来週の株式相場に向けて=エヌビディア急騰劇の波紋どこまで
26日の東京市場では、日経平均株価が前日比115円高と続伸。一時3万1101円まで値を上げ、22日につけたバブル崩壊後の高値(終値3万1086円)を上回る場面があった。
この株価上昇の背景にあるのは、言うまでもなく24日に好決算を発表したエヌビディア<NVDA>の急騰劇だ。決算前は300ドル前後で推移していた同社の株価は25日に一時29%高と400ドル近くまで上昇した。同社は時価総額が日本円で100兆円台の超巨大企業だが、一部証券会社は目標株価を600ドルまで引き上げたという。
生成AI(人工知能)の爆発的な普及を背景にしたAI半導体需要増大の恩恵を享受するという構図だ。「米国ではエヌビディアの業績急拡大に対してincredible(信じられない)という言葉が飛び交っている」(アナリスト)と言われている。
当然、この半導体需要拡大の追い風は日本の半導体関連株にも吹く。岸田政権が日本に半導体のサプライチェーンを構築しようとしていることも注目されているようだ。東京エレクトロン<8035>やレーザーテック<6920>などの上昇が目立つが、主要半導体関連株には信用の売り長銘柄も目立ち、「踏み上げ相場」の状況にあることも見逃せない。上場来高値を更新したアドバンテスト<6857>の信用倍率は0.5倍台、ディスコ<6146>は0.6倍台、イビデン<4062>は0.3倍台といった具合だ。
ただ、半導体相場をけん引役に東京市場が今後も押し上げられるのか、となると不安要因もある。足もとの過熱感は否めないほか、来週の6月1日にかけては米国で債務上限問題が佳境を迎える。週末の2日には米5月雇用統計が発表される。
弱気派が物色するNEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信<1357>などの受益権口数は大きく膨れ上がっている。「相場が下がれば、売り方の買い戻しも入る。基調は強く日経平均株価の下値は3万円前後だろう」(市場関係者)との声は多い。ただ、この日のプライム市場の7割の銘柄は下落している。目先的には相場は胸突き八丁の局面にあるのかもしれない。
来週は、29日は米国がメモリアルデーで休場、31日に米4月JOLTS求人件数、6月1日に米5月ADP雇用統計、同ISM製造業景況指数、2日には前出のように米雇用統計が発表される。国内では31日に米4月鉱工業生産、1日に1~3月法人企業統計が発表される。来週の日経平均株価の予想レンジは3万300~3万1500円前後。(岡里英幸)