サクシード Research Memo(8):先行投資は続けるが、利益の確保にも注力

特集
2023年7月19日 12時08分

■業績動向

3. 2024年3月期の業績見通し

サクシード<9256>は2024年3月期の業績について、売上高3,440百万円(前期比17.1%増)、営業利益445百万円(同16.3%増)、経常利益445百万円(同11.4%増)、当期純利益298百万円(同10.9%増)を見込んでいる。市場の成長性から先行投資は続けるが、2ケタ増益の確保にも注力する方針である。

日本経済は、コロナ禍から回復する一方、ウクライナ情勢などに起因する原材料高や円安など引き続き不透明な要素も抱えている。教育や福祉の業界では、働く環境や人材強化といった課題への認知が高まり、課題解消に向けて政策も動き出そうとしているところである。こうしたなかで同社は、成長に加速が付きそうな教育人材支援事業と福祉人材支援事業向けに営業人員の拡大を計画している。また、個別指導教室事業では新規開校によって神奈川県のドミナントを強化する一方、ドミナント化に向けて神奈川県以外のエリア開拓にも乗り出す予定である。家庭教師事業についてはオンライン型の仕組みを強化するとともに、対面型家庭教師サービスにも注力する方針である。足もとの状況はおおむね想定より良好な進捗で、特に教育人材支援事業の好調ぶりが顕著となっているようだ。

セグメント別の詳細は、教育人材支援事業のICT支援員について、コロナ禍で教育現場におけるDXが加速したもののICT支援員は依然として不足している状況で、今後もICT支援員の需要は増加することが予測されている。部活動指導員やALT(外国語指導助手)、プログラミング講師などでも、教員の負担を軽減するため外部に委託する動きが強まっており、特に教員の長時間労働の問題は今後の日本の教育現場の質の低下に結びつく重要な課題でもあるため、教員や部活動指導員などにおける外部人材の利用は公立校を含めて増えてくると想定される。人員強化によりサービス拡大に対する営業体制が構築できたため、足もとで同社は自治体向け・学校向け案件の獲得に向けたプロポーザルや入札への参加を強化しているところである。この結果、2ケタの増収増益を予想している。

福祉人材支援事業では、収益性の低い介護向け人材サービスから撤退したため、今後需要が見込まれる保育施設、学童施設、放課後等デイサービスに経営資源を集中する方針である。自治体向け人材サービスにおいては学校介助員などが堅調に推移している。また、事業法人向けの福祉人材サービスについては「小1の壁問題」が追い風になって大きく伸びると予想される学童保育に注力する予定である。さらに、有資格者の登録が多いという強みを活かして放課後等デイサービス向け人材紹介を拡大、児童相談所向けサービスについては首都圏に加えて関西圏も狙っていく考えである。これにより引き続き増収を狙うが、新規登録者の獲得に向け新たにSNS広告などを強化するため利益は横ばい圏を見込んでいる。

個別指導教室事業では、将来の事業拡大に向けて6店~8店の新規校舎を開校する予定である。ドミナントエリアの神奈川県はもちろんだが、全国展開への足掛かりとして神奈川県以外のドミナントエリア化もスタート、生徒層が多いと見込まれるエリアに出店を進める計画である。これにより増収を予想するが、新規校舎が増えることで出店費用や運営費用の増加が見込まれることから営業利益率は若干低下する見込みである。

家庭教師事業では、前期にオンライン型の伸びが想定より鈍くなった対策として、プロモーションの厳選や対面型の強化によるバランシングを進める計画で、これにより増収増益を目指す。なお、オンライン型は依然全国的にニーズが強いため、SNS広告など訴求効果の大きいメディアを強化していく方針である。対面型については、拠点を持たずに対応可能エリアを開発するという施策が軌道に乗ってきたこと(ビジネスが大きくなっても小規模拠点で対応可能)から、商圏エリアを首都圏・関西圏から中京圏に拡大、将来的には対面型の全国展開も検討している模様である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SI》

提供:フィスコ

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