窪田朋一郎氏【再浮上の東京市場、中銀ウイークに思惑錯綜】(1) <相場観特集>
―日経平均3万2000円台後半へ、戻り相場に突入か―
24日の東京株式市場は、日経平均株価が3営業日ぶり反発に転じた。ダブルトップ形成から25日移動平均線を下回ったことで、大勢トレンドが下降転換した可能性も取り沙汰されたが、足もとではその25日線との下方カイ離解消に向け強調展開をみせている。このまま戻り足を続けるのか、それともアヤ戻しに終わるのか。今週は日米欧の中銀による金融政策決定会合が相次ぐが、この内容にもマーケットの関心が高い。業界第一線で活躍する市場関係者2人に今後の展望を聞いた。
●「3万4000円を上限に強含みもみ合い」
窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)
週明けの東京市場で日経平均は大幅高となっているが、これは今週末に結果発表予定の日銀金融政策決定会合で金融緩和策の現状維持が濃厚との見方が広がったことによるもの。外国為替市場でのドル高・円安進行と合わせて株高要因となった。植田日銀総裁の発言を聞く限りでは、イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正は今回見送られる公算が大きそうで、その場合は堅調な地合いが維持される可能性が高い。日経平均の向こう1ヵ月のレンジは3万2000~3万4000円での強含みもみ合いとみている。
あすから26日までの日程で行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)については0.25%の利上げがほぼ確実視されているが、これが利上げの最終局面となり、米国の方はターミナルレートに到達する公算が大きい。したがって、日米金利差を背景とした円安にも限界がありそうだが、これから本格化する国内企業の決算発表は概ね株式市場にポジティブに作用するのではないかと考えている。4~6月期の決算は企業によってまちまちで強弱入り交じった状態ながら、これまでの経緯をみる限り、株価面では米国企業と比べて決算発表を受けてのダウンサイドリスクが小さいと感じる。
総論的には日経平均3万2000円台前半で買い出動し、3万3000円台後半では売りを優先してキャッシュポジションを高めておくというのが有効な投資スタンスと考えている。目先、物色対象として注目したいのは外食関連。好調な決算を背景に株価を切り上げるケースが目立つ。ここまでクリエイト・レストランツ・ホールディングス <3387> [東証P]やドトール・日レスホールディングス <3087> [東証P]、力の源ホールディングス <3561> [東証P]といった銘柄が買われている。また、半導体関連も再浮上のタイミングが近づいている可能性がある。8月下旬に予定されるエヌビディア<NVDA>の決算発表を契機にアドバンテスト <6857> [東証P]やディスコ <6146> [東証P]といった半導体製造装置関連の主力株が買い直される展開も想定される。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「マザーズ信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」「アクティビスト追跡ツール」など、これまでにない独自の投資指標を開発。
株探ニュース