S&P500 月例レポート ― 薄れる長期悲観論、太陽はいずれ昇る (4) ―
◇世界の株式市場:S&Pグローバル総合指数
1月の世界の株式市場は、リセッションの深刻さや期間に対する懸念が後退したことから(リセッションには陥らないとみる向きも、なお存在します)、12月の下落から上昇に転じました。経済指標はインフレ率のピークを示唆し、中央銀行が利上げを(停止ではなく)減速することが期待されました。1月は米国がややアンダーパフォームし、米国以外の市場は(米国に対する)長期的なアンダーパフォーマンスの一部を巻き返しました。S&Pグローバル総合指数は、11月の7.48%上昇、12月の3.87%下落の後に、1月に7.26%の広範囲にわたる上昇となりました(10月は5.93%上昇、9月は9.85%の下落で2020年3月の14.61%下落以降では最大の下落率を記録)。
1月は米国の6.87%上昇を除くと、7.78%上昇となりました(12月は米国の6.02%下落を除くと0.79%の下落、11月は平均を下回った米国の5.08%上昇を除くと11.12%上昇、10月は米国の8.07%上昇を除くと2.84%上昇、9月は米国の9.45%下落を除くと10.45%下落)。8月は3.63%の下落で、米国の3.94%下落を除くと3.19%下落、7月は6.89%の上昇で、米国の9.28%上昇を除くと3.57%上昇、6月は8.74%の下落で、米国の8.54%下落を除くと9.02%下落、5月は0.20%下落で、米国の0.36%下落を除くと0.04%上昇、4月は8.11%下落で、米国の9.09%下落を除くと6.70%の下落、3月は1.70%の上昇で米国の3.11%上昇を除くと0.25%下落でした。
世界の株式市場は、過去3ヵ月間では10.82%上昇(12月末時点では9.45%上昇)、米国の5.55%上昇(同6.72%上昇)を除くと18.81%上昇(同13.37%上昇)、2022年通年では20.04%下落(11月末時点の年初来では同16.82%下落)で、米国の20.73%下落(同15.66%下落)を除くと19.13%の下落(同18.48%下落)となりました。過去1年間では、S&Pグローバル総合指数は9.43%下落、米国の9.83%下落を除くと8.94%下落となりました。
より長期では、米国のパフォーマンスが突出していました。過去2年間では、グローバル株式市場は0.29%下落しましたが、米国の5.72%上昇を除くと、7.70%の下落でした。過去3年間ではグローバル株式市場は15.40%上昇しましたが、米国の25.20%上昇を除くと、3.90%の上昇でした。2020年11月3日の大統領選挙以降では、グローバル市場は13.95%上昇しましたが、米国の19.22%上昇を除くと7.24%の上昇でした。
S&Pグローバル総合指数の時価総額は2023年1月に4兆7410億ドル増加して(2022年12月は2兆8920億ドル減)、総額は70兆4990億ドルになりました。米国以外の市場の時価総額は2兆1420億ドル増加し(同3420億ドル減)、米国市場の時価総額は1兆9810億ドル増加しました(同2兆5500億ドル減)。2022年に、グローバル市場の時価総額は13兆3950億ドル減少し、米国以外の市場の時価総額は4兆2960億ドル減、米国市場の時価総額は9兆990億ドル減でした。
1月は11セクター中10セクターが上昇し(12月は全11セクターが下落、11月は11セクター全てが上昇)、セクター間のリターンのばらつきは拡大しました。1月のパフォーマンスが最高のセクター(一般消費財、13.69%上昇)と最低のセクター(公益事業、0.07%下落)の騰落率の差は13.76%となり、12月の7.11%、11月の10.01%から拡大しました。2022年のパフォーマンスが最高のセクター(エネルギー、28.08%上昇)と最低のセクター(コミュニケーション・サービス、36.30%下落)の騰落率の差は64.38%となり、11月末時点の65.76%から縮小しました。
新興国市場は再び反転し、月間のリターンはプラスに戻り、11月の13.05%の力強い反発、12月の1.19%下落の後に、1月に6.62%の力強い上昇を記録しました(2022年1月は0.98%下落、2月は3.49%下落、3月は2.55%下落、4月は5.63%下落、5月は0.31%下落、6月は5.80%下落、7月は1.05%下落、8月は1.02%上昇、9月は10.44%下落、10月は3.61%の下落)。新興国市場は、2022年は20.46%下落しましたが、過去3ヵ月間では19.09%の大幅上昇となっています。過去1年間のリターンはなおマイナスで、14.35%下落しており、過去2年間では18.51%下落、過去3年間では1.30%の下落となりました。
