明日の株式相場に向けて=好決算銘柄のネクストステージを狙う
週明け6日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比184円高の2万7693円と4日続伸。ジリジリと株価水準を切り上げる展開でなかなか押しが入らない。上値は重いながらも利益確定売り圧力をしぶとく吸収し、2万8000円台回復の機をうかがう展開にある。こうした上値が重いと言われつつ、陰線をつけながら上昇を続ける形は売り方にとってはむしろ厳しい意味がある。直近12営業日でサイコロジカルラインは10勝2敗ということで、1月下旬以降はかなり強気優勢に傾いている。ここにきてショートポジションを積み上げていた海外ヘッジファンドが日経平均先物主導で買い戻しを入れ、全体指数に浮揚力が働いているという見方も示されていた。確かにきょうはグロース指数や旧マザーズ指数はマイナス圏で推移していたが、中小型株が特段売られているという印象も受けない。決算跨(また)ぎの銘柄で勝負する決算プレーにとどまらず、好決算発表後に頑強な動きを示している銘柄には、それなりに買いが集まりやすい地合いで、相場の足腰は強い。
ただし、今週は週末にオプションSQ算出を控えており、やや過熱気味に上がった相場は売り仕掛けが入りやすいタイミングにあることも念頭に置いておく必要がある。日銀の次期総裁が雨宮正佳副総裁になるとの思惑が高まっているが、もしそうであれば株式市場にとっては最良の選択肢ではあるものの、「雨宮氏は“忖度の人”だが決してハト派ということではなく、粛々と政策修正、例えばイールドカーブ・コントロールを段階的に排除していくといった脱・黒田路線を進めてくはず」(ネット証券アナリスト)という指摘がある。これで株価の中期上昇が担保されるということではない。ボックス相場の上限を突き破り、このまま上昇波動に突入する可能性は低いと思われる。今はやはり、波の上下動で一喜一憂しているに過ぎないのであって、経済減速後の利下げ思惑を波動転換の材料とするには楽観が過ぎる。超長期保有と決めた株以外は、売ったり買ったりを繰り返すのが前提となろう。
個別株では既に好決算発表済みの銘柄で、チャート妙味の感じられるものに照準を絞っていきたい。チャート妙味にもいろいろあるが、モメンタム重視であれば順張りスタイルで、例えば急伸後に目先筋の利食いを吸収している銘柄が狙い目となる。
アイエックス・ナレッジ<9753>はマド開け急伸後の900円近辺のもみ合いをマークしておきたい。同社は金融業界向けで実績の高いSIで、コンサルティングからシステム開発・システム運用に至るまで一気通貫で対応できる強みを有している。国策として動き出した“デジタル円関連”でも商機をつかむ可能性がある。業績は22年3月期営業32%増益に続き、23年3月期も25%増益と2ケタ成長でピーク利益更新が続く見通しにある。
また、キムラユニティー<9368>も強いチャートで注目しておく価値がありそうだ。総合物流業を手掛けており、特にトヨタ関連の物流加工(部品包装など)が好調で収益に寄与している。修正後株価で時価は最高値を更新中。PER8倍台、PBR0.6倍台、配当利回り4%台と3拍子揃ったバリュー株としての側面を持つだけに高値警戒感にとらわれることなく押し目は買い向かってみたい。23年3月期営業利益は前期比12%増の33億円予想で、これは2期連続の過去最高更新となる。
このほか、テクノスジャパン<3666>も目の離せない銘柄だ。ERPソフトの導入支援ビジネスなどを主力に手掛ける企業だが、企業の基幹システムを連携しサプライチェーン全体での効率化・最適化を目指すプラットフォームであるCBPを独自開発しており、顧客基盤を広げている。23年3月期第3四半期(22年4~12月)累計の営業利益は前年同期比17%増の11億2400万円と2ケタ伸長を果たしたが、特に第3四半期単独、つまり10~12月期の伸びが顕著で収益が様変わりしている。第3四半期時点の対通期進捗率は94%に達しており、通期業績の上振れも期待できる。
あすのスケジュールでは、22年12月の家計調査、12月の毎月勤労統計、1月上中旬の貿易統計、12月の景気動向指数のほか、30年物国債の入札も予定される。海外では12月の豪貿易収支、豪中銀の政策金利発表、12月の米貿易収支、12月の米消費者信用残高、バイデン米大統領の一般教書演説など。また、国内主要企業の決算発表では三菱重工業<7011>、任天堂<7974>、バンダイナムコホールディングス<7832>、ソフトバンクグループ<9984>、メルカリ<4385>などが予定される。(銀)