「自分の成功体験こそが1番の先生」、自己流で負けない技
すご腕投資家に聞く「銘柄選び」の技 ゆずさんの場合~第3回
2012年に300万円を元手に株式投資をスタートし、いきなり高値掴みで50万円の損失を食らうが、あきらめずに再チャレンジへ。最後の望みをかけて集中投資したガンホー<3765>で大当たりし、以降は幼いころからハマっていたゲームの銘柄に特化した投資法で大躍進する。14年には早々と億り人を達成、15年からは専業投資家に転身した。前半の資産形成期は中小型株中心、現在は大型株中心で安定成長を目指した投資を行っている。基本はこれぞと思う銘柄を天井までバイ&ホールドし、利益の最大化を目指す。最近はエンターテインメント銘柄の投資にも情熱を注ぐ。
第1回「ゲーム株に集中し、たった2年で億り人に、大きな負けは1回だけの理由」を読む
第2回「ゲーム株に集中投資で成功した裏に、もう1つの『集中の技』」を読む
受験勉強を頑張り、難関大学に進学したゆずさん(ハンドルネーム)。ただ、高校時代は、受け身になりがちな授業は、あまり身が入らなかったと言う。本人にとっては、仲間と一緒に学校の進路指導室で自発的に勉強する方が、学習意欲を高められたそうだ。
このスタイルは、投資でも同じ。著名な投資本などはほとんど読むことはなく、自分の信じる方法を繰り返して勝ち技を磨いていった。
だが、自己流はやり方を間違うと、無為な方法になりかねないリスクがある。ゆずさんは、その罠からどのように逃れ、勝つツボを押さえてきたのか。
ゲームと自分の成功体験に賢く集中
ゆずさんが投資で成功を手にしたのは、賢く集中したことだ。具体的には、次の2つの工夫を凝らしてきた。それは、
1つ目は、監視を続ける対象銘柄をゲーム関連の約50に絞る
2つ目は、自分のトレード(成功体験)を徹底的に振り返る
―― になる。時間と労力を費やす対象を大好きで興味のあるゲーム分野に絞り、投資で勝ち抜くノウハウの取得は自分の成功体験が1番の先生になると、分析の対象を自分自身に焦点を当てたのだ。
1つ目については、「自分が大好きなゲームに関わることは、誰にも負けないほど詳しくなりたい」という思いからだ。ゆずさんは、投資を始めて2015年に専業投資家に転身して以来、ゲームセクター関連銘柄約50社に対し、株式データをエクセルに入力する作業をずっと継続している。
その内容は、株価の推移や決算情報など、いくつかのパターンで作成するというものだ。うち、週間の株価騰落率のデータは、自身のツイッターを通じて公開するのがルーティンとなっている。作業にあたるのは、原則、毎週土曜日だ。
■ゆずさんが毎週行うツイッターでの情報発信の例
定点観測でコロナ暴落前の異変に気付く
この作業の中で、ゆずさんが意識しているのは、しっかり数字の意味を体に染み込ませること。必要事項はコピペせずに手入力することで、1つ1つの銘柄やセクター全体の趨勢の変化を慎重に確認していく。
コピペは入力時間を短縮できるものの、その数字の意味を理解するためには、コピーした数字をじっくり見直す作業が必要になる。本人曰く、「その時間は手入力したときよりも掛かってしまい、効率が悪い」とする。
この作業を続けることは、ゲームセクターの投資を成功させるだけでなく、相場全体に異変がないかを察知する目も養われるという。20年春のコロナ大暴落の直前には、それまでの実績からは強いはずの銘柄の株価が、急に伸びが衰え始め、資金が抜けていく様を見逃さなかった。
「相場全体が崩れるサインかも」。そう感じ取ったゆずさんは、保有していたポジションの解消に動く。その後の動きは、多くの投資家にとっては記憶に新しいはずだ。本人は、この相場急変の荒波を、どうにかやり過ごしたと言う。
自分のトレードこそが最良の勉強材料
2つ目の本人のトレードを徹底して振り返るのも、その方が効率も効果も高くなると考えているからだ。人によっては、自分が取引していない過去の事例を教科書に、株価が噴き上がるときには、どのよう材料が出て、チャートはどのように動くのかをおさらいして、自分のトレードに役立てる例もある。
これに対してゆずさんは、同じ時間をかけるなら、自分が実際に取引した銘柄の動きを教材にする方が、良かったことや改善点、今後の課題を効率よく頭に入れることができると捉えている。
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