明日の株式相場に向けて=引き潮でも勝てる高配当株

市況
2023年2月15日 17時00分

きょう(15日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比100円安の2万7501円と反落。朝方は高く始まったもののその後は戻り売りに押され、前引けにかけて“つるべ落とし”の下げでマイナス圏に。しかし値幅的には大した下げではなく、後場は戻り足に転じることはなかったが、押し目買いが機能して下げ渋る展開をみせた。

ひと頃のようなショートスクイーズによって日経平均が押し上げられるような動きは鳴りを潜めている。だからといって弱気に傾くこともなく、依然として方向感の定まらない玉虫色の地合いが続いている。ただし日足陰線が多いのは気になるところで、既に5日移動平均線も下向きに変わっていることもあり、目先流れが変わった印象を受ける。全般は3月「彼岸底」に向けた下降トレンドが意識されやすい場面となっている。

注目された1月の米消費者物価指数(CPI)は、総合指数、コア指数ともに事前予想を上回る伸びを示し、NYダウは一時400ドル超の下げをみせる場面があった。だが、今回のCPIが上振れることをマーケットはある程度予期していた雰囲気があり、売り一巡後はバランスを取り戻して下げ幅を縮小した。米長期金利の上昇を見透かしたようにハイテク株も頑強な値動きを示す銘柄が多く、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数はプラス圏で着地した。

昨年来、FRBのアナウンスに大きな変化はなく、その間の株価の上下動は早期の利上げ打ち止め、あるいはその先に来る利下げシナリオにマーケットが勝手解釈で一喜一憂し、右往左往していたに過ぎない。繰り返しになるが、そうこうしている間にもFRBによって毎月950億ドル規模の量的引き締め(QT)が続けられることには注意が必要だ。思惑だけでは日は暮れない。しかしQTは現実であり、ふと辺りを見渡せば陽が傾き黄昏時になっていたというケースも考えられる。眼前に展開するのは金融相場ではなく、逆金融相場であることを徐々に認識せざるを得ないだろう。もちろん銀行株のように時間を味方につけやすい銘柄もあり、要は投資戦略が肝要となる。

決算発表シーズンを通過し、高配当株に対する物色ニーズが改めて浮き彫りとなる可能性がある。セクターでみれば海運、鉄鋼が代表的だが、このほか中小型株の中にも高配当利回りのバリュー株は少なからずある。例えば日産・ホンダと関係が厚い自動車ディーラーのVTホールディングス<7593>が挙げられる。23年3月期営業利益は前期比2割強の伸びを見込んでおり、年間配当は23円50銭。配当利回り4.7%前後に達する。株価は500円と値ごろ感がありPER7倍台は指標面でも割安感が強い。また、自動車用伝動ベルトを製造し、産業ロボット向けの需要獲得も進んでいるバンドー化学<5195>も魅力的に映る。23年3月期は営業利益が前期比2.8倍化し、EPSは過去最高更新となる公算が大きい。にもかかわらずPER・PBRともに超割安圏に放置されており、4.3%前後の配当利回りと合わせ1000円近辺の押し目はチェックしておきたい。

食品や化粧品などに使われるプラスチック容器の製造を手掛ける竹本容器<4248>は12月期決算企業だが、23年12月期は営業6割増益見通しで株価指標面でも割安。年間配当は36円を計画し、配当利回りはやはり4.3%前後ある。更に舞台設備や遊戯機械大手の三精テクノロジーズ<6357>もマークしておきたい銘柄。23年3月期は営業利益20億円と9割増益を予想し、PBRは0.4倍台。19年3月期以降、業績の浮き沈みにかかわらず35円の年間配当を継続しており、その点は今後の配当計画にも安心感がある。アフターコロナで遊戯機械はテーマパーク向けリベンジ特需に期待が募る。巨大4足歩行ロボットの商用化でも先行している。

あすのスケジュールでは、1月の貿易統計、12月の機械受注統計が朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に1月の首都圏マンション販売が発表される。また、1年物国庫短期証券の入札と5年物国債の入札も行われる。なお、ブリヂストン<5108>の決算発表が予定されている。海外では、1月の中国70都市の新築住宅価格動向、1月の豪失業率が開示されるほか、インドネシア中銀とフィリピン中銀の政策金利が公表される。また、1月の米卸売物価指数(PPI)、1月の米住宅着工件数、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、週間の米新規失業保険申請件数などへの注目度が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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