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23年話題のIPO、ispace株で2600万円を獲得した2つのポイント

特集
2023年6月16日 10時00分

すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 Kさんの場合-第2回

登場する銘柄
ispace<9348>、ガンホー<3765>、セカンドX<5028>

編集・構成/真弓重孝、取材/高山英聖(株探編集部)

■Kさん(40代・男性・専業投資家)のプロフィール:
大阪府在住の専業投資家で、累計リターンは15億円になる。投資を開始したのは2006年、27歳の時。元手100万円から元本を一度も追加せず1500倍に増やす。手法は、一貫して超短期の順張り投資。定期的に自身の取引を振り返りながらレベルアップを図り、年間成績では17年間無敗を達成している。株を始める前は、月100万円以上を稼ぐパチプロとして腕を鳴らしていた勝負師だが、自身は損失のストレスに弱く、性格も投資も慎重派だと分析する。現在は妻と二人暮らし。「株探-個人投資家大調査-2023春」の回答者で、投資スタイルは「テクニカル・需給重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。

第1回「100万円を17年で累計15億円に、モメンタム重視・短期決着の技」を読む

今年、最も話題になったIPO(新規株式公開)銘柄を現時点で挙げるなら、月面開発事業を手掛けるispace<9348>という人も多いだろう。

投資家に限らず多くの日本人から期待や注目を集めた同社。その株価は、IPOから1週間で初値の2倍以上に膨らんだ。ところがその後にロケットの月面着陸が失敗したと伝わると、ispace株は急行直下。一時は初値を割り込むまでに低迷した。

100万円を17年間で累計15億円に膨らました腕の持ち主、Kさんも(ハンドルネーム)も、話題性が十分にあり強い上昇モメンタム(勢い)が期待できたispaceに投資。最初の上昇局面で買い、下げに転じる前に売り抜けて2600万円のリターンをさらった。

IPO銘柄は、その話題性はもちろん、公開価格の決定や調達資金の規模、既存株主の売却を一定期間留保させるロックアップなど独特の需給要因を持つ。こうしたクセを持つIPO銘柄で、Kさんは何を意識してモメンタム投資をしているのか。2回目の記事は、これらについて見ていく。

■ispaceの日足チャート(2023年4月~)

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注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同

勝負は最初の1週間、キーワードは「新規性」と「敵情報」

KさんのIPO投資の鉄則は、新規公開後の1週間で勝負を決めるというもの。この期間は投資家の注目が集まりやすく、思惑買いが入りやすい傾向が見られるためだと言う。

売買における基本的な流れは、前回紹介したものと大体同じ。違いは、買い材料とリスクの捉え方で、具体的には次の2つになる。

■KさんのIPO投資の方針

買い材料市場の思惑を掻き立てそうな「新規性」のある事業テーマ
リスクベンチャーキャピタル(VC)とストックオプション(SO)の売り圧力

この2つの方針を取るのは、IPO直後は買いが集中しやすい反面、既存の大株主の売りによって上値が重くなるリスクにも留意する必要があるからだ。

「宇宙開発」は、市場の思惑を掻き立てるパワーワード

ispaceを例に説明すると、宇宙開発という事業テーマに「新規性」があり、もっと言えば「壮大な夢」を持つ点が、買い材料になった。宇宙開発のような未知の領域に関わる事業は、市場の思惑を掻き立てるのに、十分過ぎる要素が盛り込まれている。

こうした基準を設ける原点になったのが、2013年にスマートフォン専用ゲームの「パズル&ドラゴンズ」で浮上したガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>の急騰劇だ。

スマホの課金型ゲームで業績が急拡大する事例は、今では珍しくないが、当時は初めてと言っていいくらい「新規性」があった。この要素が、市場の期待を膨らまし、半年で株価を15倍超に持ち上げる原動力になったとKさんは分析する。

■『株探プレミアム』で確認できるガンホーの長期の月足チャート(2007年~)

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投資においてKさんは、自分の主観を客観視する作業を必ず行う。ispace株のケースでは、同社のIPOは投資家の期待を集めるはずだという思いを客観視するために、SNS(交流サイト)やインターネット掲示板などに投稿されたコメントの数々に目を通した。

それらに触れるうちに、「投資家の関心や話題性で言えば、日本郵政<6178>のIPOに次ぐ水準」と思えるような期待の高さを感じたという。ただし難しいのが、2つ目の売り圧力をどう推し量るかだ。買い圧力に対して、それなりに売り圧力が働くことを想定しなければ、公開後の騰勢を見誤りかねない。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ VCとSOの売却リスク、どう見積もる?

 

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