1月は24市場中19市場が上昇し、12月の10市場を上回り、11月、10月の20市場とほぼ同数となりました(9月は24市場全てが下落)。メキシコのパフォーマンスが最も良く、1月は16.49%上昇し、過去3ヵ月間では15.93%上昇、過去1年間では17.73%上昇しました。2番目はチェコ共和国で1月は16.46%上昇し、過去3ヵ月間では22.13%上昇、過去1年間では4.52%下落しました。3番目はギリシャで1月は12.88%上昇し、過去3ヵ月間では27.69%上昇、過去1年間では6.60%の上昇でした。パキスタンのパフォーマンスが最低となり、1月は12.36%下落し、過去3ヵ月間では14.62%下落、過去1年間では41.68%下落しました。これに続いたのがトルコで1月は9.95%下落し、過去3ヵ月間では24.06%上昇、過去1年間では73.29%上昇しました。3番目はエジプトで1月は6.23%下落し、過去3ヵ月間では17.20%上昇、過去1年間では24.84%下落しました。
先進国市場は1月に値を上げ、11月の6.86%上昇、12月の4.19%下落の後に、1月に全体で7.34%上昇しました(2022年1月は5.82%下落、2月は2.25%下落、3月は2.21%上昇、4月は8.39%下落、5月は0.18%下落、6月は9.09%下落、7月は7.88%上昇、8月は4.16%下落、9月は9.79%下落、10月は7.12%上昇)。先進国市場は米国を除くと、12月の0.66%の下落の後に、1月に8.19%上昇しました。11月は10.45%の上昇でした(1月は5.38%下落、2月は1.51%下落、3月は0.54%上昇、4月は7.06%上昇、5月は0.16%上昇、6月は10.11%下落、7月は5.23%上昇、8月は4.61%下落、9月は10.46%下落、10月は5.25%上昇)。12月の10市場、11月の24市場に対して、1月は25市場中24市場が上昇しました。
先進国市場は、過去3ヵ月間では9.89%上昇、米国を除くと18.72%上昇、2022年は20.55%下落、米国を除くと19.26%下落、過去1年間では8.81%下落、米国を除くと6.94%下落、過去2年間では2.29%上昇、米国を除くと3.54%下落、過去3年間では17.67%上昇、米国を除くと5.90%の上昇となりました。
パフォーマンスが最も良かったのはオランダで1月は14.16%の上昇となり、過去3ヵ月間では31.20%上昇、過去1年間では6.63%の下落でした。2番目はアイルランドで、1月は14.12%上昇、過去3ヵ月間では22.02%上昇、過去1年間では11.13%下落しました。3番目はイタリアで1月は14.08%上昇、過去3ヵ月間では28.78%上昇、過去1年間では4.49%下落しました。パフォーマンスが最低だったのはノルウェーで1月は0.49%下落し、過去3ヵ月間では4.69%上昇、過去1年間では11.86%下落しました。これに続いたのがポルトガルで1月は1.58%上昇し、過去3ヵ月間では13.21%上昇、過去1年間では1.87%上昇しました。3番目はデンマークで1月は1.93%上昇し、過去3ヵ月間では21.38%上昇、過去1年間では5.34%上昇しました。
注目すべき点として、ドイツは1月に12.33%上昇し、過去3ヵ月間では27.90%上昇、過去1年間では12.17%下落しました。カナダは1月に8.80%上昇、過去3ヵ月間では9.49%の上昇、過去1年間では6.00%の下落となりました。英国は1月に6.74%上昇、過去3ヵ月間では17.13%の上昇、過去1年間では6.23%の下落となりました。日本は1月に5.66%上昇し、過去3ヵ月間では16.45%の上昇、過去1年間では8.21%の下落となりました。
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト
※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイト をご参照ください。
[免責事項]
著作権(C) 2023年 S&Pグローバルの一部門であるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLC。不許複製、Standard & Poor's、S&P、S&P 500、は、S&Pの一部門であるスタンダード・アンド・プアーズ・フィナンシャル・サービシーズLLC(以下「S&P」)の登録商標です。LATIXX、MEXIC ○TITANS及びSPCIは、S&Pグローバル一部門であるスタンダード・アンド・プアーズ・フィナンシャル・サービシーズLLC(以下「S&P」)の商標です。「ダウ・ジョーンズ」は、ダウ・ジョーンズ・トレードマーク・ホールディングズLLC(以下「ダウ・ジョーンズ」)の登録商標です。商標は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCにライセンス供与されています。本資料の全体または一部の再配布、複製、そして(または)複写を書面による承諾なしに行うことを禁じます。
株探ニュース