為替週間見通し:ドルは上げ渋りか、米追加利上げも年内利下げの可能性残る
【今週の概況】
■日銀緩和の長期継続予想で円売り拡大
今週のドル・円は堅調推移。米国の追加利上げを想定したドル買い・円売りは縮小し、4月26日の取引で一時133円02銭までドル安・円高に振れた。しかしながら、日本銀行は4月27-28日開催の金融政策決定会合で現行の金融緩和策を長期間維持する方針を打ち出したことから、主要通貨に対するリスク選好的な円売りが活発となり、ドル・円は133円台前半から反転した。
28日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時136円56銭まで上昇した。この日発表された3月PCEコア価格指数は市場予想と一致したこと、4月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値における5-10年期待インフレ率確報値は上方修正されたことから、5月の追加利上げを織り込むドル買いが優勢となった。日本銀行は金融緩和策を当面維持するとの見方が一段と広がったこともリスク選好的なドル買い・円売りを促した。ドル・円は136円28銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:133円02銭-136円56銭。
【来週・再来週の見通し】
■ドルは上げ渋りか、米追加利上げも年内利下げの可能性残る
来週・再来週のドル円は上げ渋りか。米経済指標でインフレ高止まりが示され、連邦準備制度理事会(FRB)による引き締め継続を見込んだドル買いが入りやすい。ただ、景気後退(リセッション)入りへの警戒感が一段のドル買いを抑制しそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑止に向け、5月2-3日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの利上げを決定する見通し。来週以降に発表されるインフレ指標も物価高を示すと予想され、FRBの引き締めを見込んだドル買いが入りやすい。
米国企業の決算発表では中堅行の業績悪化で金融不安が再燃したが、収束に向かえばFRBのタカ派スタンスを後押ししそうだ。企業業績は強弱まちまちながら、全般的に収益は好調とみられ、今のところ金融政策への影響は限定的。ただ、経済指標は低調な内容が目立つ。4月27日の米1-3月期国内総生産(GDP)の成長率は大幅鈍化。インフレ指標が予想外に強かったため米金利高・ドル高に振れたが、リセッション懸念を強める内容で、年内利下げ開始の思惑につながりやすい。
一方、5月4日開催の欧州中央銀行(ECB)理事会は大幅利上げ継続の公算で、ユーロ買い・ドル売りが活発となった場合、ドル・円は下押しされる見通し。ただ、日本銀行は現行の緩和政策を当面継続するとの見方から円売り地合いとなり、ドルなど主要通貨を支えるだろう。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(5月2-3日)
FRBは5月2-3日のFOMCで0.25ポイントの利上げを決定すると予想され、インフレ抑止への積極姿勢がドルを押し上げる要因となる。ただ、年後半の利上げ余地縮小が意識された場合、ドル買いは抑制される可能性がある。
【米・4月雇用統計】(5月5日発表予定)
5月5日発表の米4月雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+17.5万人、失業率は3.6%の見通し。賃金の高止まりは金融引き締めを後押しする材料となろう。
予想レンジ:134円00銭-138円00銭
《FA》