話題株ピックアップ【夕刊】(1):Jマテリアル、リコー、朝日インテク

注目
2023年5月19日 15時13分

■ジャパンマテリアル <6055>  2,156円  +234 円 (+12.2%)  本日終値  東証プライム 上昇率2位

ジャパンマテリアル<6055>が続急騰。同社は半導体工場向けの特殊ガスを手掛け、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>などが建設する熊本工場において、ガス設備とガスの供給を担う。5月12日に開示した24年3月期の連結業績予想は、最終利益が前期比39.3%減の48億円と大幅な減益見通しとあって、発表後の同社株には強い下落圧力が掛かっていた。15日に年初来安値をつけたが、18日に西村康稔経産相が海外の半導体関連企業の首脳らと会い、その後TSMCや米インテル<INTC>などから投資提案があったことを明らかにした。TSMCなどが日本国内で半導体生産の拡大に向けた追加の投資を行えば、Jマテリアルの事業が一段と拡大するとの見方から、株高に弾みがつき、きょうも幅広い投資家の買いが続いている。同社株は決算発表前の水準を上回って推移している。

■リコー <7752>  1,134円  +81 円 (+7.7%)  本日終値  東証プライム 上昇率9位

リコー<7752>と東芝テック<6588>がともに大幅高。きょう付の日本経済新聞朝刊で「リコーと東芝がオフィス向け複合機やコピー機など事務機の生産部門を統合する」と報じられ、なかで「リコーと東芝子会社の東芝テックの事務機の生産などの機能を新会社に集約する」とあることが好材料視されたようだ。記事によると、企業の業務デジタル化や新型コロナウイルス禍のオフィス離れで紙に印刷する事務機の需要が急減していることから、両社の技術力を持ち寄り競争力を高めるのが狙いで、新会社は出荷ベースで世界最大手になるという。この報道を受けて両社はともに「当社が発表したものではない」とコメント。リコーは「東芝テックと複合機などの開発・生産の統合に関して検討を進めているが、現時点で決定した事実はない。同件については今日開催の取締役会に付議する予定で、開示すべき事項が決定した場合は速やかに公表する」としている。

■朝日インテック <7747>  2,912円  +165 円 (+6.0%)  本日終値

朝日インテック<7747>は上値指向継続。2021年11月以来、およそ1年半ぶりの高値圏に浮上してきた。同社は医療用器具メーカーで、心臓血管のカテーテル治療に使われるPTCAガイドワイヤーでグローバルニッチトップを誇る。新型コロナウイルスの影響で減少したカテーテル治療数の回復を追い風に業績は最高益トレンドを進んでおり、前22年6月期営業19%増に続き、今期も14%増益を予想。増配も計画している。直近15日に発表した第3四半期累計決算では高進捗が確認され、足もと好業績を背景に投資資金の攻勢が加速している。

■フジHD <4676>  1,374円  +53 円 (+4.0%)  本日終値

フジ・メディア・ホールディングス<4676>が5日移動平均線を足場に上値追い継続、連日で年初来高値更新と気を吐いている。民放大手だが、ホールディング会社として不動産事業など経営の多角化に力を入れている。また、民放各社に共通する課題として低PBRの是正があり、同社株はPBR0.3倍台で解散価値の3分の1に近い水準に放置されている。そうしたなか、18日取引終了後に発行済み株式数の4.4%相当の1000万株、金額ベースで100億円を上限とする自社株買いを実施することを発表した。株主還元を強化することは資産圧縮につながり、株価上昇とともに低PBRの修正効果がある。また、同日に中期経営計画を策定したことを発表。数値目標としては26年3月期に営業利益400億円(23年3月期実績は314億100万円)を掲げており、これも株価を刺激している。

■メルコホールディングス <6676>  3,310円  +85 円 (+2.6%)  本日終値

メルコホールディングス<6676>が反発。18日の取引終了後にグループ組織の再編方針を発表し、子会社で製麺大手のシマダヤについて24年度中の上場申請を目指すと発表したことが好材料視された。グループ再編は「メルコ」という企業ブランドや経営理念が、必ずしも傘下企業の経営方針や業界特性にそぐわない事態が発生していることから、「バッファロー」「シマダヤ」という確立されたブランドと企業名を一致させることにより、さらなる認知度向上とアイデンティティーの確立を図るのが狙い。なかでシマダヤの上場は、メルコ株主にシマダヤ株式を現物配当により交付する株式分配型スピンオフの仕組みで実施する方針で、スピンオフ後にメルコは傘下のバッファローと合併し、社名をバッファローに変更する予定としている。なお、シマダヤのスピンオフ上場については、今年1月23日にスピンオフと上場準備の開始を発表していたが、今回上場申請の時期が明らかにされた。なお、同時に東証プライム市場からスタンダード市場に移行することも発表した。

