は前期比53%増の24億円を見込み、これは過去最高利益を達成した07年3月期以来16年ぶりの高水準。PER11倍台と指標面からも割高感は皆無で、調整一巡から大きく切り返す展開が予想される。

◎マイクロ波化学 <9227> [東証G]

大阪大学発の研究開発型企業で、電子レンジなどに使われるマイクロ波化学プロセスの研究開発及びエンジニアリングを手掛け、同分野のライセンス事業も展開する。100年以上変わらない化学産業の製造プロセスに、マイクロ波技術を使って革新を起こすというのが同社の経営における基本方針だ。ポイントは工業化が不可能と言われてきたマイクロ波プロセスの大型化に成功したこと。素材や医薬品などの製造プロセスを電化することで、多大な省エネ効果や時間短縮などの効率化を実現し、世界的テーマとなっている脱炭素への取り組みでもキーテクノロジーとして注目されている。業績面では23年3月期に営業黒字化を見込むが、24年3月期は脱炭素分野での案件が本格寄与してトップラインの急拡大とともに利益の伸びも加速する公算が大きい。昨年6月にグロース市場に上場してまだ7ヵ月が経過したに過ぎないが、10月以降に株価は目覚ましく上昇し脚光を浴びた。時価総額はまだ300億円台で一段の変貌余地がある。

◎セック <3741> [東証P]

時間とともに変化する外界と密接にリンクしたコンピューターシステム技術(リアルタイムソフトウェア技術)に特化したニッチトップ企業。宇宙開発分野は日本でも国策的に支援・強化する動きが鮮明だが、同社のリアルタイム技術は同分野で重要な役割を担っており、株式市場でも注目度が高まっている。政府は今夏をメドに宇宙分野に関する安全保障構想を策定する方向にある。また、2月には日の丸ロケット「H3」の打ち上げが予定されており、宇宙関連のシンボルストックに位置付けられる同社の存在に改めて光が当たりそうだ。業績は18年3月期以降増収増益トレンドを継続中。23年3月期の営業利益は前期比微増の10億7000万円を計画するが増額修正含み。宇宙先端システムのビジネスフィールドで宇宙天文分野の開発案件が大きく伸びているほか、モバイルネットワーク分野のXR案件が急拡大して利益を押し上げている。株価は昨年秋を境に強力な上昇トレンドを構築しており、特に12月以降は商い増勢の中で上げ足を強めている。

◎サスメド <4263> [東証G]

疾病に対応した医療機器開発や医療情報の収集及び提供を主要業務とし、持続可能な医療の実現を第一義に掲げている。不眠症やリハビリなどに関するスマートフォン向けアプリ開発などに力を入れているが、昨年、不眠治療用アプリで医療機器製造販売申請を行い、厚生労働省が12月19日に開いた薬事・食品衛生審議会の医療機器調査会で承認が了承された。早晩正式承認が行われる見通しで、その際には販売契約を締結している塩野義製薬 <4507> [東証P]からマイルストーン収入を受領する運びとなる。また、サスメドのブロックチェーン技術を用いた治験管理システムに関しても、神経・精神疾患領域に特化した製薬企業であるアキュリスファーマ(東京都港区)と治験実施に関する契約を締結している。研究開発型ビジネスモデルで業績は赤字が続いているが、今は雌伏期でデジタル医療推進の担い手として将来的な成長シナリオが描ける。株価はここ調整色を強めたが、買い場提供の可能性がある。中期的には昨年12月の戻り高値2017円払拭から一段高が視野に。

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