タカ派なFOMCも無難に消化/後場の投資戦略
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[後場の投資戦略]
今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)については予想通り利上げが一時停止されたが、全体的な内容としては事前の市場想定よりはタカ派な印象を受けた。FOMCの開催前、金利先物市場は次回7月会合での利上げ再開を予想し、年内はこの1回の利上げだけを織り込んでいた。また、年内の利下げ予想は既にほぼ後退していたが、1回の利下げを織り込む確率もまだ僅かながら残っていた状況だった。
一方、新たに発表された政策金利見通し(ドットチャート)が示す今年年末の政策金利中央値は5.63%と、前回3月時点から0.5ポイント引き上げられ、利上げの回数としては残り2回という数字が示唆された。また、FOMC参加者18人のうち過半数の12人が5.63%の中央値ないしこれより上の水準を予想していた。加えて、パウエル議長は会見で利下げは「2年ほど先になるかもしれない」と発言しており、これは、少なくとも来年からの利下げは確実と考えている市場とは異なるもので、全体的にはタカ派寄りの結果となった。
一方、相場への影響は限定的のようだ。というのも、インフレ動向を見誤り、後に政策を急激に変更させた過去の失敗から、FRBは再び政策方針を二転三転させることで当局としての信頼を失うことを恐れており、こうした状況は誰もが分かっている。そのため、インフレが依然として目標の2%を大幅に上回っている状況ではタカ派な姿勢を維持せざるを得ないことは自明であるからだ。
また、結局は今後発表される経済データ次第とうい従来からの方針は変わっておらず、FRBのタカ派なスタンスをそのまま真に受ける向きは少ないのだろう。むしろ、一回停止させた利上げを再開させるにはそれ相応の根拠が必要であり、ハードルは高いと市場は見透かしている様子。株式市場が利上げに怯える局面はとうに終わったと考えているようだ。
こうした中、市場の関心はやはり前日の当欄で指摘したように、期待通りに米経済がソフトランディングできるかどうかにかかっていると思われる。今晩は米国で5月小売売上高や5月鉱工業生産、そして、6月ニューヨーク連銀製造業景気指数、6月フィラデルフィア連銀景況指数の景気指標が発表される。
これらの結果を受けて景気減速懸念が再燃しないかが焦点となろう。仮に市場予想を下振れると、前日に発表された米5月卸売物価指数(PPI)の市場予想を超える減速ぶりからも窺えるように、景気減速懸念が強まる可能性があり、積み上がった投機筋の円売りポジションの巻き戻しとともに円高・ドル安に振れる展開も想定される。本日は景気敏感株の株価が軟調だが、ソフトランディングの手掛かりをもう少し得るまでは安易な押し目買いには慎重になるべきだろう。(仲村幸浩)
《AK》