■エムスリー <2413>  3,169円  +69 円 (+2.2%)  本日終値

エムスリー<2413>が続伸。18日の取引終了後、連結子会社のシーユーシー<9158>について、東証グロース市場への新規上場が承認されたと発表した。IPO(新規株式公開)を通じた資金調達による子会社の成長と、グループ全体の事業拡大を期待した買いが集まったようだ。シーユーシーは医療機関支援事業や居宅訪問看護事業、在宅ホスピス事業を手掛ける。上場日は6月21日の予定。エムスリーは上場後も、発行済み株式総数の過半数の保有を維持する方針としている。

■IIJ <3774>  2,965円  +63 円 (+2.2%)  本日終値

インターネットイニシアティブ<3774>が3日ぶりに反発した。18日の取引終了後、日本電信電話<9432>が保有するIIJ株式の一部をKDDI<9433>に売却すると発表した。NTTはIIJによる自社株買いにも応募した。IIJの筆頭株主はNTTからKDDIに代わることとなった。IIJに対しては、事業展開面でのポジティブな影響を期待した買いが集まったようだ。NTTはKDDIに対し、IIJ株1870万7000株を1株2739円で、市場外での相対取引で売却する。IIJは、東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)を通じた自社株買いを19日に実施するとも発表。同日午前に、予定通りNTTから392万8500株を取得したと開示した。NTTの持ち分法適用会社から外れることとなる。IIJは取得した自己株式を全て消却する予定としている。

■スルガ銀行 <8358>  521円  +11 円 (+2.2%)  本日終値

スルガ銀行<8358>が底堅い。18日の取引終了後、クレディセゾン<8253>との資本・業務提携を発表した。事前に報じられていたこともあって、スルガ銀の株価は前日に大きく上昇していた。同提携の正式発表にあわせ、スルガ銀は取得総数3500万株(自己株式を除く発行済み株式総数の18.58%)、取得総額220億円を上限とする自己株式の取得枠の設定を開示しており、これを材料視した買いがこの日の株価の支えとなったようだ。資本・業務提携に伴い、スルガ銀はクレセゾンを割当先とする自己株式の処分を行う予定。これに伴う株式の希釈化の影響を、自社株買いを通じて抑制するとともに、資本効率の向上なども図るという。取得期間は7月4日から2024年3月31日の間で、クレセゾンへの自己株式の処分完了後に開始する。

■神戸物産 <3038>  4,075円  +85 円 (+2.1%)  本日終値

神戸物産<3038>が3日ぶりに反発した。18日の取引終了後に発表した4月度の月次業績は、単体売上高が前年同月比12.5%増の413億4200万円、営業利益は同16.8%増の27億4400万円となった。本業は堅調と受け止めた投資家の買いが株価の支えとなったようだ。4月度は業務スーパーで6店舗の新規出店があった。テレビ番組やSNSを通じて業務スーパーが取り上げられたことが増収に寄与した。引き続き利便性の高い冷凍野菜のほか、セール対象品も販売が好調だったという。退店は1店舗だった。経常利益は同1.6%減の28億2900万円となったが、前年同月と比べた減益率は3月から縮小した。

■レーザーテック <6920>  20,695円  +205 円 (+1.0%)  本日終値

レーザーテック<6920>が4連騰で底値圏からの切り返し急となっているほか、東京エレクトロン<8035>、SUMCO<3436>など半導体関連株が軒並み上値指向を強めている。ここにきて日米株市場ともに半導体関連株への物色人気が高まっており、前日の米国株市場ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が3.2%高と急伸、これを受けて東京市場でも同関連株への買いに弾みがついている。外国為替市場で円安が進んでいることや、前日に岸田文雄首相が欧米や、韓国、台湾の半導体大手企業の幹部と首相官邸で面会し、日本への投資拡大を呼びかけたことも、足もとで半導体セクターの株価を強く刺激する背景となっている。

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