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「自分の成功体験こそが1番の先生」、自己流で負けない技

特集
2023年5月5日 10時00分

すご腕投資家に聞く「銘柄選び」の技 ゆずさんの場合~第3回

文/福島由恵(ライター)、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

■ゆずさん(ハンドルネーム・30代・男性)のプロフィール:
2012年に300万円を元手に株式投資をスタートし、いきなり高値掴みで50万円の損失を食らうが、あきらめずに再チャレンジへ。最後の望みをかけて集中投資したガンホー<3765>で大当たりし、以降は幼いころからハマっていたゲームの銘柄に特化した投資法で大躍進する。14年には早々と億り人を達成、15年からは専業投資家に転身した。前半の資産形成期は中小型株中心、現在は大型株中心で安定成長を目指した投資を行っている。基本はこれぞと思う銘柄を天井までバイ&ホールドし、利益の最大化を目指す。最近はエンターテインメント銘柄の投資にも情熱を注ぐ。

第1回「ゲーム株に集中し、たった2年で億り人に、大きな負けは1回だけの理由」を読む

第2回「ゲーム株に集中投資で成功した裏に、もう1つの『集中の技』」を読む

受験勉強を頑張り、難関大学に進学したゆずさん(ハンドルネーム)。ただ、高校時代は、受け身になりがちな授業は、あまり身が入らなかったと言う。本人にとっては、仲間と一緒に学校の進路指導室で自発的に勉強する方が、学習意欲を高められたそうだ。

このスタイルは、投資でも同じ。著名な投資本などはほとんど読むことはなく、自分の信じる方法を繰り返して勝ち技を磨いていった。

だが、自己流はやり方を間違うと、無為な方法になりかねないリスクがある。ゆずさんは、その罠からどのように逃れ、勝つツボを押さえてきたのか。

ゲームと自分の成功体験に賢く集中

ゆずさんが投資で成功を手にしたのは、賢く集中したことだ。具体的には、次の2つの工夫を凝らしてきた。それは、

1つ目は、監視を続ける対象銘柄をゲーム関連の約50に絞る

2つ目は、自分のトレード(成功体験)を徹底的に振り返る

―― になる。時間と労力を費やす対象を大好きで興味のあるゲーム分野に絞り、投資で勝ち抜くノウハウの取得は自分の成功体験が1番の先生になると、分析の対象を自分自身に焦点を当てたのだ。

1つ目については、「自分が大好きなゲームに関わることは、誰にも負けないほど詳しくなりたい」という思いからだ。ゆずさんは、投資を始めて2015年に専業投資家に転身して以来、ゲームセクター関連銘柄約50社に対し、株式データをエクセルに入力する作業をずっと継続している。

その内容は、株価の推移や決算情報など、いくつかのパターンで作成するというものだ。うち、週間の株価騰落率のデータは、自身のツイッターを通じて公開するのがルーティンとなっている。作業にあたるのは、原則、毎週土曜日だ。

■ゆずさんが毎週行うツイッターでの情報発信の例

【タイトル】

定点観測でコロナ暴落前の異変に気付く

この作業の中で、ゆずさんが意識しているのは、しっかり数字の意味を体に染み込ませること。必要事項はコピペせずに手入力することで、1つ1つの銘柄やセクター全体の趨勢の変化を慎重に確認していく。

コピペは入力時間を短縮できるものの、その数字の意味を理解するためには、コピーした数字をじっくり見直す作業が必要になる。本人曰く、「その時間は手入力したときよりも掛かってしまい、効率が悪い」とする。

この作業を続けることは、ゲームセクターの投資を成功させるだけでなく、相場全体に異変がないかを察知する目も養われるという。20年春のコロナ大暴落の直前には、それまでの実績からは強いはずの銘柄の株価が、急に伸びが衰え始め、資金が抜けていく様を見逃さなかった。

「相場全体が崩れるサインかも」。そう感じ取ったゆずさんは、保有していたポジションの解消に動く。その後の動きは、多くの投資家にとっては記憶に新しいはずだ。本人は、この相場急変の荒波を、どうにかやり過ごしたと言う。

自分のトレードこそが最良の勉強材料

2つ目の本人のトレードを徹底して振り返るのも、その方が効率も効果も高くなると考えているからだ。人によっては、自分が取引していない過去の事例を教科書に、株価が噴き上がるときには、どのよう材料が出て、チャートはどのように動くのかをおさらいして、自分のトレードに役立てる例もある。

これに対してゆずさんは、同じ時間をかけるなら、自分が実際に取引した銘柄の動きを教材にする方が、良かったことや改善点、今後の課題を効率よく頭に入れることができると捉えている。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ 「教材は自分」にする理由

 

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