話題株ピックアップ【夕刊】(1):JSR、東応化、三菱ケミG

注目
2023年6月26日 15時14分

■JSR <4185>  3,934円  +700 円 (+21.7%) ストップ高   本日終値  東証プライム 上昇率トップ

JSR<4185>が急騰。24日付の日本経済新聞朝刊は、「政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)は半導体材料のJSRを約1兆円で買収する」と報じた。同日、JSRは「本件を検討していることは事実」としたうえで、26日に開催する取締役会に付議する予定とのコメントを開示した。買収時に株価に上乗せされるプレミアムを期待した買いが集まった。報道によると、海外を含めた競争当局の審査を経て、JICは早ければ年内にJSRへのTOB(株式公開買い付け)を実施する。手続きが順調に進めば、2024年中に上場廃止となる見込みという。

■大阪有機化学工業 <4187>  2,573円  +215 円 (+9.1%)  本日終値  東証プライム 上昇率2位

大阪有機化学工業<4187>はマドを開けて買われ年初来高値更新。昨年6月以来、およそ1年ぶりの高値に浮上した。同社は塗料や電子材料に使われるアクリル酸エステルを手掛ける化学メーカーで、半導体材料のフォトレジスト向けに強みを持つ。今期業績は電子材料向け需要の低迷で冴えない見通しにあるが、増配や自社株買いなど株主還元には手厚い姿勢をみせている。この日の株式市場では産業革新投資機構(JIC)によるJSR<4185>の買収報道が話題となっているが、大有機は主要顧客の一つにJSRを有しており、JSRとともに関心が高まる格好で思惑的な物色が向かっているようだ。

■東京応化工業 <4186>  8,761円  +728 円 (+9.1%)  本日終値  東証プライム 上昇率3位

東京応化工業<4186>が買われたほか、大阪有機化学工業<4187>、トリケミカル研究所<4369>など半導体材料を手掛ける企業群に投資マネーが集中的に流入している。東応化は年初来高値を更新した。ここ相場の柱を担っていた生成AI関連特需で潤う半導体関連に目先利益確定の動きが出ている一方、同分野で相対的に出遅れている素材関連にマーケットの視線が集まっている。市場では「政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)がJSR<4185>を約1兆円で買収するとの報道を受け、同社株がストップ高に買われたが、この連想で業態的に類似する半導体材料株に個人投資家を中心とした短期筋が攻勢をかけている」(中堅証券ストラテジスト)という。特に東応化は半導体フォトレジストで世界トップクラスの商品競争力を誇っており、国策に乗る銘柄としてにわかに存在感を高めている。

■湖北工業 <6524>  6,030円  +230 円 (+4.0%)  本日終値

湖北工業<6524>が急反発。日本経済新聞電子版が23日、「政府は2024年度にも、民間と共同で日本の国内外を結ぶ海底ケーブルの増設に乗り出す」と報じた。記事によると、政府が資金面から支援し、災害や地政学リスクに強い分散型の通信網づくりを進めて経済安全保障の強化につなげるという。この報道を手掛かりに海底ケーブル関連株の一角が物色されており、住友電気工業<5802>や古河電気工業<5801>、海底ケーブル向け部品を製造する湖北工業が上昇している。

■ツルハホールディングス <3391>  10,895円  +290 円 (+2.7%)  本日終値

ツルハホールディングス<3391>が3日ぶりに反発し、年初来高値を更新した。前週末23日の取引終了後、23年5月期の連結決算発表にあわせ、24年5月期の業績予想を開示した。最終利益は前期比2.5%増の258億9800万円を見込む。更に、前期の期末配当を直近の予想から27円増額したうえで、今期の配当については前期比7円増配の267円を計画する。増益見通しと株主還元姿勢を好感した買いが集まったようだ。今期の売上高は前期比6.5%増の1兆330億円と、初の1兆円台を見込む。ドミナント展開による店舗網の拡充を図るうえで、126店の出店を計画する。23年5月期の売上高は前の期比5.9%増の9700億7900万円、最終利益は同18.1%増の252億5800万円だった。

■三菱ケミカルグループ <4188>  847円  +21 円 (+2.5%)  本日終値

三菱ケミカルグループ<4188>は上値追い継続。大幅高で5月29日高値(837円90銭)を上抜け、年初来高値を更新した。前23年3月期は新型コロナワクチン事業撤退に伴う減損損失などの影響で最終大幅減益を余儀なくされたが、今期は前期比同水準を予想しており、業績に対する懸念はひとまず落ち着きをみせている。また、同社は株主還元拡充の方針を掲げており、今期配当は増額を計画する。堅調な業績見通しが株価を下支えするなか、前週末23日に世界的なリチウムイオン電池用正極材メーカーの韓国L&Fと協業検討を開始すると発表。これを手掛かりに買いを入れる動きが強まったようだ。

■シナネンHD <8132>  3,820円  +85 円 (+2.3%)  本日終値

シナネンホールディングス<8132>が3営業日ぶりに反発。同社はきょう、電気自動車(EV)のワイヤレス充電システムの生産・販売を手掛ける米ワイトリシティ(マサチューセッツ州)と日本市場での販売展開に関して基本合意したと発表。シナネンHDはワイトリシティの日本展開におけるパートナーとして、子会社のシナネンがワイトリシティ製品の日本国内への輸入から一般向けへの販売業務などを目指すという。また、シナネン及びグループのリソースを活用し、既存EV車両へのレシーバーの設置、ウォールボックス及び送電パッドを兼ね備えた充電場所の設置・普及なども推進していくとしている。

■日本郵船 <9101>  3,108円  +68 円 (+2.2%)  本日終値

日本郵船<9101>、商船三井<9104>、川崎汽船<9107>など大手をはじめ海運株が軒並み買われる展開。半導体関連などハイテク系グロース株への買いが一服するなか、低PBRのバリュー株に対する物色意欲が再燃している。新型コロナ特需の反動によるコンテナ船市況の悪化は株価面で織り込みが進んだ。また、中国経済の減速が取り沙汰されるなかも鉄鉱石や石炭、穀物などを運ぶばら積み船市況の総合的な値動きを表すバルチック海運指数は6月上旬以降、戻り足を鮮明としている。外部環境の厳しさを嫌気した売りが一巡し、低PBR・高配当利回り株へのリターンリバーサルの流れを映す形で買い戻しが進んでいるもようだ。

■平和 <6412>  2,498円  +45 円 (+1.8%)  本日終値

平和<6412>は6連騰。SBI証券が前週末23日、平和のカバレッジを投資判断「買い」で開始した。目標株価は3740円とする。スマート遊技機の登場などを背景に、遊技機業界は久しぶりの大転換期を迎えていると指摘。同社の機種販売について、今期は順調に進むとみるほか、コロナ禍にあってもゴルフ事業を中心にキャッシュを創出するなど、強固な事業基盤を構築している点も強みだと分析する。同証券は平和の24年3月期の営業利益が377億4500万円になると予想する。

■ダイセル <4202>  1,290円  +18 円 (+1.4%)  本日終値

ダイセル<4202>が3日ぶりに反発。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が前週末23日、ダイセルの目標株価を1900円から2400円に引き上げた。レーティングは「オーバーウエート」を継続する。アセテート・トウ(たばこフィルター)の値上げが順調に進み、為替や原燃料価格の前提も控えめだと指摘。下期からはエアバッグ用インフレーターのコスト削減効果も出ると見込む。同証券はダイセルの24年3月期営業利益の予想を530億円から600億円に見直した。

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