為替週間見通し:ドルは上げ渋りか、米インフレ関連指標が手掛かり材料に

通貨
2023年9月9日 14時22分

【今週の概況】

■ドルは堅調推移、米追加利上げの可能性残る

今週のドル・円は堅調推移。米国経済が景気後退に陥る可能性は低いとの見方が強まり、長期金利は底堅い動きを維持したことから、ドル買い・円売りが優勢となった。9月6日に発表された8月ISM非製造業景況指数は予想外に上昇したこともドル買い材料となった。

米連邦準備制度理事会(FRB)が6日に公表した米地区連銀経済報告では「経済活動の伸びは緩慢、雇用の伸びもピークに達した可能性がある」との見解が盛り込まれたが、原油高が続いたことでドル売り・円買いは拡大しなかった。

8日の東京市場では鈴木財務相が、「為替相場が過度に変動する場合にはあらゆる選択肢を排除せず、適切に対応する」との考えを伝えたことから、ドル・円は147円87銭まで買われた後、一時146円台半ばまで下落した。しかしながら、為替介入がただちに実行される可能性は低いとの見方が広がり、リスク回避のドル売り・円買いは縮小した。

8日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時147円87銭まで上昇した。米長期金利の低下を受けてドル売りがやや優勢となったが、年内追加利上げ観測は後退せず、長期金利は反転したことから、リスク選好的なドル買い・円売りが再び活発となった。ドル・円は147円79銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:146円02銭-147円87銭。

【来週の見通し】

■ドルは上げ渋りか、米インフレ関連指標が手掛かり材料に

来週のドル・円は上げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めは長期間継続されるとの見方は変わっていないが、ただ、1ドル=150円レベルが視野に入っており、市場参加者は日本政府・日本銀行による為替介入を警戒している。米CMEのFedWatchツールによると、今月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で政策金利が据え置きとなる確率は90%を超えているものの、11月以降に利上げが行われる可能性は残されている。

来週の注目材料は米インフレ関連指標か。9月13日発表の8月消費者物指数(CPI)は前年比+3.6%程度、同コア指数は+4.3%程度と予想されている。全体の物価指数は7月実績を上回るため、コア指数が市場予想を上回った場合、ドル売り・円買いを抑制する可能性はあろう。また、15日発表の小売売上高やNY連銀製造業景況感指数、ミシガン大学消費者信頼感指数も材料視されそうだ。市場予想を上回る内容だった場合、連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め方針を後押しする材料となり、金利高・ドル高が見込まれる。ただし、円安が急速に進行する局面では日本政府から円安けん制が相次ぐことも予想される。実際に円買い介入が行われる可能性は低いものの、円安けん制を受けて投機的なドル買い・円売りはやや縮小する可能性がある。

【米・8月消費者物価コア指数(CPI)】(13日発表予定)

13日発表の米8月消費者物コア指数(CPI)は前年比+4.3%と予想。コア指数の伸びは鈍化が続いているが、総合は2カ月連続上昇が見込まれ、ドル買い要因になりやすい。

【米・8月小売売上高】(9月14日発表予定)

14日発表の米8月小売売上高は前月比+0.2%と、伸びは7月の+0.7%を下回る見通し。前月は予想外に堅調で米個人消費の力強さが好感されたが、予想通りならドル売り要因となろう。

予想レンジ:145円50銭-149円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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