来週の株式相場に向けて=日経平均は3万円台に定着するか
19日の東京市場は日経平均株価が前日比234円高と7日続伸。一時3万900円台まで上昇し、1990年8月以来約33年ぶりの水準にまで買われた。今週だけで日経平均は1400円強(4.8%)の上昇と強烈な上げを演じた。海外勢とみられる買いが大量流入し、日経平均を一気に押し上げた格好だ。
今後の焦点は、日経平均が3万円台に定着することができるかだ。21年9月に日経平均は3万円台に上昇したが、ほどなく反落した。当時の菅義偉首相が退陣を表明し、新政権への期待からは株価は急上昇した。しかし、買い戻しを中心とした需給要素が強い上昇で長続きはしなかった。今回は21年の当時に比べてより内容が伴った上昇にみえる。今年の春闘では30年ぶりの賃上げが実現し、内需拡大への期待が膨らんだ。東証の「PBR1倍割れ是正」の呼び掛けに応える形で、日本企業は過去に見られなかった大幅な増配や自社株買いに踏み切っている。
「今回の株高は12カ月、24カ月、36カ月の全ての移動平均線が上向くなかで上昇している。相場は長期上昇トレンド入りした可能性が高い」(テクニカルアナリスト)との見方も強い。何よりも、株高そのものが消費や設備投資を活発化させることで、脱デフレを促進させる効果がある。その意味で、日経平均が3万円を奪回した意味は大きい。
ただ、やはり目先的な過熱感は否めない。25日移動平均線からの乖離率は6%超と警戒ラインの5%を超えている。また、ボリンジャーバンドも警戒水準のプラス3σ(シグマ)に差し掛かっているという。目先一服局面は予想され、いったん3万円割れもあり得る。しかし、そこは押し目買いのチャンスとの見方が多い。
来週は目立ったイベントはなく、米債務上限問題の動向などが注目される。米国では24日に5月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。同日にエヌビディア<NVDA>の決算がある。国内では、22日に3月機械受注、23日に全国百貨店売上高が発表される。また、市場では配当再投資に向けた期待が強い。5月下旬から6月末の配当額は8兆円超とみられ、その再投資が需給好転要因となるとみられている。
個別銘柄では、半導体関連のレーザーテック<6920>や東京応化工業<4186>、車載電子部品に絡みTDK<6762>、京セラ<6971>などの動向が注目されている。来週の日経平均株価の予想レンジは3万100~3万1200円前後。(岡里英幸)