為替週間見通し:ドルはもみ合いか、日銀金融政策を巡る思惑で円買い縮小の可能性

通貨
2023年2月11日 14時59分

【今週の概況】

■ドル・円は下げ渋り、日銀金融緩和継続の可能性高まる

今週のドル・円は下げ渋り。米雇用統計の改善を受けてドル買いが先行したが、2月7日に米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「2023年はインフレが著しく鈍化する年になる」との見方を伝えたことから、リスク選好的なドル買いは縮小した。しかしながら、ウィリアムズ米NY連銀総裁やウォラーFRB理事が一段の利上げが必要と述べたことで、金利先高観に伴うドル買いが再び優勢となった。

10日のニューヨーク外為市場でドル・円は、130円58銭まで下落後、一時131円60銭まで買われた。日本銀行の次期総裁人事で植田元審議委員が起用されるとの報道を受けてロンドン市場でドル・円は一時130円を下回った。しかしながら、植田元日銀審議委員は、「現行の緩和政策は適切」との見解を示したことから、ドル売り・円買いは縮小。さらに、この日発表された2月米ミシガン大学消費者信頼感指数や同指標の1年期待インフレ率速報値は予想を上回ったことを受けて米長期金利は上昇し、リスク選好的なドル買いが優勢となった。ドル・円は131円42銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:129円81銭-132円90銭。

【来週の見通し】

■ドルはもみ合いか、日銀金融政策を巡る思惑で円買い縮小の可能性

来週のドル・円はもみ合いか。米連邦準備制度理事会(FRB)の目先の政策方針をめぐり見解は分かれ、売買交錯で方向感は乏しいだろう。一方、日本銀行の次期総裁人事で黒田現総裁の路線継承の可能性は残されており、リスク回避的な円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられる。

米FRBは直近開催の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、利上げ幅を0.25ポイントに縮小。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で年内利下げの可能性を否定するとともに、今後もインフレ撲滅に向け引き締めを継続する方針を示した。その後発表された1月米雇用統計は失業率が記録的な低水準となるなと、非常に強い内容となった。バウエルFRB議長は2月8日のインタビューで、FOMC後の記者会見での発言内容をほぼ受け継いでいるが、ウィリアムズNY連銀総裁やウォラーFRB理事などは金融引き締め継続の重要性を強調しており、FRB内ではスタンスの違いがみられる。そのため3月開催の次回FOMCに向け、FRBの政策方針を見極める展開となり、ドル・円の取引では売買拮抗となる可能性がある。

【米・1月消費者物価コア指数(CPI)】(14日発表予定)

14日発表の1月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+5.4%と、伸び率は鈍化する見通し。市場予想を下回った場合、金利安・ドル安が見込まれる。

【米・1月小売売上高】(15日発表予定)

15日発表の1月小売売上高は前月比プラスとなる見込みだが、市場予想を大幅に下回った場合、消費減退による先行き不透明感が広がり、米金融引き締め後退の思惑で金利安・ドル安が見込まれる。

予想レンジ:129円00銭-134円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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