来週の株式相場に向けて=春の上昇相場に突入期待、焦点は内需株に
3日の日経平均株価は前日比428円高と急伸し、昨年12月中旬以来となる2万7900円台を回復した。前日の米連邦準備制度理事会(FRB)高官のハト派発言を好感したほか、東京市場ではファーストリテイリング<9983>の月次売上高が好調だったことなども寄与したようだ。
日経平均は1月中旬以降続いた2万7500円前後のもみ合いを上放れつつある。来週には、国内外で重要イベントが控えている。しかし、「現在の焦点は低PBRなど内需株の動向」(アナリスト)であり、相場の視点を変える必要もありそうだ。
来週の注目イベントは、10日の日銀金融政策決定会合の結果発表と米2月雇用統計だ。黒田総裁の最後の日銀会合となり、YCC(イールドカーブ・コントロール)撤廃に向けた思惑がある。また、米雇用統計の結果に米利上げ動向は左右される。ただ、東京市場を牽引している内需株は「米国動向も日銀政策もハイテク株ほど影響は受けにくい」(同)。むしろ目を向けておくべきは、中国景気動向や低PBR是正に向けた個別企業の政策かもしれない。
そんななか、関心を集めるのが9日に開催される大日本印刷<7912>による投資家・アナリスト向け「新中期経営計画骨子説明会」だ。ここで積極的な株主還元策が打ち出されれば、日本企業の変革の象徴として「海外投資家の日本株見直し買いも」(市場関係者)との声もある。更に、先行き中国政府が日本への団体旅行の解禁を打ち出せば、百貨店などインバウンド関連株は一段の人気化も期待できる。
日経平均株価に比べ内需株比率の高いTOPIX指数はきょう終値ベースで11月高値(2018.80)を更新した。昨年1月高値(2039.27)も目前に迫っている。少し先だが21年9月高値を抜くことができれば、1990年以来の水準もみえてくる。
上記のイベント以外では、7~8日にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による議会証言が予定されている。加えて、8日に米2月ADP雇用統計、米1月JOLT求人件数、9日に中国2月消費者物価指数(CPI)が発表される。日本では9日に10~12月期国内総生産(GDP)2次速報、積水ハウス<1928>の決算発表が予定されている。10日は2月国内企業物価指数が発表され、先物のメジャーSQ算出日となる。来週の日経平均株価の予想レンジは2万7500~2万8400円前後。(岡里英幸)