来週の株式相場に向けて=中国不動産危機は訪れるのか
18日の東京株式市場は中国市場に一喜一憂する値の荒い展開となった。朝方に日経平均株価が350円安と大幅安に売られたが、その後値を戻し一時プラス圏に浮上した。しかし、午後にかけ再び売り直され結局175円安で引けた。
「前場の段階では中国・上海総合指数や香港ハンセン指数が底堅くスタートし、市場には安心感が広がった。ただ午後にかけ上海と香港市場が下げ相場となると、東京市場も先物に先導される形で売りが膨らんだ」(市場関係者)という。
市場の関心を集めたのが中国不動産大手、恒大集団が17日に米国で破産法の適用申請を行ったことだ。恒大集団の経営不安は以前から話題となっており、新鮮味はないが「負債総額48兆円」という巨額さが改めて嫌気されたようだ。
更に、新たな懸念要因となっている中国の不動産最大手、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)に問題が飛び火することが警戒された。同社も恒大集団と同様に行き詰まるようなら、中国不動産危機という言葉がいよいよ現実味を帯びてくる。「不動産大手が次々と経営危機に陥る状況となると、どうしても日本のバブル崩壊を思い出してしまう」(アナリスト)との声も少なくない。
15年に人民元安を契機としたチャイナショックの急落があった。「8年前は急性のショックだったが、今回は慢性的なものにみえる。もし状況が深刻化するようなら、今回の方が問題の根は深いかもしれない」(同)という。中国や香港市場の動向をしばらくは注視する展開となりそうだ。
中国情勢を横目に睨みながら、来週は米国動向がポイントとなる。最大の焦点は24~26日に開催される国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」。なかでも25日のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による講演に関心が集中している。同議長の発言がタカ派的なものになるか、あるいはハト派的と捉えられるか。市場が好感する結果となれば、相場のトレンドは再び上向きに変わることも予想される。また、23日に予定されている米半導体大手エヌビディア<NVDA>の決算も市場にインパクトを与えそうだ。
相場の物色は、やや手掛かり材料難となるなか、出遅れの低PBR株でアイシン<7259>のような自部品株、七十七銀行<8341>のような地銀株などに見直し余地がありそうだ。
上記以外のイベントでは、米国では来週は22日に7月中古住宅販売件数、23日に同新築住宅販売件数、24日に同耐久財受注の発表が予定されている。21日にズーム<ZM>、22日に住宅関連のトール・ブラザーズ<TOL>などの決算が発表される。日本では25日に8月東京都区部消費者物価指数(CPI)が公表される。来週の日経平均株価の予想レンジは3万900~3万2000円前後。(岡里英幸)