伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 7月17日版

日経平均は下げやすい時期に天井型を完成し、下降の準備が整った

1.　年間を通じた上昇、下降の流れの作り方

株価は下げやすい時期に下値堅く推移（上げやすい時期に上値重く推移）して、また、上げやすい時期に大きく上昇（下げやすい次期に大きく下落）することで、その年全体の上昇（下降）の流れを作っていきます。

本年の 日経平均株価が上昇しやすい年末の時期に積極的な上げ局面へ入り、年の前半の高値を大きく上回る展開になるなら、7月から9月の下げやすい時期にあまり下げず、下値堅く推移するはずです。

2020年は特別な年ではありますが、3月19日の安値1万6358円から6月9日の高値2万3185円まで6827円の上昇を経過した後、10月30日までほとんど下げずに横ばいで推移したことで、10月30日の安値2万2948円から翌年2月16日の高値3万0714円まで7766円の上げ幅となりました。

一方、2015年は1月16日の安値1万6592円から6月24日の高値2万0952円まで4360円幅の上昇局面を経過した後、9月29日の安値1万6901円まで4051円幅の下げになっています。年の前半の上げやすい時期に上げた分のほとんどを、下げやすい時期に消費してしまいました。

9月29日から年末へ向けて価格が上昇しましたが、その上げは6月の高値2万0952円へ届かず、12月1日の高値2万0012円で力尽きてしまいました。

本年の日経平均株価は、年初から6月19日まで上昇の流れを作ってきました。年の前半の上昇で本年の上げが終わるなら、今後は7月から9月の下げやすい時期に下げ幅の大きな動きが表れると考えられます。

一方で、7月から9月の期間で下げ余地が限られるなら、年末、来年の年初へ向けて年の前半の高値を超えて、さらに大きく上昇する展開になる可能性を残します。