この記事はプレミアム会員限定です

知られざる「小型優良・放置銘柄」を探せ!

特集
2023年5月24日 10時00分

大川智宏の「日本株・数字で徹底診断!」 第113回

大川智宏大川智宏(Tomohiro Okawa)
智剣・Oskarグループ CEO兼主席ストラテジスト
2005年に野村総合研究所へ入社後、JPモルガン・アセットマネジメントにてトレーダー、クレディ・スイス証券にてクオンツ・アナリスト、UBS証券にて日本株ストラテジストを経て、16年に独立系リサーチ会社の智剣・Oskarグループを設立し現在に至る。専門は計量分析に基づいた株式市場の予測、投資戦略の立案、ファンドの設計など。日経CNBCのコメンテーターなどを務めている。

前回記事「「出たぞ、サプライズ」、決算後のプレーはここがポイント」を読む

世界的な景気後退が懸念されている中で、日本株の堅調さが目立っています。

原動力となっているのが、3月末以降の海外投資家による強い買い越しです。これに呼応するように、米S&P500指数に対するTOPIXの相対的な強さを示す相対株価(TOPIX÷S&P500)も、力強く回復を見せています(下のグラフ)。

海外勢の買いの背景にあるのが、経済のフェーズが欧米に比して遅れていることや、東証のPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業に対するテコ入れ策といった前向きなテーマが好材料となっているようです。

■日米相対株価と海外投資家の買い越し・売り越し額(2023年~、週ベース)

【タイトル】

出所:東証、リフィニティブ・データストリーム

「Small」は「500」にアンダーパフォーム

こうした海外勢主導の相場上昇に取り残されがちなのが、時価総額が小さく流動性の少ない小型株です。

大型株~中型株を中心に構成される「TOPIX500」と小型株で構成される「TOPIX Small」のパフォーマンスを見ると、海外投資家が買い越しに転じた今年3月末以降は、TOPIX500が良好であることが分かります。

■3月末以降のTOPIX500 とTOPIX Smallの騰落率

【タイトル】

出所:リフィニティブ・データストリーム

資産規模が数千億円から数兆円規模の海外勢のファンドにとっては、仮に有望な小型株が存在したとしても、自分自身の取引で約定価格を押し上げてしまいます。これは、取引コストの増大と高値掴みからの利益確定売りに巻き込まれる可能性が高くなるため、デメリットとリスクしかありません。

この環境がしばらく継続する場合は、大型株に投資妙味があると見るのが自然です。しかし、すでに海外投資家は一定量の資金を投じており、大型株の株価のアップサイドは、今後それほど大きくない可能性もあります。

一方で、このラリーに参加できてない小型株は、需給的に放置されている可能性が高く、優良銘柄であってもそれほど強く買われていないかもしれません。

株価放置状態の安定成長小型株を探す

そこで、今回は対象を小型株に限定し、過去からの中長期的な視点で極めて堅調に成長を続けている割には株価が評価されていない"放置状態銘柄"に注目していきます。

母集団は、TOPIX Small指数の構成銘柄または東証スタンダード市場上場銘柄の中で、2023年5月17日時点で時価総額が500億円未満の銘柄とします。なお、東証グロース(旧東証マザーズ)については、赤字上場の銘柄が多く、過去10年間のサンプルを確保しにくいことから、対象から除外しています。

抽出にあたっては、まず過去10年間の売上高純利益配当のそれぞれの成長率を算出します。

次に、上の3要素について過去10年間で何年間プラスの成長を達成したのかという「勝率」を各々で計算し、勝率を平均して安定成長性をスコアリングしてランキングをしていきます。このうち、スコアが80%を超える銘柄を「安定成長小型株」として抽出します

加えて、株価の点でも「すでに高く評価されている銘柄」や、「十分に織り込まれたうえで利益確定に押されて低迷している銘柄」を除外します。

その方法として、各銘柄の過去10年間の1年ごとの株価変化率を用います。ここから平均リターンを標準偏差で割るリターン・リスク比を算出し、その数値が低い銘柄を過去を含めて大きく業績が評価されたことはないと判断していきます。

業績データについては、2023年5月時点から遡って取得可能な1年間(過去12カ月)ごとの過去10年間のデータであり、必ずしも年度データになっていないことに注意が必要です。

まずは株価リターンを考慮しない段階の安定成長性スコアのみでの顔ぶれを見ていきます。抽出したのは、スコアの上位20銘柄(同率で12位まで)です。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ 「安定成長小型株」の顔ぶれは

 

こちらは株探プレミアム限定記事です。プレミアムプランをご契約して読むことができます。
株探プレミアムに申し込む (初回無料体験付き) プレミアム会員の方はこちらからログイン
プレミアム会員になると...
株価情報をリアルタイムで提供
企業業績の表示期数を拡大
限定コラムが読み放題

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.