来週の株式相場に向けて=TOPIX33年ぶり高値の意味、「重厚長大」銘柄に注目も
1日の東京市場は、日経平均株価が5日続伸。前日のNYダウが下落しており、日経平均株価も4日間で1000円近く上昇していただけに上昇一服も予想されたが、全体相場は底堅さをみせた。
市場の安心感を誘っているのが、米国の追加利上げ観測の後退だ。足もとの経済指標には米景気の落ち着きを示すものが相次いでいる。その意味でも、今晩の米8月雇用統計と13日の米8月消費者物価指数(CPI)は重要だ。市場は「米経済のソフトランディングを織り込み始めている」(アナリスト)だけに、2つの指標を無事こなせば一段と明るさが出てくることも予想される。米10年債利回りが昨年10月と今年8月にともに4.3%をつけダブルトップを形成しつつあることも、期待感を強める要因となっている。
そんななか、東京市場では1日にTOPIXが33年ぶりの高値に躍り出た。バリュー株を中心に躍動感が出ているが、その一方で「日経平均株価はチャート的に調整が完了したとはまだ言えない」(テクニカルアナリスト)との指摘も出ている。半導体関連などが上値を追い切れないことなどが、日経平均株価の出遅れを呼んでいる様子だ。
当面は先行するバリュー株を、ハイテクなどグロース株が追いかける展開も予想される。足もとでは三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>など銀行株に加え、三井不動産<8801>や三菱地所<8802>など不動産株の値動きが良くなっている。また、日立製作所<6501>が35年ぶりに上場来高値を更新したことが話題となったが、ホンダ<7267>や三菱電機<6503>なども最高値に接近している。バブル期に活躍した重厚長大銘柄などに復活機運が強まっているのかもしれない。
来週は、目立った経済指標の発表は多くない。海外では4日は米国がレーバー・デイで休場となる。6日に米8月ISM非製造業景況指数、米7月貿易収支、7日に中国8月貿易収支が発表される。国内では8日に4~6月期GDP・2次速報値と7月毎月勤労統計調査が公表される。同日はオプションと先物の清算日が重なる「メジャーSQ」となる。7日には積水ハウス<1928>の決算が発表される。来週の日経平均株価の予想レンジは3万2300~3万3100円前後。(岡里英幸)