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「1粒で2度おいしい戦略」で億り人、学歴劣等感をバネに飛躍

特集
2023年9月5日 10時10分

すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 コユケナードさんの場合-第1回

登場する銘柄
サムティ<3244>、三井住友トラ<8309>

編集・構成/真弓重孝、取材/高山英聖(株探編集部)

■コユケナードさん(30代・男性・兼業投資家)のプロフィール:
大学1年生の時に将来に備えるため元手100万円から株式投資を始める。目標はFIRE(経済的自立と早期リタイア)。倹約に努めて元本を追加しながら、キャピタルゲイン重視の中長期投資をメーンに30歳で1億円を達成する。この時期から投資スタイルをインカムゲイン重視に切り替えている。画像は、外食チェーンのフジオフードグループ本社の株主優待で受け取ったデザート。IT企業で働く3児の父親。「株探-個人投資家大調査-2023春」の回答者で、投資スタイルは「バリュー重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。

「学歴コンプレックスで将来に自信が持てなかった」

今回紹介する30代半ばのコユケナードさん(ハンドルネーム)は、いわゆる入試難易度の低い"Fランク(Fラン)大学"に進学したコンプレックスをばねに、株式投資で億り人に昇格した兼業投資家だ。Fランク大学とは、大手予備校がランク付けする入試偏差値において、不合格者が出にくい大学を指す。

小中高とサッカーに打ち込んだコユケナードさんは、大学に進学すると将来のキャリアに対する不安が覆い始める。好きなサッカーで生計を立てることは難しい。一般の会社に入るにしても、学歴が足を引っ張って、収入がなかなか伸びない可能性もある。

それならば、給与とは別口となる第2の収入の柱を築こうと、大学1年生の時に100万円を元手に開始したのが株式投資だった。その決断は吉と出て、30代にして億の資産を手にする。

倹約してつぎ込んだ元本の累計は2000万円。それを8倍超の1億7000万円に膨らました。株で稼いだ中から3500万円を住宅ローンの支払いに充てているので、現在の運用額は1億3500万円になる。

現在の投資スタイルの中核は、インカムゲイン狙いを核とした長期分散投資だが、億り人になるまではキャピタルゲイン狙いの集中投資を軸にしていた。学歴コンプレックスをばねに億り人の称号を手にしたコユケナードさんの道のりを2回シリーズで紹介していく。初回は現在のインカム狙いの戦略について見ていく。

1粒で2度おいしい戦略で、インカムゲイン狙いのポートフォリオを構築

現在、コユケナードさんが取り組んでいるのが「1粒で2度おいしい戦略」だ。キャピタルゲインを狙った後で、安定したインカムゲインを長期で獲得するものだ。

この戦略で鍵となるのが、

1、一過性と見られる急落時に仕込む、

2、購入時には、複数単元で、ある程度の金額を投入する、

3、利確の際は原則として100株~1000株を残す、

――の3つになる。

1はキャピタルゲイン、

2はキャピタルゲインとインカムゲイン、

3はインカムゲイン、

――を狙うために行う。

この戦略に基づき、コユケナードさんは、

1、急落時に、

2、数百万円以上、時には1000万円を超える金額を投入し、

3、その後、株価が回復した時点で100株~1000株を残して利確、手元に残した株は長期保有でインカムゲインを積み重ねていく。

急落時に仕込むことができれば、インカムゲインを長期で狙っていくモードに移行した際に、含み損を抱えるリスクを抑えられる。長期保有する株数を100株~1000株と幅を持たせているのは、最も魅力的な株主優待を受け取ることができる条件が、単元によって変わるからだ。

株主優待・配当を最重視するワケ

コユケナードさんが、現在インカムゲイン重視で銘柄を選ぶ理由は主に2つある。

1つは、冒頭で触れたように給与とは別口の定期収入をつくるため。もう1つは、投資を続ける楽しみ、モチベーションになるため。中でも、株主優待はプレゼントをもらったような気分になり、次も受け取ろうとグリップする励みになると言う。

受け取ったインカムゲインは再投資に回して複利効果を狙う。配当はそのまま待機資金に回し、優待については受け取った商品が生活費の圧縮につながれば、その相当分を元本に追加する。

2022年に獲得したインカムゲインは、株主優待を現金換算した金額と配当収入を合算して約250万円になる。当面の目標は年1000万円と4倍に増やすことだ。

株主優待には、株主平等の原則や複利効果の観点から"突っ込みの入る"部分もあるが、コユケナードさんはそうしたマイナス面をカバーする工夫を施している。

なお、投資対象にする銘柄の配当利回りは3%前後を目安とし、不自然に高い銘柄は避けるよう意識している。その手の銘柄は、事業の不振を嫌気して株価が低迷したことで高利回りになっているケースもあり、減配や優待が廃止されるリスクがあるためだ。

エクセルで監視銘柄の終値を自動更新、買い場をとらえる

1粒で2度おいしい戦略で、成功の鍵となるのが一過性の急落の見極めだ。相場全体が急落するときを除けば、どの銘柄がいつ急落するのかわからない。一方で気づくのが遅れれば、株価の水準訂正が進んで、下値余地が広がってしまう。

下値で拾う機会を見逃さないため、コユケナードさんが行っているのが"数撃ちゃ当たる方式"で、現在は500銘柄を監視している。これに足元で保有している100銘柄を加えた計600銘柄を、エクセルで一括管理している。

■ボタン1つで監視銘柄の情報を更新可能にしたエクセル画面

【タイトル】

注:本人による提供画像を一部加工

エクセルでは、値の日次下落率や下落幅の動きなどを、ボタン1つで更新できるようにしている(上の画像)。それを日々確認し、大きく下げた銘柄があれば、下落した理由を株探のサイトや、企業のIR(投資家向け広報)サイトにアクセスして調べていく。

このエクセル以外にも、ニュースやSNS(交流サイト)などで気になる情報があれば調査に入り、「イケる」と思えば買い出動する。その判断の仕方を、2023年で最も成功した取引の例を基に見ていく。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ 2023年で最もリターンを挙げた銘柄の例は

 

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