来週の株式相場に向けて=TOPIXの強調相場は継続か
植田和男氏の日銀新総裁への起用報道が、先週末から週明けにかけての東京市場の話題を独占した。同氏の起用に関して、市場では「妥当な人事」との見方が多く、次なる関心は24日の衆院での所信聴取に向かっている。ただ、国会での答弁も無難なものが予想されるだけに、今後日銀絡みでは3月中旬の黒田総裁の最後の金融政策決定会合へと関心は徐々に移っていきそうだ。
そんななか、市場の視線はまたぞろ米インフレ懸念へ集中している。一時は3月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利上げで打ち止め期待が強かったが、今月3日の「雇用統計ショック」を機に風向きは変わり、5月はもちろん6月の利上げの観測も強まり始めた。米雇用や物価指標を注視する状況は、しばらく続くとみられている。
日米ともに足もとのベクトルは金利上昇に向かう中、東京市場でやはり目につくのはバリュー系セクターの比率が高いTOPIXの底堅さだ。TOPIXは16日に昨年11月28日以来となる終値ベースでの2000を回復したが、22年1月5日の昨年来高値2039.27まであとわずかの水準まで迫っている。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>など銀行、三菱商事<8058>など商社株、日本製鉄<5401>など鉄鋼といった高配当利回りセクターを中心に継続して資金が流入していることがTOPIXを押し上げている格好だ。
足もとで高配当型ETFは高い人気を集めており、例えばNEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信<1489>は、昨年末から7%近い上昇を演じている。3月下旬の配当権利取りを視野に入れながら、当面はTOPIXの強調展開は続くことが予想される。
来週は、21日は米株式市場がプレジデントデーで休場。22日に1月31~2月1日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公表される。エヌビディア<NVDA>の決算も予定されている。23日には米10~12月期国内総生産(GDP)改定値が公表される。24日はロシアのウクライナ侵攻から1年となり、同日には米1月新築住宅販売件数が発表される。国内では、22日にスタンダード市場にプライム・ストラテジー<5250>が新規上場する。23日は天皇誕生日で休場。24日には1月消費者物価(CPI)が発表される。来週の日経平均株価の予想レンジは2万7200~2万7800円前後。(岡里英幸)
最終更新日:2023年02月17日 18時00分