来週の株式相場に向けて=新年度相場占う局面、内需グロース株に突破口探る
足もとの相場は、米国発の金融システム不安に揺れているが、来週は本年度の最終週を迎え新年度相場を占う局面となりそうだ。
金融システム不安に関しては、経営不安に襲われていたクレディ・スイス・グループ<CS>を欧州金融大手のUBSグループ<UBS>が救済買収することが19日に明らかとなった。クレディ・スイス買収は金融の歴史に残るものだが、これで金融システム不安が払拭されたか、となるとまだ判然としない。
「イエレン米財務長官による銀行預金に関する発言に市場が一喜一憂する状況は、金融不安が根強いことの証拠」(アナリスト)との見方がある。今回の金融システム不安は基本的には急激な米利上げが銀行の財務に打撃を与え、破綻するところが出てきたという点では「過去から繰り返されてきたもの」(同)といえる。ただ、個別の銀行にどの程度の影響があったかが判明するまでは時間がかかる。このため、金融システム不安はなお燻ぶり続けるとみられている。
その金融システム不安による経済への影響も懸念されるなか、米長期金利は急激な低下に向かった。米連邦準備制度理事会(FRB)による年後半の利下げ期待も膨らんでいるが、この低金利への潮流は、資金をバリュー株からグロース株へと向かわせている。金利低下が追い風に働くのは、東京エレクトロン<8035>など半導体関連を含む高PERのハイテク株であり、更にはデジタルトランスフォーメーション(DX)関連やAI関連などの「内需グロース株」だ。DX関連では、伊藤忠テクノソリューションズ<4739>やサイボウズ<4776>、AI関連ではPKSHA Technology<3993>やAppier Group<4180>のような銘柄に活躍期待が膨らんでいる。
来週は29日が権利付き最終売買日で30日が権利落ち日となる。配当の権利落ちで日経平均では250円ほどの影響が予想されている。配当再投資に絡んでは、日経平均先物で1500億円強、TOPIX先物で9500億円強の買い需要が予想されており、これが相場の下支え要因に働きそうだ。
スケジュール面では、27日にドイツ3月Ifo景況感指数、28日に米3月消費者信頼感指数、30日に米10~12月GDP確定値、31日に米3月ミシガン大学消費者マインド指数・確報値が発表される。28日と29日に米国でシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻に関する上下院での公聴会が開かれる。
国内では31日に3月東京都区部消費者物価が発表される。3月IPOはピークを迎え、27日にカバー<5253>、28日にモンスターラボホールディングス<5255>、29日に住信SBIネット銀行<7163>などが新規上場する。加えて、31日引け後に日経平均採用銘柄の定期入れ替えが行われる。来週の日経平均株価の予想レンジは2万7000~2万7800円前後。(岡里英幸)