来週の株式相場に向けて=9月権利落ちで物色トレンドは変わるか
9月第3週(19~22日)は「中銀ウィーク」となり、20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と22日の日銀金融政策決定会合の結果発表が注目を集めた。
今日発表の日銀は現状維持だったが、市場からは「年内の政策変更はあり得るだろう」とみる声が出ている。市場の大きな驚きを呼んだのはFOMCだった。政策金利は据え置かれたが、24年末の金利見通しが0.5%引き上げられ、「米金融引き締めは長期化する」との見方が強まった。これを受け、20日のNYダウは370ドル安と急落したことは象徴的だ。特に、米10年債の利回りは4.49%と16年ぶりの水準に上昇。米2年債利回りも5%台と17年ぶりの水準にある。
米10年債などの利回りがこれだけの高水準となると、他の金融商品からの資金シフトが起こることも予想される。警戒されているのが、日本の高配当利回り株だ。例えば、大手商社も株高を受け配当利回りは3%前後の銘柄が増え、一時ほどの高利回りではなくなっている。折しも来週は9月27日が9月末の権利付き最終日となり、翌28日が権利落ち日となる。権利取りの動きが一巡した後、新たなトレンドが生まれることはないのかが注目される。
ある市場関係者は「10月以降、バリュー株のなかでも低PBRの人気は続きそうだが、高配当利回り株の人気は一時に比べ薄れるかもしれない」とみている。新たな物色対象として「JPXプライム150」を構成するような優良株を挙げる。第一三共<4568>やキーエンス<6861>、日立製作所<6501>のほか、SHIFT<3697>、ジャストシステム<4686>、サンリオ<8136>などの銘柄にも注目したい。
来週は、海外では26日に米9月消費者信頼感指数、27日に米8月耐久財受注、29日に中国9月財新・製造業PMIが発表される。27日にマイクロン<MU>、28日にナイキ<NKE>の決算が発表される。
国内では25日から10月6日にかけ金融庁が海外投資家らを招待する「ジャパンウィークス」が開催される。29日に9月東京都区部消費者物価指数(CPI)が発表される。25日にジェイ・イー・ティ<6228>、26日にオートサーバー<5589>、ネットスターズ<5590>、27日にAVILEN<5591>、オカムラ食品工業<2938>が新規上場(IPO)を予定している。日経平均株価の予想レンジは3万2000~3万2900円前後。(岡里英幸)