前場に注目すべき3つのポイント~売り一巡後の底堅さを見極め、相対的な日本株の強さが意識される可能性も~
10日前場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
■株式見通し:売り一巡後の底堅さを見極め、相対的な日本株の強さが意識される可能性も
■積水ハウス、23/1通期 営業利益 13.6%増 2614億円
■前場の注目材料:日清紡HD、燃料電池セパレーター増産計画上乗せ、25年めど年1000万枚
■売り一巡後の底堅さを見極め、相対的な日本株の強さが意識される可能性も
10日の日本株市場は、売り一巡後の底堅さを見極める展開になりそうだ。9日の米国市場はNYダウが543ドル安だった。新規失業保険申請件数が増加したため、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ長期化懸念が後退し買いが先行した。その後、バイデン米大統領が24年会計年度(23年10-24年9月)の6.9兆ドル規模の予算案を発表、富裕層や法人の増税が含まれることを嫌気して売りに転じた。さらに、暗号資産関連のシルバーゲートキャピタルに続き、商業銀行サービスを提供するSVBファイナンシャル・グループの急落で、地銀などの含み損拡大が明らかになりつつあり、金融株を中心に下げ幅を拡大した。シカゴ日経225先物は大阪比370円安の28000円。円相場は1ドル136円10銭台で推移している。
シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、売り先行で始まろう。SQに絡んだ商いも加わることから、朝方は下へのバイアスが強まる可能性はありそうだ。ただし、SQ値は下で決まることから、売り一巡後はSQ値が支持線として機能する格好から、幻のSQといった形での下げ渋りが見られるかが注目されよう。そのため、まずは売り一巡後の底堅さを見極めるなか、様子見姿勢が強まりそうである。
また、米国では雇用統計の発表を控え、FRBによる利上げ加速への警戒は根強いだろう。ただし、昨日の米国市場の下落はSVBファイナンシャル・グループが60%を超える急落となるなど、金融株の下落が相場全体のセンチメントを冷ます格好だった。日本の金融株へも売りが波及する流れが警戒されることから、相対的にTOPIX型の弱さが意識されそうである。そのため、全般弱含みながらも、ハイテク株などの底堅さが意識される可能性はありそうだ。
そのほか、SQ通過後は期末を意識した配当志向の物色に向かわせやすい。米VIX指数の上昇で積極的な売買は手控えられやすいものの、金融株が総じて軟調ななかで底堅さがみられてくるようだと、相対的な日本株の強さが意識される展開も期待したいところだ。日経平均は売り先行ながらも、ボリンジャーバンドの+2σ辺りでの底堅さが見られるようだと、足もとのリバウンド基調は継続するだろう。
■積水ハウス、23/1通期 営業利益 13.6%増 2614億円
積水ハウス<1928>が発表した2023年1月期業績は、売上高が前期比13.1%増の2兆9288.35億円、営業利益は同13.6%増の2614.89億円だった。様々な高付加価値提案等の事業戦略を推進。各ビジネスは順調に進捗し、次年度以降の業績に寄与する受注が堅調に推移した。第5次中期経営計画3ヵ年の業績は、策定時の計画を大きく上回る結果となった。
■前場の注目材料
・日経平均は上昇(28623.15、+178.96)
・米国景気は拡大
・日銀は金融緩和を継続
・コロナ後の人流再開
・日清紡HD<3105>燃料電池セパレーター増産計画上乗せ、25年めど年1000万枚
・大日本印刷<7912>5年で事業投資3900億円、半導体関連など重視
・トヨタ<7203>都内で販売店首脳会議、電動化で結束呼びかけ
・トヨタ<7203>デンソーと福島で水素循環実証、今月中旬開始
・丸紅<8002>「空飛ぶクルマ」商用運航、関西地域で25年開始
・豊田通商<8015>カーペイを子会社化、中古車オンライン輸出拡大
・双日<2768>双日など、ベトナムに牛肥育農場・食肉加工工場を建設、現地最大級
・日産自<7201>HV車両コストをガソリン車並みに、EVと主要部品共用
・東レ<3402>X線検査で世界最高分解能、セル方式蛍光体パネル開発
・日本製紙<3863>バイオマス発電に国産チップ拡大、北海道材などリスク回避
・出光興産<5019>DICとバイオマスポリスチレン製造検討、CO2を80%超削減
☆前場のイベントスケジュール
<国内>
・日銀金融政策決定会合(最終日)
・08:30 1月家計支出(前年比予想:-0.1%、12月:-1.3%)
・08:50 2月国内企業物価指数(前年比予想:+8.4%、1月:+9.5%)
<海外>
特になし
《NH》