為替週間見通し:伸び悩みか、年内米利下げの可能性残る
【今週の概況】
■日銀緩和継続予想で円売り強まる
今週のドル・円は強含み。日本銀行は現行の金融緩和策を長期間維持するとの見方が広がったことや米国の早期利下げ観測は後退したことから、リスク回避のドル売り・円買いは縮小。17日発表の4月NY連銀製造業景気指数は予想外の10.8に上昇したことや米セントルイス連銀総裁のブラード総裁が「インフレに対処するため、さらなる利上げを支持する」と述べたこともドル買い材料となった。19日の取引では一時135円13銭までドル高・円安に振れる場面があった。
21日のニューヨーク外為市場でドル・円は、133円55銭まで下落後、134円49銭まで反発した。この日発表されたS&Pグローバル4月製造業PMIと同サービス業PMIはいずれも市場予想を上回る結果となり、5月利上げを想定したドル買い・円売りが観測された。ドル・円は134円10銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:133円55銭-135円13銭。
【来週の見通し】
■伸び悩みか、年内米利下げの可能性残る
来週のドル・円は伸び悩みか。米国内のインフレ高止まりを受け、次回開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で追加利上げが決定される可能性は高いものの、米国景気の減速懸念を背景に年内利下げ観測が広がっており、リスク選好的なドル買い・円売りは縮小する可能性がある。4月17日に発表された4月NY連銀製造業景気指数は、予想に反してプラスに持ち直し、連邦準備制度理事会(FRB)は5月2-3日開催のFOMCに向け0.25ポイントの利上げが織り込まれつつある。一方で20日発表の4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は予想外に弱く、景気減速が警戒される。FRB当局者は直近のインフレ率がFRBの目標上限を上回っているとし、物価高に対峙するスタンスを維持。目先の政策決定で金融引き締め最優先の方針を打ち出している。4月28日発表の3月PCEコア価格指数が底堅い内容なら、そうした見解がドル買いを後押しする材料になりそうだ。
ただ、5月の0.25ポイントの追加利上げ予想が上向くほど、年後半の利下げ観測が広がりつつあり、今後発表される経済指標が低調だった場合、景気減速が意識されやすい。特に1-3月期国内総生産(GDP)が予想を下回れば、ドルの下押し要因となろう。
一方、27-28日開催の日本銀行金融政策決定会合が注目される。日銀は新体制発足に伴い今後徐々に緩和政策を修正していくと期待されているが、同会合では緩和方針を維持する公算。それを受け、主要通貨に対するリスク選好的な円売りが続くと予想され、ドル・円相場に対する下支え要因となりそうだ。
【米・1-3月期国内総生産(GDP)速報値】(27日発表予定)
27日発表の米1-3月期国内総生産(GDP)速報値は前期年率+2.0%と、2022年10-12月期の同+2.6%から成長率は鈍化する見通し。予想を下回れば減速懸念が強まり、年内利下げ観測からドル売り材料となる。
【米・3月PCEコア価格指数】(28日発表予定)
28日発表の米3月個人消費支出(PCEコア価格指数)は前年比+4.5%と、前回実績をやや下回る見通し。市場予想と一致した場合、利上げ継続の思惑からドル高に振れやすい。
予想レンジ:132円00銭-136円00銭
《FA》